トランプ大統領の発表でドルは買い戻しが加速 ドル円は一気に148円台に急伸=NY為替概況
トランプ大統領の発表でドルは買い戻しが加速 ドル円は一気に148円台に急伸=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが加速し、ドル円は145円付近から急上昇した。トランプ大統領が、米国に対して報復措置を講じていない国・地域に対して、90日間の関税一時停止を承認した。これを受けて、株急騰とともにドルも買い戻しが強まり、ドル円も急上昇した格好。
その流れの中で今度はFOMC議事録が公表され、委員の大半がインフレはより長期化する可能性があると発言していたことが明らかになると、ドルはさらに買い戻しを加速。ドル円はストップを巻き込んで一気に148円台に急伸している。
一部からは、トランプ大統領の保護主義政策により、長期的にドルの準備通貨としての地位が脅威にさらされる可能性があると指摘が出ている。各国中銀や大手企業は目先はドルを買い集める可能性がある一方で、今後はドル建ての請求書を減して来る可能性があるという。これは長期的にドルへの依存度を減らし、準備通貨としての地位を弱めることになるとしている。ただ、本日のトランプ大統領の発表で、それについてはひとまず後退していたようだ。
ユーロドルは一時1.11ドルをうかがう展開も見られていたが、トランプ大統領の発表で後半に伸び悩む展開。ただ、21日線の上はしっかりと堅持し、1月からの上昇軌道を維持している。
一方、今回のトランプ関税の脅威と市場の不安定化で、市場はECBの利下げ期待を高めている。来週のECB理事会での利下げをほぼ完全に織り込んでいるほか、ECBは来年にかけて想定以上に利下げを実施する可能性も指摘されている。
ECBは1月の月報でユーロ圏の中立金利は1.75-2.25%程度を推計していると発表し、市場も今回の利下げサイクルのターミナルレート(最終到達点)をその水準を想定。しかし、関税を巡る混乱で1.50%までの利下げもあり得るとし、リセッション(景気後退)の可能性が浮上すれば、1.00%までの景気配慮型の緩和政策も視野に入るという。
ポンドドルは1.28ドル台に買い戻された。トランプ大統領の発表でドルの買い戻しが強まったが、それ以上にポンドが買い戻され、ポンドドルは逆に上昇の反応を示した。関税の90日間猶予については高水準の相互関税がかかっている国、地域に対して、ベースである10%に当面は下げる内容。英国は最初から10%であることから、実質的な変化はない。ただ、これにより、リセッション(景気後退)への警戒が後退していることや、債券市場が買い戻され、英国債も落ち着いており、ポンド買いを誘発していたようだ。
ポンドのドライバーは最近のセッションで著しく進化しており、再び高ベータ通貨として取引されているとの指摘が出ている。それは貿易摩擦のエスカレートに伴うリスクに一部依存することになるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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