為替相場まとめ9月28日から10月2日の週
28日からの週は、日米両当局の円安牽制と中東地政学リスクを背景としたドル高・エネルギー高の思惑が錯綜し、ドル円が156円台半ばから158円台半ばの間で荒く振幅する展開となった。材料面ではまず、高市首相、片山財務相、三村財務官ら日本の要人に加え、ベッセント米財務長官からも円の過小評価に対する明確な懸念が共有されたことが挙げられる。160円を目前とした財務省の口先介入や日米協調介入への強い警戒感が、ドル円の上値を強力に抑え込み、実効的な下押し圧力として機能した。一方で、米国とイランの停戦交渉難航に加え、米政府のディーゼル輸出禁止報道などを背景に原油価格が急伸し、世界的なインフレ長期化懸念から米10年債利回りが5.3%超へ上昇すると、有事の安全資産としてG10通貨の大半に対してドル全面高が加速した。また金融政策を巡っては、米8月PCE価格指数の下振れでFRBの10月利上げ期待が一時後退したものの、インフレ懸念から年内および来年の追加利上げ観測は根強く推移した。対する日銀側は「主な意見」にて内閣府からの利上げ牽制発言が判明したことで、早期連続利上げへの警戒が和らぎ一時的な円売りを誘発した。総じて、日米金利差に着目したドル高・円安の根本的な潮流は崩れていないものの、介入警戒感と地政学リスクが上値を抑制する攻防が続いている。週末の米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、平均時給も予想よりも弱い結果となって一時ドル売りが進行も、ドル円はその後下げ分を解消して、逆に上昇するなど、下がると買いが出る展開が続いた。
(28日)
東京市場では、ドル円は157.17円から10時過ぎに157.86円まで上昇後、157円台後半でのもみ合いが続いた。前週末の海外市場で日米当局による円安牽制を受け156円台へ急落した流れを引き継いでスタートしたが、米国の早期追加利上げ期待に伴うドル高が相場を支えた。ただし当局への警戒感から高値圏での追随買いには慎重姿勢がみられ、上昇の勢いは抑制された。ユーロドルはドル高主導で1.1395ドルから1.1374ドルまで売られた後、ユーロ円の上昇を受けて1.1390ドル前後へ反発も上値は重かった。ユーロ円は178.85円から179.73円、ポンド円は207.67円から208.99円まで上昇したが、対ドルでの欧州通貨安が響き午後は高値から調整した。
ロンドン市場では、ドル円は三村財務官による日米両国の円安牽制姿勢を強調した発言を受け、157.50円台から東京朝安値を割り込んで156.50円まで約1円急落した。下げ一巡後は、中東情勢警戒による原油高を受けたドル全般の買いに支えられて157円台をあっさり回復し、その後は157.00円を挟む展開となった。ユーロ円は対ドルでのユーロ売りも重なり、財務官発言を機に178.20円付近まで急落後に178.70円台へ反発した。ポンド円も対ドルでの買戻しで208.98円まで戻していたが、発言後に207.60円台へ下落後208.30円台に落ち着いた。ユーロドルは原油高に伴うドル高に押され1.1366ドルへ下落し、ポンドドルはポジション調整から1.3275ドル付近へ買われた。
NY市場で、ドル円はロンドン時間の下げを取り戻す展開となった。ホルムズ海峡再開や停戦を巡る米イラン交渉の難航、原油高などを背景に安全資産としてのドル買いが強まり、一時156円台半ばまで下げていたドル円を下支えした。日米両当局の牽制姿勢や160円手前での介入警戒感、日銀の利上げ観測から短期的には調整余地も意識される一方、日米金利差に着目した中長期の上昇トレンド継続の見方は根強い。ユーロドルは1.13ドル台で振幅し下落リスクが警戒されるが、地政学リスクの改善次第で1.15ドル方向への反発余地も指摘された。ユーロ円は179円付近へ買い戻され、ポンド円は207円台半ばのサポートから208円台後半へ買い戻された。英消費者信頼感には改善が見られるも増税懸念が残る。
(29日)
東京市場では、ドル円は157円台での一進一退が続いた。日米当局による円安牽制や世界的な株安を受けたリスク回避の円買いと、米早期利上げ期待によるドル買いが交錯した。午前中に157.58円まで上昇後、片山財務相の円安牽制発言を受けて157.21円まで下落するなど不安定に推移した。豪準備銀行は政策金利を4.35%から4.60%へ引き上げたが、その後のブロック総裁会見で据え置き検討が明かされるとハト派と捉えられ、豪ドルは対ドル・対円で急落した。ユーロドルはドル高基調で1.1355ドル、ポンドドルは1.3230ドルまで下押し後、下値では買い戻された。ユーロ円は対ドルのユーロの重さが響き178.66円へ下落、ポンド円も208.17円へ下値を広げた。
