【これからの見通し】日米金融政策を確認、植田日銀総裁会見に続いて米FOMCの金利見通し
【これからの見通し】日米金融政策を確認、植田日銀総裁会見に続いて米FOMCの金利見通し
きょうは日米金融政策発表の内容を確認したい。このあと、日本時間午後3時30分からは植田日銀総裁会見が開催される。直近の春闘の内容が前年から引き続き堅調なものだったことで、日銀の見通しに沿った利上げ路線が確認されそうだ。ただ目先はトランプ関税が世界貿易に悪影響を与えており、先日のOECD経済経済見通しでは世界成長予測が引き下げられていた。金融当局の常として、不透明感が高まる状況下においてはアクションを手控えることも想定される。植田日銀総裁がトランプ関税についての影響についての言及をぼかすようだと、早期利上げ観測がいったん後退する可能性がありそうだ。
米FOMCでは日銀と同様に政策金利の据え置きが市場に織り込まれている。注目ポイントはFOMCメンバーの金利見通しとなる。前回は年末のドットプロット中央値が3.75-4.00%と現在の4.25-4.50%からあと2回の利下げが想定されていた。一方、昨今発表された一連の弱い米経済指標結果を受けて、市場ではさらにあと1回の利下げが織り込まれている状況。市場に寄り添った水準となるのかどうか。ポイントはトランプ関税が短期的に国内インフレを上昇させる効果をどう見ているのかにかかっているようだ。
表面的には今回の日米政策金利の据え置きは、両国金利差縮小観測が小休止することを意味する。ドル円相場にとっては上昇圧力となりやすい。ただ、足元の相場では150円の心理的水準が上値を抑えており、オプションなどの壁が存在していることが示されている。両イベントを通過して150円台に乗せられるのかが焦点となろう。
今週は政治的な動きも多々ある。トランプ関税については4月2日に相互関税の税率が明示されるという。今後2週間のドル相場動向が税率に影響する可能性も指摘されており、特にドル円の円安の動きには注意が必要となりそうだ。ウクライナをめぐる米ロ電話会談では基本線での一時停戦は合意されたものの、ロシア側の条件は厳しく、和平達成への道のりはまだ遠そうだ。ドイツ議会は財政規律に関する憲法改正案を緑の党の賛成とともに通過させた。ドイツ景気押し上げ効果への期待からユーロ相場が押し上げられてきた。ユーロドルが本格的に1.10の節目を試してくるのかがポイントとなる。
この後の海外市場で発表される経済指標は、インドネシア中銀政策金利、南ア消費者物価指数(2月)と小売売上高(1月)、ユーロ圏消費者物価指数・確報値(2月)、米MBA住宅ローン申請指数(03/08 - 03/14)、FRB政策金利(FOMC)(3月)、対米証券投資(1月)、ブラジル中銀政策金利(3月)などが予定されている。
発言イベント関連では、まず植田日銀総裁の記者会見を確認することとなる。続いてセンテノ・ポルトガル中銀総裁、デギンドスECB副総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、エルダーソンECB理事など一連のECB当局者の講演イベントなどを経て、NY後半には米FOMC声明、四半期経済見通し・金利予測公表、パウエルFRB議長の記者会見など注目イベントが控えている。その他には、米週間石油在庫統計が発表される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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