為替相場まとめ 8月19日から8月23日の週
19日からの週は、ドル安円高が優勢となった。21日水曜日の米労働省労働統計局による年次改定において、2023年4月から2024年3月まで1年間の雇用者数が最大100万人下方修正されるとの観測が報じられ、一気に警戒感が強まった。月曜日に思惑ベースで売りが出た後、いったんは買い戻しが入ったが、実際に80万人を超える大幅な下方修正となったことでドル売りとなり、さらに23日の植田日銀総裁による国会閉会中集中審議での答弁での金融正常化に向けた姿勢継続と発言したことや、同日のジャクソンホール会議でのパウエル議長講演において、利下げが明言されたことなどがドル売りにつながった。議長は金融政策を調整する時は来た、方向性は明確であると発言。ただ利下げのペースなどについては今後のデータ次第との姿勢を維持した。
(19日)
東京市場は朝の148円05銭から145円台前半までの大きな下げとなった。きっかけとなったのは週末に米金融メディアが報じた21日の米労働省労働統計局(BLS)年次改定での2023年4月から2024年3月まで1年間の雇用者数が最大100万人の下方修正との観測。これまで利下げを押さえてきた米雇用市場の堅調さが、市場が認識していたよりも早く後退していた可能性が示されたことで、米国の利下げへの期待が強まる形でドル売り円買いとなった。ユーロドルなどでもドル売りが出たが、ドル円の動きが大きくクロス円も軒並み大きく下げた。
ロンドン市場はドル円の買い戻しが入った。23日のジャクソンホール会議でのパウエル議長講演などを前に、行き過ぎた動きには警戒感が出ていた。
NY市場に入ってもドル円の買い戻し傾向が見られ、ドル円は146円台半ばまで買い戻された。東京市場の下げの半分程度戻した水準でのもみ合い。ドル売りの意識は継続も、行き過ぎた動きへの警戒感が見られた。ユーロドルでのドル安はこの時間帯に強まった。1.10ドル台後半を付け、今年の最高値を更新する動き。ECBの利下げが好調な経済成長などで鈍化するのではとの期待が広がり、利下げ期待が強まる米国との対照的な状況がユーロ買いドル売りとなった。
(20日)
東京市場では、午前中に円買いも、その後反発と不安定な動き。月曜日に続いてドル円は売りが出る展開となったが、東京株式市場での株高が優勢となる中で、リスク選好の円売りが出たことで買い戻しが入った。146円台後半で朝の取引をスタートも、145円80銭前後まで下げ、一転して147円30銭台を付けている。クロス円も同様の動きで、午前の円買いから、午後は反転。ユーロドルは堅調地合いも1.11超えに慎重姿勢が見られた。
ロンドン市場は、東京午後からの円安が続いて朝に高値圏での推移と案ったが、その後ドル売りが強まった。ポンドドルでのポンド買いドル売りがきっかけとなった。ポンドは節目の1.3000を超えて動きが加速。ストップロス注文を巻き込んでポンド高ドル安が進んだ。スウェーデン中銀が予想通り利下げを発表。声明は追加利下げを示唆するハト派なものとなったが、相場への影響は限定的なものとなった。
NY市場では、ドル安が優勢となり、ドル円は145円台での推移となった。21日の米労働省年次改定への警戒感がドル是パンの売りにつながっている。ユーロドルは節目の1.11をしっかりつける動き。年初来高値を更新しての上昇。ポンドドルも先月の高値を更新するなど、ドルは全面安の展開。
(21日)
東京市場では前日の流れが継続し、ドル安が強まる形で朝に144円台を付けた。144円台ではすぐに買いが出る流れで146円近くまで買い戻しが入った。21日23時の年次改定をにらみ、やや神経質な展開。下方向のリスクを意識も、大きな売りには繋がらなかった。
ロンドン市場では、東京市場で安値からのドル買いが出た流れが継続。ドル円は146円台を回復した。ただ、この後すぐ注目の米労働省年次改定ということもあり、値幅は全般に押さえられた。ユーロドルなども落ち着いた動きが続いた。
NY市場で注目された米労働省労働統計局による年次改定では、2023年4月から2024年3月まで1年間の雇用者数が81.8万人下方修正された。2009年以来の大幅下方修正。一部で噂の出ていた100万人には届かなかったが、予想中央値よりも大きな下方修正に、ドル売りが広がり、ドル円は144円台半ばを付けている。ただ、9月の利下げ自体は既に織り込み済みであり、今回の下方修正を受けても0.5%利下げは週数派にとどまったことで、安値からのドル売りには少し慎重姿勢も見られた。ユーロドルは1.11台後半まで上昇とドル安基調が継続している。
(22日)
東京市場で、ドル円は145円台前半推移が続いた。前日の144円台から買い戻しも、戻りも鈍いという展開。23日の植田日銀総裁による国会閉会中集中審議での答弁への警戒感と、23日のパウエル議長による講演内容への警戒感が様子見ムードにつながった。ユーロドルが1.1150ばさみの動きとなるなど全体に落ち着いた動き。
ロンドン市場は、ドル円が146円台を付けるなど、ややしっかりした動き。23日のイベントを前に行き過ぎた円買いには警戒という意識が広がった。欧州のPMIはまちまち。ユーロ圏はドイツとユーロ圏の製造業が弱めも、サービスはしっかりとなった。英国は強めの数字となり、ポンドは対ドル、対円ともに買いが出ていた。
NY市場では、ドル円が146円台半ばを付けるなど、ドル買い・円売りとなった。ジャクソンホール会議でのパウエル議長講演などを控え、いったんポジション調整ムードとなっている。ユーロドルが一時1.11を割り込むなど、ドル安全般に調整が入っていた。
(23日)
東京市場では、注目された植田日銀総裁が衆院財務金融委員会の閉会中審査で「経済物価見通しが実現する確度が高まれば、金融緩和度合いを調整するという基本姿勢は変わらない」などと発言があり、円買いとなった。ドル円は145円30銭前後を付けている。午前の衆院での審議に続いて、午後に参院で行われた審議で、金融政策についての考え方、内田副総裁と変わらないとの発言があり、ドル円が買われる場面などが見られた。
ロンドン市場ではドル円の買いが優勢となった。パウエル議長講演を前にした調整が主体となり、146円48銭まで上昇した。ユーロドルが1.1105を付けるなどの動きが見られた。
NY市場で注目されたパウエル議長講演は、期待以上にしっかりと利下げに言及。時が来たと発言している。ただ利下げペースなどについてはデータ次第との姿勢を崩さなかった。発言後はドル安が優勢。ドル円は146円30銭台で講演テキスト発表を迎え、145円台前半に急落。その後も売りが入る形で144円00銭台を付けている。ユーロドルは1.11台後半へ急騰。ドル安が続く形で1.12台を付けた。
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。