【来週の注目材料】米個人消費動向を探る=米小売売上高
【来週の注目材料】米個人消費動向を探る=米小売売上高
トランプ関税を受けて大荒れの展開が続く中、市場の注目はトランプ大統領及び関係者の発言に集まっています。
ただ、相互関税のリストが示され、中国を除いて90日の猶予が決定したいま、発動した一律10%の関税、中国に対する125%の関税、
個別に発動している鉄鋼・アルミニウム関税、自動車及び同部品関税の影響を見極めることも重要となってきます。
そうした中、関税の影響を受ける個人消費に関する重要指標、3月の米小売売上高が4月16日に発表されます。
前回2月の米小売売上高は前月比+0.2%となりました。市場予想の+0.6%を大きく下回る鈍い伸びでした。1月分が-1.2%と速報時点での-0.9%から下方修正。2021年7月以来の大幅な低下となっています。変動の激しい自動車を除いた数字は+0.3%と市場予想通りの伸び。ただこちらも1月分が-0.6%と速報時点の-0.4%から下方修正となっています。
売り上げが最も大きい自動車及び同部品が-0.4%となり、全体を押し下げました。同部門は12月に年末商戦もあって大きく伸びた反動で、1月が-3.7%と大きく減少しました。そこからの回復が期待されていましたが、小幅ながらマイナス圏となり、厳しい状況が示された形です。ガソリンスタンドや家電などの売り上げも低迷しました。幅広く低下した中で特に目立ったのが飲食店の-1.5%です。小売売上高の中で唯一サービス部門での売上となる同部門は約1年ぶりの落ち込みとなりました。関税などの影響を受けて家計が財布のひもを締めるなか、必需品とは言いにくい外食などの落ち込みが見られた形です。一方強かったのが無店舗小売(アマゾンなどです)、トランプ関税発動を前にして、駆け込み需要があったとみられます。
前回は厳しかった米小売売上高、今回は前月比+1.4%と力強い伸びが見込まれています。ただこれは自動車関税を前にした自動車の駆け込み需要の影響が大きいとみられます。4月3日に発動した自動車関税、米国に輸入される自動車に一律25%の追加関税となります。日本の場合乗用車に2.5%、トラックに最大25%の関税がかかっていましたので、乗用車に27.5%、トラックに最大50%の関税がかかることになります。部品については5月3日までに25%の追加関税がかかります。こうした関税発動を前に前倒しで自動車を購入するという動きが広がり、小売売上高に反映されているとみられます。
自動車を除いた数字は前月比+0.4%と2月の+0.3%から小幅改善見込み。4日に発表された3月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+22.8万人と、市場予想の+13.7万人及び2月の+11.7万人を大きく上回り、米雇用市場の底堅さを印象付けました。個人消費は雇用動向に強い影響を受けますので、雇用市場の底堅さが好材料となります。予想程度の好結果は十分期待できますし、それ以上に強さを見せる可能性も十分ありそうです。
MINKABUPRESS 山岡

執筆者 : MINKABU PRESS
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