バイデン待ちの中、ドル円は上値重く103円台で推移=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は序盤に104円台に上昇して始まったものの、東京時間につけた高値を超えることなく、103円台での推移が続いた。終盤に入って下げ渋る動きが見られたが、104円台は回復することはなかった。午後になってパウエルFRB議長の講演が伝わり、「利上げはすぐにはない」と述べていた。全体的にはドル安の反応がやや見られたものの、ドル円は買い戻しの反応を見せていた。議長の講演に米国債利回りが上昇しており、ドル円も追随したようだ。
一時103.55円付近まで下落し、今週安値と21日線が来ている103.50円水準に顔合わせしている。目先の下値メドとして意識されそうだ。
バイデン次期大統領が本日夕方(日本時間15日午前)に、自身の経済対策を発表する予定となっており、市場の関心が集まっている。東京時間には2兆ドル規模の対策が表明されるとの報道も流れていたが、数字については見方が様々出ており、規模は1.5兆ドルといった報道も流れていた。最新の報道では、バイデン次期米大統領は1.9兆ドル規模の経済対策を提示し、それには2000ドル直接給付や地方政府支援、そして、ワクチンやウイルス検査の能力拡大も含まれているとNYタイムズが伝えている。この辺は発表待ちといったところ。
市場は大規模な追加経済対策を打ち出してくることはすでに織り込んでいる。むしろ、議会の審議を経て成立させられるか次第との声も聞かれ、議会審議の過程で規模は小さくなるとの見方も出ている。バイデン次期大統領は、成立には共和党の支持も必要としており、上院で10名程度の共和党議員の賛同を得ることを念頭に置く意向も伝わっていた。
米議会がバイデン次期大統領を正式に認定した1月6日以降、ドルは買い戻しが続いているものの、次第に上値が重くなっている印象もある。ドル円も102円台半ばから104円台まで戻したが、ここに来て104円台の上値抵抗が強まっている様子もうかがえる。
ユーロドルは1.21ドル台前半まで下落していたが、再びドル安が出ており、1.21ドル台半ばに戻している。ただ、21日線の下での推移は続いており、昨年5月以降の上昇トレンドに警戒感が出ていることに変わりはない。
市場の一部からは、イタリアの政情不安と感染拡大が短期的にユーロを圧迫するとの指摘も聞かれる。イタリアのコンテ首相と連立政権を組んでいるレンツィ前首相が、EU復興基金の使い道を巡って対立しており、きのうはレンツィ氏の党から出ている閣僚を連立政権から引き揚げている。市場は連立解消へのリスクを高めたが、レンツィ氏は、コンテ首相が新たに組閣する内閣を拒否しない姿勢にも言及したことから、びとまず鎮静化している。ただ、コンテ首相の判断次第では流動化するリスクは警戒されている。
一方、短期的に下落したとしても、ユーロドルは年内に再び買いが強まるとの見方も少なくない。バイデン新政権は、トランプ政権がこれまで実施した関税や減税、規制緩和などドル高を支援したの政策を再考する可能性があるという。すべてが変更されるわけではないが、政策変更時の方向はドル安が多いという。
ポンドドルはNY時間に入って買い戻しが見られ、1.37ドル台を一時回復。市場からは、英経済への先行き不安は根強いものの、ベイリー英中銀総裁の発言を受けて、市場のマイナス金利への再評価が続いており、ポンドは恩恵を受けているとの声も聞かれた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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