為替相場まとめ2月16日から2月20日の週
16日からの週は、円安・ドル高が優勢。「日米の政策スタンスの差」で、日本の弱いGDP、CPIの伸び鈍化を受けた日銀の慎重姿勢が円を押し下げ、逆に米金融当局のタカ派的なメッセージと一連の強い米指標がドルを支えたことが要因となった。高市内閣2.0の開始で責任ある積極財政が円安に作用する面も指摘された。その中で、英国の弱い雇用統計がポンド急落を招き、リスク回避の流れから円高・ドル売りが一時強まったが、これはあくまで短い揺り戻しで、全体の流れを変えるほどの力はなかった。さらに「地政学」というノイズが乗った。米・イラン核協議の進展と緊張が交錯したことで原油高やリスク警戒が断続的に上値を抑えたものの、局面ごとに神経質な動きをみせた。ただ、基調としての円安・ドル高には目立った変化はみられていない。
(16日)
東京市場は、円安が優勢な展開となった。午前8時50分に発表された日本の第4四半期GDP速報値は、前期比プラス0.1%、年率換算でプラス0.2%と、市場予想(前期比プラス0.5%、年率プラス1.6%)を大きく下回る低調な結果であった。この弱い成長率を受け、市場では日本銀行による早期の追加利上げは当面困難であるとの見方が広がり、円売り圧力が強まった。前週末には米国の消費者物価指数(CPI)の弱さからドル売りが進行し、ドル円は一時152.60銭台まで下落していた。週明けは152.62付近で取引を開始し、GDP発表直後には153.10台まで急上昇した。その後は一時的に153円割れを見せる場面も見られたものの、午後にかけて再び円売り基調が強まり、153.25付近に達した。クロス円についても、ユーロ円やポンド円が上昇したほか、中国経済の回復期待から豪ドル円も大きく上昇するなど、全面的な円安進行となった。
ロンドン市場でも東京市場からの流れを引き継ぎ、円売りが優勢な展開が続いた。東京早朝に発表された日本のGDP速報値が予想を大幅に下回ったことに加え、高市首相と植田日銀総裁の会談において、総裁が「首相から政策についての特別な要望はなかった」と言及したことが影響した。市場が警戒していた早期追加利上げに対する具体的な言及が避けられたことで、円安進行に拍車がかかった。ドル円はロンドン午前において高値を153.64付近へと伸ばし、東京早朝の安値からは約1円幅の上昇となった。ユーロ円が182円台乗せ、ポンド円が209円台後半まで高値を伸ばすなど、クロス円も軒並み円安方向に振れた。欧州株や米株価指数先物が底堅く推移しており、リスク選好姿勢を背景とした円売りも観測された。独自の取引材料には乏しく、ユーロドルやポンドドルは狭いレンジでのもみ合いに終始した。
NY市場は米国の祝日であるプレジデンツデーに伴い、株式市場および債券市場が休場となった。そのため、市場参加者が極めて限定的となり、主要通貨ペア全般において様子見ムードの強い一日となった。ドル円は153円台前半での取引となり、週明けオセアニア市場の152.62付近を安値に買われた流れを維持したものの、新規の手掛かり材料に欠け、大きな値動きは見られなかった。ユーロドルについても1.1858から1.1878付近の極めて狭いレンジでの推移にとどまり、動意薄の展開に終始した。通常であれば米国市場の時間帯に発表される経済指標や要人発言が為替相場のトレンドを左右するが、休場の影響で流動性が極端に低下し、各通貨ペアともにロンドン市場までの流れを引き継いだまま、閑散取引のなかで静かに推移する形となった。
(17日)
東京市場は、前日の流れから一転して円高優勢の展開となった。ドル円は153.40台を中心とするもみ合いからスタートし、朝方には一時153.76付近を付けた。しかし、その後はリスク警戒感が広がり、急速なドル売り円買いへと相場が反転した。154円手前の売りが意識されたことに加え、米株価指数先物や日経平均株価の軟調な推移が投資家のリスク回避姿勢を強めた。また、日本の長期金利低下が見られたが、これはリスク警戒からの日本国債買いによるものとして円買いの材料となった。午後に入っても円買いの勢いは衰えず、ドル円は153.00手前でいったん下値が支えられる場面もあったが、その後大台を割り込み152.80銭台を付けた。クロス円も同様に軒並み円買いが優勢となり、ユーロ円は181.03付近、ポンド円は208.05付近まで値を下げる展開となった。
