【これからの見通し】米利下げ観測後退で米株に調整圧力、週末も控えてドル円は154円台維持できるか
【これからの見通し】米利下げ観測後退で米株に調整圧力、週末も控えてドル円は154円台維持できるか
昨日のNY市場では、米株式市場の主要3指数がそろって大幅安となった。このところの米金融当局者発言が12月利下げに慎重な見方が多くなっていることが一因。このところ、AI株主導で買いが膨らんだこともあり、ポジション調整を誘発した面もあるようだ。米政府機関は再開したが、今後の米経済指標発表予定はまだ不明。来週には9月米雇用統計が発表される公算が高いが、10月についてはインフレ指標ともども発表されない可能性が指摘されている。ファンダメンタルズ面の手掛かりに確信が持てないなかで、FRBは次の一手が打ちづらい面もありそうだ。
ドル円相場は155円台をつけたあとは、上昇進行は一休みとなっている。きょうは上記の状況に加えて、週末を控えた調整も入りやすい。154円台を維持できるのかどうか、注意しておきたい。
また、きょうはポンド売りが目立っている。11月26日の秋季予算案発表が注目されるなか、英FT紙が「首相と財務相が26日の予算発表を前に所得税率引き上げの計画を断念した」と報じたことがポンド売りを誘発している。今週発表された英雇用統計や英GDPなども弱含んでおり、ポンド相場には財政持続性の不透明感とともに英景気動向への警戒感も加わっている。ポンドは対ユーロで年初来安値水準を更新している。
このあとのロンドン勢がポンド売りを一段と強めるのかどうかも、この後のマーケットの注目ポイントとなろう。
この後の海外市場で発表される経済指標は、香港実質GDP(確報)(2025年 第3四半期)、ユーロ圏実質GDP(改定値)(2025年 第3四半期)、ユーロ圏貿易収支(9月)、カナダ製造業売上高(9月)、カナダ卸売売上高(9月)などが予定されている。ユーロ圏GDPは改定値であり、市場予想も速報値から変化はない見込みとなっている。予想外の大幅改定でもなければあまり材料視されないだろう。
発言イベント関連では、欧州時間にはエスクリバ・スペイン中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、エルダーソンECB理事などがイベントや会議に出席する。NY時間に入ってからは、レーンECBチーフエコノミスト、シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、ローガン・ダラス連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁などが講演や経済イベントに出席する。一連の米金融当局者が12月FOMC会合にどのような姿勢で臨むのかを確認したい。ちなみに、シュミッド総裁が投票権を有している。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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