米国債利回りの急低下と伴にドル円も134円台に急落=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが加速し134円台に急落した。後半には下げ渋ったものの、ストップを巻き込んで一時134.25円付近まで下落した。米国債利回りが急低下しており、ロング勢の利益確定売りが強まったものと見られる。
市場はすでにFRBの積極利上げの大半を織り込んでおり、関心はそれに伴うリセッション(景気後退)に移っている模様。パウエルFRB議長は前日の議会証言で「経済の軟着陸は非常に難しい」と景気後退の可能性に言及していた。
市場でも来年の景気後退入りの確率を30%以上で見始めているようだ。米国債利回りの急低下と円高の動きはそれを先取りしているのかもしれない。本日は132円台半ばに21日線が来ているが、その水準までの調整があるか注目される。
ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.04ドル台に下落する場面も見られた。ロンドン時間に6月のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、製造業、非製造業とも予想を下回る内容だった。これを受け市場からは、ユーロ圏経済の急激な減速が示されており、ECBが利上げに際して、より慎重な姿勢をとる可能性があるとの指摘が出ている。
製造業と非製造業の両方において、高インフレにより需要が低迷しており、ECBのジレンマはますます大きくなっているという。高インフレは引き締めを催促するが、成長鈍化は景気後退の可能性を高める。
一方、きょうのPMIからスタグフレーション入りの可能性も指摘されている。サービス業が減速し、製造業では生産の大幅低下が示された。インフレが極めて高いままであることから、ユーロ圏はスタグフレーションの時代に入ったと考えられるという。ユーロ圏の総合PMIは第2四半期に平均54.1であり、経済活動の適切な拡大を示しているが、第3四半期に向けて成長が減速しているように見えるという。PMIは引き続き高インフレの圧力を強調しており、これはインフレが長期に渡ってECBの目標を大きく上回るという見方と一致するとしている。
ユーロ圏製造業PMI・速報値(6月)17:00
結果 52.0
予想 53.8 前回 54.6
ユーロ圏非製造業PMI・速報値(6月)17:00
結果 52.8
予想 55.6 前回 56.1
ユーロ圏総合PMI・速報値(6月)17:00
結果 51.9
予想 54.0 前回 54.8
ポンドドルはロンドン時間に1.21ドル台に下落していたものの、NY時間にかけて買い戻され1.22ドル台に戻している。ただ、依然として上値の重い雰囲気に変わりはなく、リバウンド相場の気配までは見られていない。
きょうは6月の英PMIが発表になっていたが、英経済が引き続き適切なペースで成長していることが示唆された。しかし、現在の調査では生活費危機の影響がまだ完全には表面化しておらず、今後数カ月の間に表れる可能性はある。
ただ、英経済は課題山積も年内は底堅いとの見通しも出ている。今回のPMIは英経済が想定よりもやや回復力があると考える根拠を与えてくれたという。もし、今回の結果が実体経済のデータに反映されれば、景気は減速こそしているが、沈んでいるわけではないことを示すことになる。そうなれば、英中銀は今後数カ月の間に追加利上げに向けた材料を獲得することができるとしている。
英製造業PMI・速報値(6月)17:30
結果 53.4
予想 53.6 前回 54.6
英非製造業PMI・速報値(6月)17:30
結果 53.4
予想 53.1 前回 53.4
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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