ドル売りが優勢、ドル円は一時107円割れ
ドル売りが優勢、ドル円は一時107円割れ
南ア中銀が緊急利下げを実施
【東京市場】狭いレンジでの取引に終始
ドル円は107円台後半の狭いレンジでの取引に終始した。昨日の海外市場で107円台半ばまで値を落としたドル円は、その後107円70銭台まで上昇した東京朝を迎えた。ユーロドルや豪ドルドルがしっかりで、ドル安基調が継続する中、ドル円は107円50銭台までの調整があったものの、下値はそこまでNY午後の安値をトライする勢いもなく、最も土盛りも107円70銭超えまでとNY夕方の戻り高値も付けきれずという展開に。
ドル全般に売りが見られるものの、株高の動きが強まる中で、円安の動きも見られ、ドル安と円安で相殺された形。
【ロンドン市場】南アが緊急利下げ
ドル全面安の流れ。ドル円は昨日NY市場で下値を支えた107円台半ばを割り込み、売りが強まる展開。米債利回りの低下などを背景にドル全面安基調が強まると、一時107円20銭台まで値を落とす展開となった。
イースター明けの欧州市場で、ユーロは当初売りが優勢に。東京市場ではドル売りの流れもああり1.0900前後から1.0950近くまで上昇する場面が見られたが、その後ユーロ売りが強まり、ロンドン午前に1.0910台まで。しかしそこからドル全面安の流れに一気に上昇。1.0950を超えたあと少し調整が入ったが押し目は限定的。次に1.0950をしっかり超えると上昇に勢いがつき1.0970台まで。
ユーロ円は振幅。東京午後に117円90銭台まで上昇も、118円手前で上値を抑えられるとロンドン午前のユーロ安基調に117円30銭台まで下落。その後はユーロドルが戻したこともあり117円70銭前後まで値を戻している。
ポンドドルはユーロドル同様にしっかり。ロンドン朝に東京市場の高値を超え1.2570台まで上昇後、いったんは1.2520台まで調整が入ったが、その後のドル全面安基調に1.2580台まで。
南ア中銀が緊急利下げを実施。政策金利を一気に1.0%引き下げ4.25%とした。新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウンを5月まで延長したことを受けての対応。この発表を受けて南アランドは急落。ドルランドは18.00前後での推移から一気に18.17近辺に上昇。その後もドル高ランド安が継続し一時18.35近辺まで上値を伸ばした。ランド円は5円70銭台で緊急利下げの発表があり、5円85銭近辺まで値を落としている。
【NY市場】一時107円割れ
ドル需要の後退見通しが広がり、ドル安の流れ
クオモ知事が最悪の時期を脱したとの認識を示したことなどが
リスク警戒後退を誘い、ドルのひっ迫感後退に。
ドルは全面安でユーロドルは1.09台後半、ポンドドルは1.26台まで上昇。
G7財務相・中央銀行総裁がテレビ会議で行われた。
新型ウイルス感染拡大への対応策として、途上国の債務返済を猶予することで大筋合意も
市場の反応は特に見られず。
【本日の見通し】ドル売り基調継続
株高の動きの中で、円買いが一気に進む展開ではないが、
ドル全面安の流れが広がっており、ドル円は頭の重い展開となりそう。
106円台を一時着けたNY市場の流れを継続し、下値模索の展開が見込まれる。
もっともユーロドルのこの上1.10台での買いには慎重姿勢が見込まれるなど、
突っ込んだドル売りにも警戒感。
レンジの切り下がりを意識しつつ、慎重な動きに。
【本日の戦略】戻り売り
ドル円は107円台半ばに近いところを待っての売りを意識。
108円台を回復でいったんストップという意識。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
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《4/14 火曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 107.77 1.0914 117.63
高値 107.78 1.0987 117.94
安値 106.98 1.0904 117.31
終値 107.22 1.0980 117.71
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《の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 19638.81 +595.41
DOW 23949.76 +558.99
S&P 2846.06 +84.43
Nasdaq 8515.74 +323.32
FTSE 5791.31 -51.35
DAX 10696.56 +131.82
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《4/14 火曜日の商品市場》
NY原油先物5月限(WTI)(終値)
1バレル=20.11(-2.30 -10.26%)
NY金先物6 月限(COMEX)(終値)
1オンス=1768.90(+7.50 +0.43%)
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《4/14 火曜日に発表された主な経済指標》
【中国】
