ドル円、調整を活発化させ一時150円台半ばまで急落=NY為替概況
ドル円、調整を活発化させ一時150円台半ばまで急落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、明日の感謝祭を前にドルロングの調整が強まり、ドル円も調整を活発化させていた。一時150円台半ばまで急落し、本日の高値から300ポイント近く下落する場面も見らた。きょうの下げで200日線を下回っており、感謝祭明けの動きが注目される。
ただ、金融政策の情勢に変化はない。FRBは利下げの方向性は維持しているもののペースについては慎重になっている。日銀は12月か1月の追加利上げが有力視されているものの、どちらになるかは不透明といった状況。
この日は第3四半期の米GDP改定値と、FRBがインフレ指標として重視している10月分のPCEデフレータが発表された。GDPは個人消費が下方修正されたものの、全体的には速報値と同じ2.8%成長となり、力強い米経済を示している。一方、PCEデフレータはFRBが注視しているコア指数が前年比2.8%と前回よりもやや上昇していた。
このところの力強い米経済指標の発表で、FRBは追加利下げに慎重姿勢になっている。本日の米経済指標はその姿勢を裏付ける内容ではあった。ただ、市場は12月のFOMCについては利下げを五分五分と見ており、FRBも数字次第でオープンの姿勢を強調している。
本日の数字は変化を与えることはなく、12月18日のFOMCの結果発表までに発表になるデータ待ちといった状況のようだ。短期金融市場でも12月利下げの確率は65%程度で前日から変化はない。
ユーロドルは買い戻しが強まり、一時1.05ドル台後半まで上昇。ロンドン時間にシュナーベルECB理事がECBの追加利下げ余地は限定的と慎重姿勢を促したこともユーロの買い戻しを誘っていた。ドルの戻り売りの流れの中で敏感に反応していたようだ。同理事は中立金利は2-3%と推定しており、行き過ぎないよう利下げは徐々に実施すべきとの認識を示している。
ユーロドルは10月以降の下げでかなり売られ過ぎている面もあり、ここに来て買い戻しを入れやすいタイミングにはある。ただし、リバウンドしたとしても、自律反発の域を出ない点は留意される。
ポンドドルも買い戻しが強まり、1.27ドル台までの戻りを試す動きが見られた。目先は本日1.28ドル台前半に来ている200日線まで買い戻されるか注目される。
アナリストは、他のG10国と比較して英国は金利が高いことがポンドを下支えしていると述べている。英中銀の利下げ路線は、より積極利下げを行うと見られているECBに比べれば、FRBの慎重姿勢に近いものとして、引き続き取引されているという。
これはポンドの対ユーロでの上昇を示唆し、年末までにユーロ/ポンドは0.83ポンドまで下落する可能性があるという。また、英国はユーロ圏ほどはトランプ関税の影響を受けず、英中銀も依然インフレ高騰を懸念していることから、0.82ポンドまでの下落リスクも見ているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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