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為替相場まとめ2月14日から2月18日の週

為替 

 14日からの週は、ウクライナをめぐる地政学リスクが台頭した。ロシアがウクライナ国境近くで大部隊による演習を連日実施している。先週末に米国がロシアのウクライナ侵攻の可能性が高まっていることを警告。ロシア側は侵攻の意図がないことを示すとともに、外交的な解決を求める姿勢を示した。しかし、米国・NATOとロシアの間の溝は埋まらず平行線に。ロシアが一部地域での演習を終えて撤退する動きがみられたが、米国・NATO側は依然として侵攻の可能性が高いとして警戒感を緩めず。そのなかで、ウクライナ東部の親ロシア地域での砲撃報道が市場に衝撃を与えた。一方で、両陣営の話し合いは続けられており、来週には米露外相会談が行われると報じられている。市場のリスク動向は神経質に揺れ動いている。3月には各主要国の金融政策でどのようなインフレ対応がとられるのかが注目されているが、ウクライナ情勢の影響はまだ読み切れていない状況。株式市場や原油などの商品市況が激しい相場展開となるなかで、為替相場はややリスク警戒に押される程度の動きにとどまっている。ただ、突発的な報道には敏感に反応する落ち着かない相場だった。


(14日)
 東京市場は、ドル円の下げが一服。先週末の市場でウクライナ情勢の緊迫化を受けてドル円は115円台後半から115円ちょうど近くまで値を落とした。その後少し値を戻して週の取引を終えると、週明けは115.20台でスタート。週明けに日経平均は大幅安となったが、ドル円は値を戻し、115.60付近まで反発。ただ、その後は上値を抑えられている。ユーロドルは先週末に1.14付近から1.1330付近へと下落。週明けには1.1330台から1.1350前後での推移と上値は重い。ユーロ円は先週末の急落から反発も、朝方につけた131.30台から再び131円ちょうど近辺へと上値の重い展開だった。

 ロンドン市場では、ドル買い・円買いの動き。先週末にウクライナ情勢の緊迫化を受けてリスク警戒のドル買い円買いが強まった後を受けて迎えた14日の市場。週明けのアジア市場は行き過ぎた動きに対する調整が入るなど、比較的落ち着いた動きとなったが、ロンドン市場に入ってリスク警戒の動きが強まり、ドル買い・円買いの動きが再燃している。ドル円は115.01レベルまで再び下落、先週末の安値に並んだ。ただ、大台割れは回避されている。ロシアのラブロフ外相が米国NATOとの会談の継続を検討できるなどと発言したことを好感し、115.40台を回復した。ユーロドルは1.13台半ばから1.1301レベルまで下落。その後は1.1340付近まで下げ渋った。ユーロ円は130.04レベルまで急落したあと、130円台後半へと戻す激しい振幅。

 NY市場では、米利上げ期待に視線が移動。ラブロフ露外相が対話継続プーチン大統領が了承したと述べたことで市場の懸念は一服。ドル円は115.70近辺まで買い戻された。一方、先週の強い米消費者物価指数(CPI)を受けての米利上げ期待の高まりや、本日から実施されている日銀の指値オペなどでドル円は下値をサポートされている。先週の米CPIを受けて市場ではFRBの利上げ期待が一層強まっている。FF金利先物市場では、若干ではあるが、3月のFOMCを待たずに利上げを実施する可能性を織り込む動きも出ていた。ドル買いが優勢となり、ユーロドルは1.13台割れから1.1280付近まで下押しされた。一方、ポンドドルはロンドン時間に1.35台を割り込む場面があったが、その後は1.35台前半へと下げ渋った。英中銀の利上げ期待が下値をサポートし、ユーロほどの下げにはならないとの見方がでていた。

(15日)
 東京市場では、ドル円の上値が重い展開。前日の海外市場でラブロフ外相が米・NATOとの会話継続の可能性を示したことでドル円は一時115.70台まで上昇。東京朝も115.50台とドル高圏で始まった。 しかし、その後はやや頭の重い展開に。値幅は小さいものの午後に入って115.30台を割り込む場面があった。欧州時間が近づいてウクライナ問題への警戒感がやや広がった形。ユーロドルは海外市場で1.1280前後まで下げた後、東京午前は買い戻しの動きが優勢となり1.1320近辺へと下げ渋り。午後はほぼ膠着で様子見ムード。