ロンドン市場は、米金融当局の早期利上げ期待から全般にドル買いが優勢となった。ユーロドルは1.1333付近まで売られ前月安値に接近し、ポンドドルは1.3221付近へ軟化した。ドル円は米10年債利回りが前日終値付近で落ち着くなか157円台前半を中心に揉み合い、一時157.72付近まで買われたが買いは続かず押し戻された。為替介入への警戒感が根強いほか、月末の取引手控えや週末の米雇用統計待ちのムードも動意を削いだ。クロス円は欧州通貨安の影響を受け、ユーロ円が178.39付近へ下押し、ポンド円も208.06付近まで下落するなどやや円高方向に傾いた。英国の景気指標では消費者信用残高の予想以上の増加が見られた一方、ユーロ圏景況感は予想を下回った。
NY市場で、ドル円は一時156円台へ下落する場面もあったが、原油高や米金利上昇、FRBの早期追加利上げ期待によるドル高から157円台での上下動が続いた。片山財務相が円の過小評価防止に向けた日米連携を強調し、市場では介入警戒感とともに日銀の利上げペース加速観測も強まっているが、中長期的なドル高トレンドの見方は崩れていない。ユーロドルは1.13ドル台前半と約1年4ヶ月ぶりの安値圏へ下落し、FRBのタカ派姿勢やフランスの政治リスクが重石となった。ポンドドルは強いサポートとされる1.32ドルちょうど付近で下げ止まったが上値は重い。労働党大会でバーナム英首相はEU離脱の弊害に触れ、11月の首脳会議に向け関係再構築を進める意向を示した。
(30日)
東京市場では、ドル円は午前に日米当局の牽制警戒や仲値のドル売り、豪CPI下振れに伴う豪ドル円急落の影響から157.46円から156.38円まで下落した。しかし午後は株高を受けたリスク選好の円売りから157.24円まで一転して反発し、荒い値動きとなった。ユーロ円は177.34円まで売られた後178.10銭台へ反発し、ポンド円は206.89円まで下落後、英第2四半期GDP確報値の上方修正を受けて208.00円台へ買い戻された。ユーロドルは1.1329ドルまで下落後に1.1350ドル台へ反発した。ポンドドルは良好な英GDP結果を受けて1.3260ドルまで上昇した。原油価格や米金利の上昇一服が全体的なドルの動きに影響を与える展開となった。
ロンドン市場は、欧州通貨買いとドル売りが優勢となった。英GDP上方改定を受けたポンド買いからポンドドルは1.33付近まで上昇し、ポンド円も208.80台へ伸びた。ユーロドルは仏伊独のCPI上振れによるECB利上げ観測で1.1364付近へ買われ、ユーロ円も178円台前半へ反発した。ただしフランス財政懸念から独仏10年債利回り格差が120bpへ拡大し、対ポンドでユーロの上値は重かった。ドル円は東京午前の大幅下落後に下げ一服となり、原油安や米金利低下が一巡するなかで156円台後半から157円付近での揉み合いに終始した。欧州市場全体としては原油価格や米金利の落ち着きを背景にリスク選好の動きが強まり、一連の米経済統計の発表を待つ展開となった。
NY市場では、米8月PCEデフレーターが予想を下回りFRBの10月利上げ期待が後退すると、一時ドル売りが進みドル円は156円台へ下落した。しかし米国債利回りの上昇が再開すると買い戻され157円台を回復した。市場では10月利上げ見送りが意識されつつも高インフレ長期化懸念から年内の追加利上げ観測は根強い。翌日の日銀短観での業況感改善が日銀の利上げを後押しするとの見方も示された。ユーロドルは指標発表後に一時買われるも維持できず1.13ドル台前半へ押し戻され16ヶ月ぶり安値を更新した。ポンドドルは期末の実需買いも重なり1.33ドル台まで上昇後に伸び悩んだが、英景気上振れに伴う英中銀の追加利上げ観測やEUとの関係改善期待が支えとなった。
(1日)
東京市場では、円が売られた。日銀金融政策決定会合の「主な意見」が発表され、追加利上げ姿勢自体は示されたものの早期の大幅・連続利上げを示唆する内容はなかった。さらに政府(内閣府)側から利上げ影響の点検を求める牽制的な意見が出されていたことが判明した。これにより早期追加利上げ警戒が後退し円売りが広がった。ドル円は朝の157.30円台から午後に158.40円まで上昇した。ユーロ円は178.30円台から179.31円、ポンド円は208.70円台から209.87円まで上値を伸びた。対ドルでは円売りに伴うドル買いが波及し、ユーロドルは1.1337ドルから1.1309ドルへ、ポンドドルは1.3273ドルから1.3245ドルへ下落するなど、欧州通貨に対してドル優勢の展開となった。
