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ドル円は5日続落 様々な不確定要因が円高を生み出すとの指摘も=NY為替概況

今日の為替 

 きょうのNY為替市場、終盤に入ってドル円は買戻しが見られたものの、依然として上値の重い展開が続いており、104.30円付近まで一時下落する場面も見られた。7月31日の直近安値が104.20円付近に来ているが、目先の下値メドとして意識されそうだ。

 ドル円はきょうで5日続落となったが、明確な要因はないものの、FRBの低金利長期化観測や米大統領選の不確実性、そして、米中の政治的緊張などへの意識がリスク回避の円高を呼び込んでいるとの指摘も聞かれる。また、金利面では日銀がのイールドカーブ・コントロールにもかかわらずインフレが弱く、円の実質金利は上昇している。この日発表の日本の全国消費者物価指数(CPI)は前年比0.2%、生鮮除くコアに至ってはマイナス0.4%となっていた。

 市場は常に不透明感を嫌うが、目先に不確定要因が数多く見られ、これらの状況が、日銀の量的緩和(QE)にも関わらず、円への資金フローを生み出しているという。

 ユーロドルは特段の注目イベントもない中、狭いレンジでの方向感のない展開が続き、1.18ドル台半ばでの振幅に終始している。今週のユーロドルは、FOMC後に1.1740ドル近辺まで下落したものの、強いサポートとなっていた1.1750ドル水準がサポートされ、1.18ドル台に戻している。大きな心理的節目である1.20ドルを試す気配まではないが、市場はいまのところ、下値を探る意志も無いことが示されており、底堅い雰囲気を堅持している。

 短期的には1.18ドルから1.19ドルで安定化しそうな雰囲気も出ているが、下値での押し目買いは、引き続き有効な戦略との指摘も聞かれる。

 ポンドドルはNY時間に入って上値の重い展開とな、1.29ドル台前半まで値を落としている。ロンドン時間には1.30ドルちょうど付近まで上昇していた。前日は英中銀が金融政策委員会(MPC)でマイナス金利の採用が正当化された場合に効果的に実施する方法を探る考えを示したことで、ポンド売りが強まっていた。ポンドドルも一時1.28ドル台まで下落する場面もみられたものの、いまのところ1.29ドル台は維持している。

 ただ、EUとの貿易交渉は妥結しないリスクも意識され始めており、ポンドは軟調な展開を予想する向きは少なくない。ポンドドルは年末にかけて1.25ドルまで下落する可能性も指摘されているようだ。

 この日は8月の英小売売上高が発表され、前月比0.8%増と好調な内容となった。総額もパンデミック以前の水準を4%上回っている。政府による外食キャンペーンなどにより、レストランなど小売り以外の事業も回復。個人消費の回復を示唆した内容ではあったものの、一時帰休制度の終了で失業率が上昇し、家計が圧迫されれば、個人消費は再び足踏み状態になる可能性があるとの見方も出ている。

 なお、この日は9月調査のミシガン大消費者信頼感指数の速報値が発表され、78.9と予想を上回る内容となった。市場では若干の上昇に留まるとみられていた。米消費者のセンチメントに大きく影響する雇用は回復傾向が続いているものの、失業率は依然として高水準で、米追加経済対策も議会の協議が難航している。そのような中で、同指数は4月を底に戻り歩調にはあるものの、ここに来て回復の度合いは鈍化しているものと見られていた。しかし、今回の結果はセンチメント改善が持続していることを示している。現況および先行指数も予想を上回る内容となった。

 好結果とは思われるものの、為替市場の反応は鈍い。若干のドル買いこそ見られているものの、FRBの低金利長期化スタンスまでは変化はないとの見方から反応は限定的となっているのかもしれない。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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