 ロンドン市場は、円安・ドル安の動きが広がっている。朝方は東京市場からの流れを受けてややリスク警戒の動きだった。ドル円は115.26レベル、ユーロ円は130.44レベルまで安値を広げた。しかし、インタファックス通信が「ロシア、軍事演習後に一部部隊は基地に帰還へ」と報じると、ムードが一気に好転した。市場ではあすにも迫るとされるロシアのウクライナ侵攻のリスクが後退したと理解したようだ。株高とともに原油や金相場が下落。為替市場ではドル円が115.70近辺へ上昇。クロス円も買われて、ユーロ円は131円台乗せ。ポンド円は156円付近から156.80近辺へ、豪ドル円は82円近辺から82.70近辺へと買われた。ただ、英外務相は、ロシアがウクライナ国境から完全撤退することが必要と述べた。ロシア下院がウクライナ親ロ地域承認を大統領に求める案を採決するなど紛争の火種は残っている。英ILO失業率は4.1%と前回と変化はなかったものの、週平均時給(賞与除く)は前年比3.7%と市場予想を上回った。

 NY市場では、リスク選好ムードが広がった。ウクライナ情勢への懸念が後退しており、米株式市場が大幅反発となる中で、ドル円もリスク選好の円安から買いを呼び込んでいる。一時115.85近辺まで上昇。ユーロドルは一時1.1365近辺まで買い戻された。ポンドドルは一時1.34台に下落したが、すぐに買いが入り1.35台前半に戻した。ロシア軍が訓練終了後に一部撤退を開始したと発表したことで安心感が広がっているようだ。プーチン大統領も外交による解決を望むと表明している。一方、インフレ懸念の方は依然として根強い。この日発表になった1月の米生産者物価指数(PPI)は総合指数で前年比9.7%の上昇と市場予想を上回る伸びを示した。市場はFRBの積極利上げを織り込む動きを見せているが、今回の結果はそれを正当化する内容ではある。

(16日)
 東京市場で、ドル円は動きにくい展開。前日の振幅後、東京市場では115円台後半での揉み合いが続いた。午前中に仲値関連の買いもあって115.74レベルまで買われたあとは、115.70挟みの推移。ウクライナ情勢の緊迫化への懸念後退も、警戒感は残っており、上値追いには慎重。一方で下がると買いが出るという流れ。ユーロ円は131円台前半での推移が続いた。前日の130円台前半から131円台半ばでの振幅の中で、やや底堅い水準だった。ポンドは対ドルで1.3550前後、対円は156.70台と前日からの高値圏を維持した。この後の英物価統計で強めの数字が期待されていることも下支えとなっていたようだ。

 ロンドン市場は、ドル安・円安の動きが優勢。前日のロシア報道で即時のウクライナ侵攻のリスクが後退したことが市場に安ど感を広げている。ロンドン序盤に欧州株や米株先物が堅調な動きをみせ、ドル円は一時115.79レベルまで買われた。株高に加えて、黒田日銀総裁が「今は長期金利上限の0.25%程度を変えるつもりない」と述べたことが円安を誘った面も。ユーロ円は131.91レベル、ポンド円は157.12レベルまで高値を伸ばした。ただ、欧州株や米株先物の上昇は続かず、上げ幅縮小や下げ転換の動きに。クロス円は上値を抑えられたが、東京市場よりは円安水準を維持した。ポンドは対ユーロでは軟調。1月英消費者物価指数は前年比+5.5%と一段と高い伸びを示し、英中銀の追加利上げを裏付ける材料となった。しかし、賃金上昇が追い付かない点が指摘されており、実質賃金の低下が英経済の問題点となっている。ユーロ相場にとっては地政学リスクの一服が買い材料となったほか、12月ユーロ圏鉱工業生産が前月比+1.2%と2ヶ月連続の上昇と回復したことも好感されたもよう。

 NY市場では、FOMC議事録にドル売りの反応がみられた。大幅なバランスシート縮小や2015年より速いペースの利上げが正当などと指摘しているものの、タカ派にとって、ほとんど新鮮な材料はないとの印象のようだ。市場は3月の0.5%の大幅利上げを期待しているが、それについても確信に繋がるものはなく、推測の範囲に留めざるを得ない印象。ドル円は115円台後半から前半へと下落。ただ、下落していたダウ平均が前日付近の水準に戻す動きに、円安がドル円の下支えとなった。ユーロドルは1.14台手前までの上昇。ポンドドルは1.36国府度付近に上昇した。FF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、0.5%の大幅利上げの確率を56%、0.25%の通常利上げの確率を44%で織り込んでいる状況。3月利上げは確実と思われる中、唯一の問題は利上げの程度となっているようだ。

(17日)
 東京市場は、円買いの動き。昼過ぎにドル円は急落する場面があった。ウクライナ軍が東部の親ロシア地域に迫撃砲を発射との一部報道が入り、一気に円買いが進んだ。その後買い戻しの動きも、戻りは鈍い。ドル円は115.40台から115.12レベルまで値を落とした後、115.34近辺まで戻したが、再び115.20台を割り込んでいる。ウクライナ問題でドル円以上に神経質な反応を見せるユーロは、対ドルで1.1380前後から1.1323前後まで売りが出た。ユーロ円の売りはより厳しく131.40前後から130.40近くまで1円近い下げを見せる格好となった。ウクライナ情勢への神経質な反応が続いており、今後の続報を警戒する展開に。

