日経平均続伸で、7月2日高値に接近
相対的にシクリカル優位の相場展開
本日の東京市場は寄付から好調なスタート。
懸念されたのは、指数プレイに発展しますと、どうしても中小型株が落伍してしまうケースが多発しまいがちなのですが、本日はそうとも言えませんでした。
また、昼から後場にかけて、ダレやすいところでも、ほとんど中だるみせず、高原状態を最後まで保ちました。終値では、88円高の21,709円。
業種の物色はかなり鮮明に、景気敏感優位、ディフェンシブ軟調と別れました。
ただディフェンシブが弱いといっても、任天堂<7974>、OLC<4661>、ニチイ学館<9792>といったこれまで上昇トレンドの象徴的な大型は、さほど激しく売られている様子もありません。
上昇トレンドに入っていけるとすれば(日経平均が7月2日の戻り高値を抜けば)、恐らく両者の循環物色になると思うので、ディフェンシブ系がダメだということにはならないでしょう。
不動産セクターが弱い
その意味では、ディフェンシブ系の最たるものである東証REIT指数は軟調とはいえ、非常にしっかりしています。このへんにも、マネーがディフェンシブ売り、シクリカル(景気敏感)買いに、はっきりと投資行動を転換したというほどでもないことがわかります。
その中にあっては、三井不動産<8801>や三菱地所<8802>など、大手不動産デベロッパーが軒並み酷い下げ方になってきていると言うのが気になります。
あたかも、今後金利は上昇するかのような下げ方です。
もしこれが当たらずと言えども遠からずで、米10年国債利回りが緩やかにせよ、上昇基調になっていくとしたら、不動産大手の下落というのは、わかるような気もします。
銀行は上がれるか
そうなりますと、米長期金利上昇が予定されているから不動産が売られているのであるとすれば、その反対に銀行株が買い直されても不思議ではありませんが、いまのところどうも銀行株はまだ動きが鈍いようです。
しかし、アメリカでは、シティCにしろ、バンカメBACにしろ、JPモルガンJPM、あるいはゴールドマンザックスGSにしろ、一つとして移動平均線を一本たりとも下回っているものはありません。
日本は、三菱UFJ<8306>も、三井住友<8316>も、すべての移動平均線を下回っています。
恐らく米銀の株価の動きからすると、長期金利上昇を前提としていると思われ、それが日本のメガバンク株に反映されていないとすれば、それはあくまで日本の銀行業界の構造上の問題が、今後まったく解決されることは無い、ということなのかもしれません。
日本の銀行株は恐らく底入れをしているのでしょうが、改革シナリオが見えないのでしょう。少なくとも、市場の見方は日本のメガバンクにはことさら厳しいようです。
月末に予定されている日銀会合で、一段の金融緩和措置が一部で観測されているから、日本の銀行株が弱いと言う側面も、あるのかもしれませんが。
世界の半導体販売額の増大
本日の日経新聞「マーケット総合2」面トップは、半導体中心にハイテク株にマネーという解説でした。
本文中一番のポイントだったのは、世界の半導体売上高が今年3月の時点で322億ドル(3兆4000億円)のボトムを打って、以降増大しているということでした。
もともと当レポートでは、16-17年ごろから、工作機械受注・電子部品の市況がピークアウトして、その平均サイクルからいえば、今年の上半期で両者底入れだという想定できましたが、今のところ工作機械受注は底入れできていません。
日韓問題があるにしても、7月からはDRAM価格も反転ということになってきているので、恐らく一番先行的に動く電子部品は、確かに動き始めているのだろうと期待できそうです。
戦略方針
日経レバレッジETF<1570>の買い持ちでホールド。
執筆者 : 松川行雄|有限会社増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
大和証券外国株式部勤務の後、投資顧問業を開業。2013年2月ヘッドハンティングにより増田経済研究所に入社。現在同社発行の「日刊チャート新聞」編集長。株式セミナーに於ける投資理論は個人投資家に満足度100%の人気を博す。