貿易収支・元建てベース(3月)12:50
結果 1,394億元
予想 1,585億元 前回 N/A
貿易収支・ドル建てベース(3月)12:50
結果 199.0億ドル
予想 200.0億ドル 前回 N/A
【南ア】
中銀政策金利(5月)17:50
結果 4.25%
予想 前回 5.25%(南ア中銀政策金利)
【米国】
輸入物価指数(3月)21:30
結果 -2.3%
予想 -3.2% 前回 -0.5%(前月比)
結果 -4.1%
予想 -5.0% 前回 -1.2%(前年比)
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《4/14 火曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【日本】
*麻生財務相
(G7のテレビ会議を終えて会見)
新型ウイルス感染に引き続き足並みそろえて対応で一致。
新型ウイルス感染は世界経済を大きく下押しした。
*黒田日銀総裁
日銀の金融政策対応を説明。
必要あれば躊躇なく追加緩和策講じる考えを伝えた。
収束時期にはまだ不透明感が強い。
不確実性は極めて高い。当面感染症の影響見ていく必要。
【米国】
*トランプ大統領
幸いなことに米国は新型コロナウイルスによる死者数が予想よりも抑えられる可能性が高い。
全米的には感染者数の増加ペースはフラット。
この新型コロナウイルスの感染という嵐に影響を受けた人々を助けるためにあらゆること行う。
ファウチNIAID(米国立アレルギー・感染症研究所)所長を首にするつもりはない。
所長の辞任を求める声から守る。
制限なしだと簡単に50万人の死亡につながっただろう。
制限からの再開について、究極の権限を持っている
米国保健福祉省(HHS)が生産法の下で人工呼吸器に関する新たな5つの契約を発表。
5月8日までに6000以上の人工呼吸器をストックする。
*クラリダFRB副議長
新型コロナウイルスの感染被害で、需要が極めて悪い影響を受けている。
政策によってそれを埋め合わそうとしている。
この厳しい局面を切り抜けるだけの経済を支援する手段がある。
現状はデフレではなくディスインフレ状態にあると考えている。
米ファンダメンタルズに悪いところは何もない。
新型コロナウイルスの前には雇用、経済成長、金融市場のそれぞれが非常に力強かった。
そうした状況に戻ることが出ると確信している。
*ホイヤー下院院内総務
下院の再招集は当初予定の4月20日から延期、5月4日以降になる。
必要がある場合、それより早く再招集する可能性がある。
*米NEC委員長
数日中にトランプ大統領から重要な言及がある。
封鎖解除に関して事前に言及したくはない。
トランプ大統領と中国の習近平国家主席の関係は良好。
*ブラード・セントルイス連銀総裁
我々はウイルス感染を乗り越えるとの信頼感を高めている。
FRBの行動は市場機能を担保した。
市場機能が再び良好に機能しない場合はさらに行動。
新型ウイルス感染が管理可能になればV字回復が可能。
*エバンス・シカゴ連銀総裁
インフレ圧力は低下が見込まれる。
インフレは高過ぎるよるも低過ぎるほうが懸念。
プログラムはいずれ、自然にバランスシートを縮小。
*ホワイトハウス
トランプ大統領が16日にG7首脳とウイルス対策で電話会議を行う。
【NZ】
*ロバートソンNZ財務相
追加の政府支援により失業率は10%以下に抑えられ、2021年には5%に戻る。
さらなる財政支援について、すでに作業が進んでいる。
同国の失業率は、4週間後にロックダウンが緩和された場合、13.5%に達する可能性がある。
最高レベルでの規制を6カ月続けた場合は、失業率は26%に達するとしている。
【その他】
*サウジアラビア・エネルギー相
柔軟性と実用主義により、必要に応じて引き続き追加行動を取ることが可能
必要ならば一段の減産を行う用意がある
*アルゼンチン・フェルナンデス大統領
新型コロナウイルスによる経済的な打撃を反映して、債権者に対して債務の再交渉を近日中に行う。
債務交渉が順調に進んでいる。
債務返済の持続可能性は新型コロナウイルスの影響を受ける。
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《本日予定されている主な経済指標》
【インド】
卸売物価指数(3月)15:30
予想 1.40% 前回 2.26%(前年比)
【米国】
MBA住宅ローン申請指数(10日までの週)20:00
予想 N/A 前回 -17.9%(前週比)
小売売上高(3月)21:30
予想 -8.0% 前回 -0.5%(前月比)
予想 -5.0% 前回 -0.4%(自動車除くコア・前月比)
NY連銀製造業景気指数(4月)21:30
予想 -35.0 前回 -21.5
鉱工業生産(3月)22:15
予想 -4.0% 前回 0.6%(前月比)
設備稼働率(3月)22:15
予想 74.0% 前回 77.0%(前月比)
企業在庫(2月)23:30
予想 -0.4% 前回 -0.1%(前月比)
対米証券投資(2月)16日5:00
予想 N/A 前回 209億ドル
【カナダ】
カナダ中銀政策金利 23:00
予想 0.25% 現行 0.25%
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員