様子見に徹した東京市場。7月1日以来事実上膠着。
日経平均は週末反落、5日線を死守
日経平均は、98円安の21,658円。5日線を一時は割りましたが、最終的には防衛。
基本的には前日までの需給の反転ということなのでしょうが、だからといって半導体始め景気敏感株がことさら下落が激しいというわけでもありません。
ディスコ<6146>は6.8%とかなり大きな下落率になっていますが、アドバンテスト<6857>、東京エレクトロン<8035>、SUMCO<3436>などきわめて軽微な下げにとどまり、せいぜい甘い程度に終わっているもののほうがむしろ多いでしょう。
ただ、これまで一時的に逆風であったディフェンシブ系は、東証REIT指数、任天堂<7974>、OLC<4661>などは反発していますが、これも小幅な反発に留まっています。
要するに、今晩発表予定の米国GDPを控えて、様子見になっていたということなのでしょう。
米GDP発表前
今晩、アメリカでは4-6月期のGDP速報値が発表されます。
1-3月期は3.1%という驚くべき成長率の高さでした。これには、在庫の増大がかなり寄与していたということでした。在庫というものは、景気拡大期であれば需要増大を先取りした動きですから非常に良いことですが、売れなくて残った在庫が増大しているということであれば、景気は後退していることになってしまいます。
今回の4-6月のGDPが後者の懸念を払拭できるでしょうか?
金より円を買えは本当か?~ゴールドマンの説
先日、日経新聞に紹介されていた米ゴールドマンザックスの説です。相場ショックが起こった場合のマネーの避難先として、ゴールドマンが上げたのは、金よりむしろ円だという考え方です。
これは米ゴールドマンザックスが顧客向けレポートで推奨し、市場でも話題になったようです。
伝統的に金や円は安全資産としてみなされることが多かったのですが、金先物価格はすでに6年ぶりと言う高値圏にあり、円は相対的に割安であるという判断のようです。
ゴールドマンが円を有利とみなす根拠は、記事によれば、金を買う権利(コールオプション)の価格が、円のコール・オプション価格に比べて割高になっているので、円が相対的に有利だということのようです。
これとは反対に、あくまで今月、金買いを推奨したのは世界最大のヘッジファンド、米ブリッジ・ウォーター・アソシエーツです。
さて、どちらに軍配が上がるのでしょうか?
物色の変化に注意しよう
まだFOMCではないが、何がどう変化するのかは、いつもの定点観測項目を引き続きウォッチしていれば良いでしょう。
26日の日経新聞朝刊には、「好調な上昇トレンドを続けているREITに不吉な経験則」ということが解説されていました。
例年どういうわけか、REITは7-9月に下げるというのです。一種のアノマリーでしょう。
記事の分析では、日本リテールファンド投資法人など「増資」の常連が8月決算期末であることから、増資による需給悪化がまずある、と言います。
また、地銀など低金利下で運用難にあえいでいる金融業界が、こぞってREITを購入してきたわけですが、9月の中間決算に向けて利益確定を出しやすい、というのが二つめの理由だとしています。
確かに、夏場、REITが弱いということは、東証REIT指数を見てもはっきりわかります。
新興株が資金流出で低迷というのは、本当か?
これも本日日経新聞朝刊記事です。
足元では、半導体など大型のハイテク株中心の上昇が目立っています。
これとは反対に、新興株(とくに東証マザーズ銘柄)は、チャートが崩れてしまっているものが多いです。
この点を記事は指摘しているわけで、その解釈としてはごく一般的なもので、日米欧州で利下げ期待が強まっている中、金利低下なら、有利子負債が多い大型株は金利負担が減るということから、株価が上昇しやすい。また、逆に増資による自己資本増強が普通である新興株の場合には、無借金経営であるところも多いので、金利低下のメリットをそれほど享受できません。従って、株価の動きとしてはこういう局面では、大型株有利、小型不利という相対的な傾向が発生するというわけです。
確かにそうでしょうが、新興株、とりわけ公開してまだ1-2年といった若い銘柄の場合、必ずしもそういうことばかりではないでしょう。
記事が例として列挙していた13銘柄のうち、少なくともトレンドが崩れているわけではないものに、弁護士ドットコム<6027>、TKP<3479>、そしてメルカリ<4385>がありました。
いずれも長期成長性の高い企業だと思います。
ポジション管理
余計な、細かいことなのですが、個人的に気になっている点があります。
日経平均は7月に入ってから、ずっと事実上揉み合い続きです。
しかも非常に薄商いです。
こういう膠着状態の後というのは、たいてい上にブレイクすると以前も何度か述べました。
しかし、その場合であっても、直前にはいったん下にブレすることが、膠着相場の最終局面には往々にしてあるものです。これは、ダマシなのですが(振るい落とし=シェイクアウト)、本当にそれで相場が終わっていくことも当然あるわけです。今回はとくにFOMCを境に、相場つきががらりと変わる可能性があるわけで、上下、どちらのシナリオかまったく読めません。
ダマシなのか、本当に相場終焉なのか、この判断がつきにくい、膠着相場の末の下ブレではその本質を見逃さないようにしないといけません。これが難問です。
戦略方針
日経レバレッジETF<1570>の買い持ちでホールド。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。