為替相場まとめ10月26日から10月30日の週

為替 

 26日からの週は、リスク回避の動きが広がった。クローズアップされたのが米国や欧州での新型コロナ感染拡大の動き。主要国で感染者数の増加ペースが加速しており、記録的な数字となっている。これを受けて、各国で経済活動を制限する措置が導入されている。フランスでは今後1か月にわたる全国的なロックダウンが始まった。この週に発表された米欧などの第3四半期GDPは、第2四半期から歴史的な急回復をみせた。しかし、足元での感染拡大状況をみると、今後の経済回復への不透明感は高い。ECB理事会では次回12月会合での追加緩和が示唆された。カナダ中銀は国債購入の調整を通じて政策効果の強化を行った。新型コロナとともに、米支援策の早期合意が遠のいたことや、来週の米大統領選をめぐる不透明化、英欧貿易交渉の膠着状況など相場の重石は多い。ユーロドルは1.16台、ユーロ円は121円台へと下落するなどドル高・円高が進行した。ドル円は104円台を維持しているものの、上値が重かった。

(26日)
 東京市場では、ややリスク回避のドル買いの動き。市場が注目する米追加経済対策について、週末に民主党のペロシ下院議長とホワイトハウスのメドウズ首席補佐官がCNNの連続インタビューに応じ、相手がゴールポストを動かしているなどの批判を行ったことで、早期合意が難しいとの見方が広がった。ユーロドルは1.1860台から1.1830台まで下落。ドル円は104.60台から104.90台まで上昇。週末に米国務省がアルメニアとアゼルバイジャンの休戦合意を発表したもののトルコリラへの影響は限定的。

 ロンドン市場では、ユーロが軟調。この日発表された10月独Ifo景況感指数が半年ぶりに悪化したことに反応した。週末の報道では欧州での感染拡大ペースが加速しており、各国での行動制限措置が今後の成長の足かせとなることが懸念されている。週明けの欧州株は大幅安で取引を開始している。また、NY原油先物も大きく値を下げており、リスク警戒ムードが広がっている。為替市場ではユーロドルが下落、ドル円が上昇とドル買いの動きが優勢。一方、ポンドドルや豪ドル/ドルは売り先行後に買い戻しがでており、やや方向性は交錯している。ポンドでは対ユーロでの買い戻しの面が強かったようだ。ユーロドルは1.18台半ばから前半へと下落。ドル円は104円台後半から105円手前まで上昇。ポンドドルは一時1.30台割れも、その後は1.30台後半へと反発。豪ドル/ドルは0.71台割れに迫ったが、大台は維持されている。クロス円はユーロ円が一時124円割れと軟調だったほかは、ポンド円137円近辺、豪ドル円74円台後半と欧州株安の割には底堅く推移している。

 NY市場では、ドル買いが優勢。リスク回避の雰囲気が強まっており、米株式市場でダウ平均が一時900ドル超急落する中で、為替市場はリスク回避のドル買い戻しが強まった。米国に感染第3波が来襲しており、23日付けの新規感染者数が8万3000人を超え、過去最多となった。7月の7万6842人を超えてきたことで、市場もさすがに警戒感を強めている模様。ホワイトハウスのメドウズ首席補佐官も、米国はパンデミックを抑制できていないと発言していた。米大統領選前の米追加経済対策への期待も後退している。ドル円は一時105.05近辺まで上昇。ユーロドルは一時1.1805近辺まで下落。今週木曜日のECB理事会では、感染拡大を意識して、年内の追加緩和を示唆してくることが期待されている。ポンドドルは1.30台を一時割り込んだ。スラック英報道官は本日の会見でEUとの貿易交渉について、「まだ多くの作業が残されており、時間が不足する中で集中的協議の段階にある」と述べていた。

(27日)
 東京市場では、前日海外市場でのドル高に調整が入った。ドル円は104円台後半での弱保ち合いで、一時104.68近辺まで売られた。米株の大きな下げに対して、日本株、アジア株などの下げは目立たず、リスク警戒の動きが後退したことでドル売りの動きに。ユーロドルは1.18台割れを回避すると1.1830台へと下げ渋った。ユーロ円は123.70近辺から123.90近辺と小動きのなかで、底堅い動きを示した。総じて静かな展開だった。