 ロンドン市場は、ドル円が一時115円台を割り込んだ。東京市場から引き続きウクライナ情勢に神経質な展開となっている。ウクライナ国内の親ロシア地域でウクライナ側からの砲撃があったと伝わっており、ロンドン時間には「幼稚園が分離派の砲弾を受ける」との報道が加わった。双方からの砲撃があったもようだが情報は混乱している。ただ、市場では極端なリスク回避の反応はみせていない。ラブロフ外相がロシアは安全保障巡り米国に回答をきょう送付すると述べており、その内容を確認したいとのムードがあるようだ。ドル円は114.95レベルまで一時下落したあとは、115円付近で上値重く揉み合っている。欧州株はまちまち。米株先物とともに売りが先行したが、独仏株価指数は下げ渋っている。一方、英株価指数は引き続き軟調。ウクライナ情勢とともに英中銀追加利上げ観測が上値を重くしているようだ。ユーロドルは一時1.1386レベルまで反発したあとは1.13台後半を中心とした上下動。ポンドドルは1.36台乗せから高値を1.3619レベルへと伸ばす動き。ユーロ対ポンドではポンド買いが優勢。クロス円は神経質に振幅も上値を抑えられている印象が強い。ユーロ円は131円台が重く、ポンド円は156円台後半が重くなっている。

 NY市場では、ウクライナ情勢が再び緊迫化しており、リスク回避ムードが広がった。米株が大きく下げる中で円相場は円高が見られ、ドル円は115円を割り込んだ。ただ、FRBの利上げ期待もあり、114円台を下押す動きまでは見られていない。米株が下げ渋るようであれば、115円台に戻そうというムードもあったようだ。ただ、ダウ平均が600ドル超の下げとなる中で上値の重い展開が続いた。リスク回避の雰囲気にもかかわらず、欧州通貨は以前ほどの下げを見せず、ユーロドルは1.13台で売買が交錯。市場はウクライナ情勢を重視する一方で、厳しいニュースや警告への反応が薄れつつあるとの指摘も出ている。市場は実際に軍事衝突があるのかを確認したい雰囲気になっているという。ポンドドルは1.36台を回復し、21日線を上放れる展開。今週は英雇用統計と英消費者物価指数(CPI)が発表されていた。ともに強い数字となり、英中銀の利上げ期待を裏付ける内容となった。しかし、英中銀は家計の実質所得が圧迫されているため、市場の期待よりも慎重な利上げを実施する可能性が高いとの声も。

(18日)
 東京市場は、円売りの動き。米国のブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相が来週、ロシアがウクライナに侵攻していないことを条件として会談を行うと発表があり、期待感が一気に強まった。ドル円は朝方に114.79レベルまで下落、海外市場の安値を割り込んだが、報道を受けて115.27レベルまで急伸した。ユーロ円は朝方に130.40付近まで下げたあと、131円台を一時回復。ポンド円は156円台前半から156.80台へ、豪ドル円は82円台半ば割れから一時83円台へと買われた。午後には上昇一服も下がると買いに下支えされている。引き続きウクライナ情勢に振り回される相場展開となっている。

 ロンドン市場は、様子見ムード。欧州株は独DAX指数が小安い一方で、英仏株価指数は堅調な推移とまちまち。米株先物は時間外取引でプラス圏を維持している。来週の米露外相会談への期待で市場動向は落ち着いている状況。ただ、ロシアのウクライナ侵攻がない場合の会談と条件がついている。また、ウクライナ東部での政府側と親ロシア勢力との小競り合いが次第に激しさを増していると報じられ、ラブロフ露外相からは警鐘も鳴らされている。市場は週末にかけての情勢を見極めたいと慎重姿勢に。ユーロ相場の上値がやや重くなっており、対ドルで1.1347レベル、対円で130.70台へと下押しされた。ポンドドルは1.36台前半、ポンド円は157円を挟んだ振幅で方向性に欠ける動き。ドル円は115.30レベルまで小幅に高値を伸ばしたあとは、115円台前半での揉み合いが続いている。

 NY市場は、ウクライナ情勢が依然として混沌としている中でドル円の上値は重かった。ただ、114円台に入ると押し目買いも入るようで115円台はかろうじて維持されている。米株式市場が軟調に推移していることもドル円を圧迫している。こちらはウクライナ情勢のほか、FRBの積極利上げによる景気への悪影響を懸念しているようだ。基本的にはドルと円の方向感は同方向となっており、115円付近での狭い範囲での値動きが続いた。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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