ドル安・円高でドル円は節目の150円を割り込む=NY為替概況
ドル安・円高でドル円は節目の150円を割り込む=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安・円高が優勢となり、ドル円は東京時間に引き続き、節目の150円を割り込んだ。一時149円台半ばまで下落。日銀の早期利上げ期待による円高の動きが続いている一方、本日はドル安もドル円を圧迫。世界最大の小売企業であるウォルマートの決算をきっかけに、本日の市場には米景気の先行き不透明感が台頭しており、米株式市場は大幅安、米国債利回りも低下する中でドルも売られた。
今週の日本の10-12月のGDP1次速報が、予想を上回る内容となったが、明日の1月の全国消費者物価も高めの数字が予想される中、日銀の早期利上げ期待がさらに裏付けられるのではと、市場は見ているようだ。
ただ、ドルの先行きに対しては見方が様々。米大手銀の調査では、米景気の減速に対する懸念の高まりと、米国の例外主義の持続性への疑問を反映し、ドルは第1四半期にピークに達するとの見方の一方、関税に関する不透明感が残る中で、ドル安は長続きしない可能性が高いとの指摘も出ている。トランプ政権の貿易政策の不確実性は引き続き、ドルを支える要因であり続けるという。
ユーロドルは4日ぶりに反発し、1.05ドル台を回復。ユーロ高というよりもドル安がサポート。本日の21日線が1.0415ドル付近に来ているが、その水準は維持されている。ただ、ユーロの上値には慎重な声が多い。ストラテジストからは、ユーロドルは経済的な逆風の中で上昇に苦戦するとの見方が出ている。「ユーロは短期的にドルに対して持続的かつ大幅な回復を遂げるのは難しいだろう。ユーロ圏の成長は現在、米国の強さに追いつくことができていない」と指摘。また、「欧州の指導的地位も防衛面での弱体化によって損なわれている」とも述べている。
一方、トランプ大統領はEUに新たな関税を課すことを明確にしている。「貿易戦争は国家予算の負担を増大させる可能性があり、ユーロ圏の回復を脅かす可能性がある。新たな成長の逆風と弱体化した予算はユーロに重くのしかかる可能性がある」と指摘した。
ユーロドルは年央までにパリティ(1.00ドル)まで下落するリスクは依然十分にあると見ているという。
ポンドドルも1.26ドル台に上昇し、100日線に顔合わせした。ただ、対ユーロではポンドは下落。しかし、アナリストからは、英中銀の利下げに慎重姿勢でポンドは対ユーロで上昇する可能性があるとの見方が示されている。
英中銀はECBとの比較では、利下げに対してより慎重姿勢を取っており、今年のポンドはユーロに対して小幅に上昇する可能性が高いという。英中銀は四半期ごとの緩やかなペースの利下げを維持する可能性が高く、これは英国の積極財政策によって、その慎重さはさらに強まるとも指摘。拡張的な財政政策と金融緩和により、今年の英経済は押し上げられ、ユーロ圏との比較であれば、英成長見通しは良好で、それはポンドを下支えする材料となるという。
本日のユーロポンドは0.82ポンド台後半に上昇しているが、6カ月以内に0.81ポンドまで下落すると予想している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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