ロンドン市場では、円高の流れが再燃するとともに、ポンド安が際立つ展開となった。この日発表された英国の雇用統計が、失業率の上昇や賃金の伸び鈍化など弱い内容であったことを受け、ポンドドルは1.3610付近から1.3552付近まで急落した。ポンド売りが一巡した後は、東京市場からの円高の流れが再燃し、ドル円はロンドン序盤に安値を152.70付近まで更新した。ユーロ円は180.82付近、ポンド円は207.35付近まで安値を広げるなど、クロス円も全面安の様相を呈した。欧州株式市場は総じて堅調に推移したものの、米国とイランの間の地政学的緊張が継続し、原油価格が再び急騰するなど、市場全体に警戒感が漂った。米株先物がマイナス圏で推移したこともリスク回避の円買いを後押しし、足元では円高の勢いは落ち着いたものの、不安定な情勢が続いた。
NY市場では、中東情勢の混迷を受け、ドル円は上に往って来いの展開となった。イラン情勢の緊迫化で序盤はドル高が強まり、一時153円台後半まで上昇した。しかし、ジュネーブでの米伊協議で進展があったと報じられ、懸念が一旦後退するとドルは戻り売りに押され、153円台前半に伸び悩んだ。一方、円の買い戻しも根強く、ロンドン時間には152円台に下落する場面もあった。市場では円がひとまず底を打ったとの見方や、今後の円高の持続性は高市首相の経済・財政政策の進展にかかっているとの声が出ている。ユーロドルは一時1.18ドル割れを試した後に1.18ドル台半ばに戻し、ポンドドルは英雇用統計の弱さから一時1.34ドル台まで下落した。ポンド円は一時207.25付近まで下落し、100日線に顔合わせする場面も見られた。
(18日)
東京市場は、午前中にドル高円安が進行し、午後はもみ合いとなった。ドル円は昨日の海外市場を経て153.30付近での推移から、朝方は一時153.07付近まで下落した。その後は米債利回りが上昇に転じ、10年債利回りが4.07%台を付けたことや、米株先物の反発を受けてドル買い円売りが優勢となった。ドル円は午前中に153.70台まで上昇し、その後は午後まで153.50付近を挟んで推移した。注目されたNZ中銀の金融政策会合では、市場予想通り政策金利が据え置かれた。しかし、声明やその後の会見が景気回復をサポートする姿勢を示すなど、市場の思惑よりもハト派な内容であったことから、発表後にNZドル売りが強まった。クロス円は午前のドル円上昇につれ高となり、ユーロ円は182.01付近、ポンド円は208.32付近まで上昇した。
ロンドン市場では、ドル高・円安に加えてポンド高・ユーロ安も交錯した。ドル円の上昇が目立ち、東京午前の153.07付近を安値に、ロンドン午前には高値を153.86付近まで伸ばした。米10年債利回りの上昇が日米金利差を意識させ、ドル円を下支えした。一方、ポンドは英CPIでコアインフレが予想ほど鈍化しなかったことを受けて買われ、ポンドドルは1.3582付近まで上昇、ユーロドルはドル高圧力を受けて1.1829付近まで軟化した。ユーロ対ポンドでもユーロ売り・ポンド買いが鮮明となった。ユーロ円は東京午前の181.42付近から一時182.07付近まで上昇したが、その後はポンド買い圧力を受けて対ポンドでユーロ安に傾いた。ポンド円は東京午前の207.63付近を安値に、ロンドン市場では208.84付近まで高値を更新した。
NY市場では、ドル高が優勢となり、ドル円は一気に154円台後半まで駆け上がった。米経済指標が予想を上回る強い内容であったことや、FOMC議事録で数名が「利上げ」の可能性を示唆したことがタカ派的と受け止められ、ドルを押し上げた。なお、1月にNY連銀がレートチェックを実施したことを正式に認めた点も注目された。ユーロドルは1.18ドルを割り込み、1.17ドル台に下落した。一方、ユーロ円はドル円の買い戻しに連れ、182円台半ばに上昇した。ポンドドルは一時1.34ドル台まで下落したが、英CPIを受けて3月利下げ見送りの可能性も指摘されるなど、複雑な反応を見せた。ポンド円はドル円の上げに沿って上昇し、209円台に乗せた。英インフレの鈍化傾向は示されたものの、サービスインフレが高止まりしていることから、ポンドは対円や対ドルで荒っぽい値動きとなった。
(19日)
東京市場では、前日のドル高円安の流れが継続し、ドル円は一時155.34付近まで上値を伸ばした。朝方は155.00を前に上値追いに慎重な姿勢も見られたが、日経平均の力強い伸びもあって円売りが強まると、昼前に155.00超えを記録した。その後、利益確定売りに154.70銭台まで調整が入ったがすぐに反発し、午後に入ってドル買い円売りが強まり再び155.34付近を付けた。ユーロドルは1.1780付近から1.1799付近での推移となり、ポンドドルも1.3481から1.3501のレンジで落ち着いた動きとなった。ユーロ円は円安を受けてしっかりとした動きで、朝方の182.40付近から午後に183.15付近まで上昇した。ポンド円も同様に円安を受けて、朝方の208.65付近から209.48付近まで値を上げた。