ロンドン市場では、米政府によるディーゼル輸出禁止の可能性が報じられ、欧州のエネルギー不安が高まったことから欧州通貨売り・ドル買いが加速した。原油先物が92ドル台へ急昇し米10年債利回りも5.34%付近へ上昇するなか、インフレ警戒や中東情勢の不透明感から有事のドル買いが進み、ドル指数は年初来高値を更新した。ユーロドルは1.1266付近まで下落し、ポンドドルも一時1.3193付近まで値を下げた。アジア時間に円安が進んでいたドル円は158.45付近で伸び悩み、欧州株安や欧州通貨安の波及によるクロス円の売りに押される形で、ユーロ円は179円台前半から178円台前半へ、ポンド円も210.00付近から208円台後半へ反落した。
NY市場では、ドル円が神経質に振幅。ドル高の流れのなかドル円は一時157円台前半まで急落する場面もあったが、介入等の情報がなく一巡後は158円台へ買戻された。高市首相訪米に合わせた口先介入による下げを取り戻し、200日移動平均線が位置する158円台半ばを試す展開となった。米PCE下振れや当局者発言で10月利上げ期待は後退しているが、イラン情勢への懸念やインフレ長期化から年内1回、来年3回の利上げが見込まれドルの先高感は強い。ユーロドルは欧州の財政・政治リスクを背景に1.12ドル台前半へ下落し、重要節目の1.1250ドルを割り込んだ。ポンドドルも1.3180ドル付近へ下落したが、バーナム英首相によるEU再加盟を含めた関係改善期待から対ユーロでは高値を更新した。
(2日)
東京市場では、ドル円は157.54円付近まで下落した。9月の東京都区部コアCPIが前年比+2.7%へ加速し、日銀の追加利上げ観測が強まったことが円買いを誘発。午後には今夜の米9月雇用統計の発表を控えてドルポジションの調整売りが進み、主要通貨に対してドル安傾向が強まった。ユーロドルは1.1260ドル付近、ポンドドルは1.3217ドル付近、豪ドルドルは0.6940ドル付近までそれぞれ小幅に上昇。一方、クロス円はユーロ円が177円台半ば、ポンド円が208円台半ば、豪ドル円が109円台半ばで推移し、東京時間帯の動意は限定的となった。米雇用統計前の様子見ムードのなか、最近のドル高に対する利益確定やポジション調整が主導する展開となっている。
ロンドン市場は米雇用統計を控え、神経質な展開となっている。序盤はドル高ポジションの調整に加え、仏大統領の軽油・原油備蓄放出提案を受けた原油急落がドル売りを誘った。ドル円は157円台半ばへ下押しし、ユーロドルは1.12台後半、ポンドドルは1.32台乗せへ上昇した。その後は独仏10年債利回り格差が152bpと2012年以来の高水準となり、ユーロに売り圧力が強まった。ユーロドルは1.12台前半へ反落し、ユーロ円やユーロポンドでも売りが優勢。全般的にはドル安・円高の流れの中でユーロ売りが加わる構図だが、値動きは雇用統計前の調整の域にとどまっている。ポンドドルは1.32台を維持し堅調。
NY市場では米雇用統計を受けたドル売りが一時進んだものの、その後反発する展開を見せた。ドル円は157.60円台で米雇用統計を迎え、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回る伸びとなり、前回値も下方修正、平均時給も市場予想を下回るという弱い結果にドル売りが広がって、156.95円を付けた。しかし、円キャリー取引再開見込みや、一時下げた米債利回りの反発などもあって上昇。ドル円は米雇用統計前の水準を超えて157.90円台まで上値を伸ばした。クロス円はドル円同様に米雇用統計後に円買いが強まり、その後反発。ユーロ円は176.75円前後から176.62円まで下げ、その後177.80円前後まで反発。ポンド円は208.10円前後から207.72円まで下げ、その後209.11円まで上昇。ポンド円に関してはユーロドルと違い対ドルでのポンド売りが目立たなかった分だけ上昇の勢いがあり、東京市場の高値を超えての上昇となっている。
執筆者 : MINKABU PRESS
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