 ロンドン市場では、円高とドル高の動きが交錯。欧州での感染拡大が警戒され、欧州株が下落。リスク回避的な動きが広がった。ドイツでは24時間の感染者数が1万人を超えた。昨日はメルケル独首相が部分的なロックダウンについて言及したとの報道も。独経済相は、感染拡大が指数的な増加と表現、深刻な状況を示していた。ドル円は104.80近辺が重く、104.60近辺へと下押しされた。ユーロ円は124円近辺で上値を抑えられると123.50近辺まで一時下落。ユーロドルは東京市場で1.1836レベルの高値をつけたあとは売りに転じ、一時1.1796レベルと大台割れとなった。ただ、その後は下げ一服。ポンドドルは1.30台前半、ポンド円は136円台半ばから前半へと上値重く推移している。一方で、前日に大幅安となった米株先物は時間外取引で反発しており、NY市場を控えてはややリスク回避動向は一服した。
 
 NY市場では、ドル円が104円台前半へと軟化。米国での感染第3波の来襲や、米追加経済対策が依然として難航する中で、前日はリスク回避のドル買いが強まった。しかし、リスク回避ムードに変化はないものの、きょうは米株安とともにドル円は戻り売りに押された。前日に105円台を維持できなかったことで投げ売りがでていたもよう。来週は米大統領選の投開票日が控えており、それに向けたポジション調整も。トランプ大統領、バイデン候補どちらが勝利しても、財政赤字が急増する可能性があり、それに加えFRBの低金利長期化を考えると、しばらくドルは買えないとの見方があった。ユーロドルは買い戻し先行後も1.17台へと下落。ユーロ圏の感染拡大加速が経済に打撃との見方が重石に。ポンドドルは1.3080近辺まで一時買い戻された。来週の米大統領選に向けてドル売り優勢との見方から、ポンドドルは底堅い動き。ただ、英欧貿易交渉の展開次第ではポンド売りが強まるとの観測も一部には根強い。

(28日)
 東京市場は、リスク警戒感が広がった。ここにきて欧米での新型コロナウイルスの感染拡大状況が深刻化。米、加、仏、独、英などでこれまでのピークを超える一日当たり感染者数が記録されており、フランスは明日からのロックダウンの観測もでている。米国の追加経済対策の大統領選前の合意についても厳しいとの見方。大統領選についてはバイデン氏が依然優勢もトランプ陣営がかなりの追い上げ。郵便投票に絡んだ混乱から1月6日の期限までに過半数の選挙人を両者とも確定できない可能性まで指摘されている。ドル円は104円台円台半ばから前半へ。ユーロ円は123円台割れから122円台後半へと下落。ユーロドルは1.17台後半での弱保ち合い。円高の動きが前面にでていた。

 ロンドン市場では、リスク回避のドル高と円高が進行。欧州での新型コロナ感染拡大が加速しており、ドイツやフランスなどの行動制限措置の動きが経済回復に与える悪影響が懸念されている。欧州株や米株先物が下落しており、独DAX指数は3%安に。ドイツのメルケル首相が、ドイツ国内のバー、レストランに1カ月間の営業休止を提案、と報じられたことがリスク回避の動きを強めるきっかけだった。さらにフランスでもロックダウン措置が導入されるとの観測。ドル円は104円台前半で振幅するなかで安値を104.10近辺に更新。ユーロドルは1.17台後半から前半へ、ユーロ円は122円台後半から前半へと下落。ユーロ円は3か月ぶりの安値水準に。ポンドドルは1.30台後半へと買われたあと、1.29台後半へと約100ポイントの下落。ポンド円は136円台乗せから135円ちょうど付近へと大幅安。最近は神経質な相場が続いているが、きょうはリスク回避の明確な動きとなっている。

 NY市場では、引き続きリスク回避ムード。為替市場では、ドル高・円高の動き。円高がやや優勢となり、ドル円は一時104.10近辺に下落、9月安値の104円割れを試す動きもみられた。ただ、リスク回避のドル買いも入っており、一進一退に。ユーロドルは1.1710付近まで一時下落したあと、やや下げ渋った。ポンドドルは戻り売りが強まり、ロンドン時間に1.2920近辺まで一時下落。その後は買い戻しが入り、1.30台を一時付ける場面も。市場が警戒感を強めている要因は米国での感染第3波が拡大、米大統領選前の追加経済対策の合意困難、そして、来週の米大統領選への不透明感のようだ。米大統領選前の月末接近でポジション調整の動きが加速している模様。きょうはカナダ中銀が金融政策を発表しており、政策金利は大方の予想通りに据え置きとなった。ただ、国債購入を再調整し、長期債にシフトする一方、週50億加ドル以上としていた国債購入額を週40億加ドルに段階的に縮小することも発表した。この発表を受けてカナダドルは売りの反応。カナダ円は78.20付近まで一時下落。

