■中国の報復関税で下げが加速し、リスク回避の流れが強まる?
「米国ファースト」を米国民に植え付けたい・・・・
■先週は、注目されていたFOMCが開催され、予想通り0.25%の予防的な利下げを行いました。
その後のパウエル議長のコメントでも緩和サイクルの開始ではないことを述べたことで一時、109円台に上昇しました。
■しかし、トランプ大統領が対中制裁関税第四弾を発動したことで再度、貿易戦争に突入したことから米債金利が大幅低下し、106.85円まで下落することとなりました。
■今週は、下降トレンド継続と予想しています。
先週の木曜日と金曜日の2日間の下げで、年後半に向けての下降トレンドが形成されました。
第四弾となる制裁関税が発動されたことで、先日のパウエル議長の不透明を更に深めたことになりました。
このトランプ砲はまだまだ続く可能性があり、油断できない状況になりました。
先日の米中首脳会談での会話が一体、なんだったのか・・?と思えるほどの状況に変化しています。
米国側とすれば前回の話の流れから中国が米国産の農産物を大量に輸入するという話が一向に守られない状況で、一方の中国サイドからすればファーウェイ問題が解決するような話だったのが未だに何も進展していないという有様です。
■恐らく痺れを切らしたトランプ大統領が、トランプ砲で先制攻撃を仕掛けたという解釈になると思います。となると中国サイドも恐らく報復関税を今週ないし、来週中に発動する恐れがあるのでその点を考えれば、株式市場は少なくても下げが加速し、リスク回避の流れが強まる恐れがあります。
■また、貿易戦争に突入したことで「予防的な利下げ」が更に加速することが予想できることから、来月以降の利下げは確定的になったことも否めない状況です。
むしろ、0.25%利上げを2回というものでなく、0.5%を一気に利下げすることも視野に入れざるを得なくなった可能性もあります・・・
■いずれにしてもFRBの方針に全く納得いっていないトランプ大統領は、どんな手段を使ってでも利下げをさせることを目論んでいるとしか思えません。
「ドル安」「株高」をなんとしてでも言いたいのは、やはり次期大統領選は間もなく控えていることもあります。
結果的には「米国ファースト」を米国民に植え付けたい狙いであることは明白です。既に外交や内政面でも選挙対策に走り出したのではないかとみています。
■最後にドル円のテクニカルです。
それまでの抵抗であった106円後半ですが、先週のきつい下げでもって、一気に下降トレンドが確定しました。
いうまでもなくターゲットは節目の105円で、中期的なターゲットは103.50円レベルもみえてきそうです。
トレードのイメージは積極的な戻り売り優勢を想定しています。
今年も暑い夏が到来しましたが、相場も閑散どころか熱い下落となりそうです。
トレードタイム 平野朋之 ネット証券にてFX事業全般の業務、自己売買部門でのディーラー業務、投資情報室にて日経225の情報発信、セミナー講師を務める。その後投資顧問会社を経て、マーケット情報発信、セミナー講師、独自手法での資金運用業務を行う