ロンドン市場では、東京市場で見られた円安の動きに調整が入り、上に往って来いの展開となった。ドル円は155.34付近の高値を付けた後、ロンドン勢の本格参加後は売りに転じ、154円台後半へと押し戻された。ユーロ円は183.15付近から182.19付近へ、ポンド円も209.54付近から208.29付近へといずれも反落した。地政学リスクの高まりが警戒され、金や原油が買われる中で、欧州株や米株先物は軟調に推移した。また、この日のNYカットではドル円の155.00などに大口のオプション期限が観測され、行使価格へのマグネット効果も意識された。ユーロドルは1.1783付近から1.1808付近まで上昇後に押し戻され、ポンドドルは1.3517付近まで買われた後、足元で1.3467付近まで安値を広げるなど、ドル相場も方向感を欠く振幅を見せた。
NY市場では、米経済の底堅さを背景にドル高が再燃した。前日のタカ派的なFOMC議事録に加えて、本日の堅調な米新規失業保険申請件数を受けて、市場の利下げ期待が後退し、ドル円は155円台へと再浮上した。今後のインフレ動向次第では利上げの可能性も指摘されており、明日のPCE価格指数が注視されている。一方、欧州通貨は軟調に推移した。ユーロドルは1.17ドル台半ばまで下落。ECB当局者はユーロ高に一定の理解を示しつつも、インフレ低下時の追加利下げ余地にも言及した。ポンドは、今週発表された弱い英雇用統計に伴う英中銀の3月追加利下げ観測や、英首相の進退を巡る政治的混乱が重しとなり下落リスクに直面している。ポンドドルは1.34ドル台半ば、ポンド円は208円台前半へ値を下げた。全体として、米金利上昇に伴うドル買いが相場を主導する展開となった。
(20日)
東京市場では、ドル円が堅調。午後には一時155.38円と前日の高値を上回った。朝方は155円前後でスタートし、下値の堅さを確認しながら上昇したものの、今夜の米第4四半期GDP速報値など重要指標の発表を控えているため、高値警戒感から155.10円台に押し戻されるなど、一方向の動きには慎重な姿勢も見られる。一方、欧州通貨は対ドルで上値の重い展開となり、ユーロドルは1.1750ドルをサポートに1.17ドル台半ばから後半での揉み合い、ポンドドルも狭いレンジでの推移にとどまった。クロス円も方向感を欠き、ユーロ円は182.50円を挟んだ推移、ポンド円も下落後に反発するなど一進一退の動きとなった。ドル円の上昇による円安と、対ドルでの欧州通貨安の板挟みとなり、全体として明確なトレンドが出にくい相場環境となっている。
ロンドン市場は、神経質に振れる動き。ドル円は一時155円割れとなったあと、すぐに買いが入り155円台後半まで上昇。クロス円も同様に振幅。ユーロ円は182円台前半から一時183円台乗せ、ポンド円は208円台半ばから209円台半ばまで一時上昇した。ユーロは、ドイツPMI速報値の回復やECB妥結賃金上昇が買い材料。ポンドは、英小売売上高の予想上振れや英PMI速報値に底堅さなどが下支えとなった。ユーロドルは1.17台前半から後半に下げ渋り、ポンドドルは1.34台前半から1.34台後半へと高値を伸ばした。ただ、足元ではこのあとのNY市場で発表される米GDP速報値やPCE価格指数の結果を見極めたいとして調整が入っている。ドル円155円台前半、ユーロ円182円台半ば、ポンド円209円付近などへ反落している。米国とイランの緊張を受けて原油や金には買い圧力が継続。一方、欧州株や米株先物・時間外取引は堅調に推移している。
NY市場はドル安が強まり、ドル円も154円台に値を落とす場面が見られた。最高裁がトランプ関税の効力を認めないとの判断を下したことでドル安の反応を示している。ただ、トランプ政権は別の手段に迅速に切り替える可能性が高く、判決回避のために利用できる複数の手段を持っていると見られている。実際にトランプ大統領は、世界的に10%の関税を課す大統領令に署名する方針を示し、さらなる関税発動を可能にする一連の調査を実施する方針も示していた。一方、本日は第4四半期の米GDP速報値と1月のPCE価格指数が公表され、為替市場はドル高で反応していた。GDPは1.4%増と予想を大きく下回った一方、PCE価格指数は予想を上回り、市場の利下げ期待の後退を正当化する内容となった。GDPについては、政府機関閉鎖の影響のほか、個人消費と貿易が下押し要因となっていた。
執筆者 : MINKABU PRESS
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