(29日)
 東京市場では、ドル円の下げが一服。前日の海外市場での104.10近辺までの下落から104円台半ばへと調整買いが入った。欧州、米国で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化し、フランスとドイツで全土的な行動制限を実施、シカゴでもレストランなどの屋内営業が禁止されるなど、行動制限が目立つ中で、リスク回避の円買いが強まった。ただ、前日のダウ平均が大きく値を崩す中で、きょうの日本株の下げは限定的なものにとどまった。リスク警戒の動きがこの時間帯はそれほど強くなく、円買いに対する調整を誘った。ただ、上値は重く104円台前半での取引となっている。ユーロドルは1.1750前後での推移。ECB理事会を控えて、様子見ムードが広がった。

 ロンドン市場では、ECB理事会の発表待ちのなかで、全般に円買いが優勢。前日の大幅安からは欧州株は反発も、戻りは限定的。昨日はマクロン仏大統領が明日から約1か月にわたるロックダウン措置の導入が発表された。2度目のロックダウンはフランスが欧州で初。それだけ感染拡大が深刻であることが示されている。メルケル独首相は、医療機関は限界に近い忙しさ、ここ数週間で劇的な状況に、と警鐘を鳴らしている。ユーロ圏景況感指数や消費者信頼感などには上向きの動きはみられていない。ドル円は一時104.03レベルと9月21日安値104.00レベルに迫った。ユーロ売りが主導しており、ユーロ円は122円台後半から122円割れへと下落、ユーロドルは1.17台半ばから前半へと下げている。ポンド円も135円台後半から135円割れと軟調。ポンドドルは1.30を挟んで上下動のあと、1.29台後半へと軟化した。

 NY市場では、ドル円に買い戻しが入った。一時104.70近辺まで上昇。104円割れを試したが、大台割れを回避するとショートカバーが活発にでた。米株市場ではITハイテク株を中心に買い戻され、円高が一服した面も。ただ、米欧での感染拡大が加速するなかで、景気先行きへの不透明感は強く、米大統領選に向けたリスクも意識されている状況。ドル円の上昇はあくまでもポジション調整のようだ。朝方に第3四半期の米GDPが発表され、前期比年率換算で33.1%の上昇と予想を上回る内容となった。個人消費が40%上昇していた。第3四半期は企業の活動再開や雇用回復、政府の支援策、消費の回復が景気の追い風となった。ただ、第4四半期の不透明感が広がっており、市場は反応薄だった。ユーロドルは売りが続き、1.16台半ばまで下落。21日線を明確に下回っている。きょうはECB理事会が開催され、政策は据え置きとなったが、声明では12月の追加緩和の可能性を滲ませていた。ただ、それ自体は大方の予想通りだったとも言える。むしろ驚きだったのはラガルドECB総裁が理事会後の会見であろう。総裁は「ECBが12月に行動することにほぼ疑いない」と述べていた。ポンドドルは1.29台前半を下回ると、一時1.28台に下落する場面があった。

(30日)
 東京市場は、リスク警戒の円買いが強まっている。昨日のNY引け後に発表されたアップルの決算で中国などでのIphone販売の不振もあって売り上げが見通しに届かず売りが出たことをきっかけに、米株が軟調地合いに。ハイテク中心の売りが目立つ中で日経平均も売りが強まる展開。ドル円は104.60近辺から売りが継続し、午後には104.13レベルまで安値を広げた。ユーロ円は122円台割れから121.60付近へ、ポンド円は135円台割れから134.40付近へと下落している。ユーロドルは1.16台後半でやや買い戻されているが、1.17台には届いていない。

 ロンドン市場では、円高の動きが一服。きょうからフランスが約1か月間のロックダウン導入となっている。ドイツの一日当たり新規感染者数が一段と増加するなど、新型コロナをめぐる状況は引き続い予断を許さない。米株先物が時間外取引でアップルなどの決算発表後に大幅下落するなど、ロンドン市場はリスク警戒感が高まって始まった。しかし、欧州株が序盤の下落を消す動きとなり、米株先物も下げ幅を半減してきている。この日発表されたユーロ圏やドイツなどの第3四半期GDP速報値が予想以上に回復したことが警戒感を一服させたようだ。また、前日のラガルドECB総裁の追加緩和示唆について、ECB高官らが追認したこともムードを緩和したようだ。ユーロドルは1.16第後半での揉み合い。ユーロ円は121円台後半で下げ渋り。ポンドは対ユーロでの買いが優勢で、対ドルでは1.29近辺から1.29台後半へ、ポンド円は134.50割れ水準から135円台半ばへと買われている。ドル円は下げ一服。104.13レベルの安値から104.40台へと買い戻されている。ただ、今後の経済回復への不透明感は引き続き強く、調整の域を出ない値動きにとどまっている。 

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

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