ドル円は一時107円台を回復 株高・ドル安も円安が下値サポート=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は伸び悩む動きも見せたものの、きのうに引き続き107円台に一時上昇している。ドル安の流れが依然として続いていることもあり、107円台に入ると売り圧力が強まるようだが、上値追いの流れに変化はない。
市場からは第2波の拡大、米追加経済対策の交渉行き詰まり、そして、米中対立などの悪材料にもかかわらず、株高が維持されている、市場はネガティブ要因を看過している感もあるが、その株高がドル安を誘発しているとの指摘も聞かれる。株高は投資家のセンチメントが維持されている証拠でもあり、リスクマネーが米国から海外に向かうとの期待もあるのかもしれない。
一方、株高はリスク選好の円安も誘発することから、ドル円は底堅い動きを見せている。米国債利回りも上昇しており、イールドカーブのスティープ化も見られる中で、ドル円にとっては追い風が吹いている状況。ただ一方で、米株式市場には高値警戒感も高まっており、継続性には疑問も出ているようだ。
NY時間に入って伸び悩んだものの、ユーロドルは買いの流れが続いており、きょうは一時1.1860ドル近辺まで上昇した。引き続きドル安がユーロドルを押し上げている格好。8月に入って過熱感から一時1.17ドル台前半まで調整し、21日線を試すかにも思われたが、しっかりと21日線の上を維持し、上向きの流れを続けている。目先は直近高値の1.19ドル台前半の水準が上値メドとして意識される。
株高がドル安を誘発し、それがユーロドルを押し上げていると見られているが、実際、ユーロと株式市場の正の相関は2013年以来の強さを示す一方で、国債利回りとユーロドルの相関はほとんど見られていないという。
ポンドドルも伸びやんだものの一時1.30ドル台後半まで戻した。きのうは1.30ドル割れを試す動きも見られたが、1.30ドルちょうど付近の買い圧力はかなり強いようだ。8月に入ってから戻り売り圧力が強まるものの、1.30ドル台の水準はしっかりと維持されており、高値圏でのもみ合いが見られている。チャート的にはもう一段の上値も期待できそうな流れではあるが、市場からはネガティブな声も多い。
第2波による再封鎖のリスクとEUとの貿易交渉への不安、そして、英中銀による追加緩和期待など、ネガティブな材料をあげれば枚挙にいとまがない状況。前日の第2四半期の英GDPは前期比で20.4%急減していたが、ポンドの反応は限定的だった。ただ、楽観的になる理由は見当たらないとの声も多く、ポンド下落を見込む声は少なくない。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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