【来週の注目材料】ガソリン価格の前年比マイナスが重石?米物価は鈍化見込み=米消費者物価指数
【来週の注目材料】ガソリン価格の前年比マイナスが重石?米物価は鈍化見込み=米消費者物価指数
前回5月の米消費者物価指数(CPI)は前年比+4.0%と、市場予想通りながら4月の同+4.9%から伸びが大きく鈍化しました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は同+5.3%と市場予想と一致し、4月の+5.5%から小幅な鈍化となりました。
前年比-11.7%と大きな下落となったエネルギー価格が全体の伸びを押し下げました。中でもガソリン価格が前年比-19.7%と大きく落ち込んでいました。食品価格は前年比+6.7%と、全体を上回る伸びとなったものの、伸び率自体は9か月連続で鈍化しました。
食品とエネルギーが目立ったものの、コア部分も弱い項目が見られました。コロナ過でサプライチェーン問題受けて価格が一時高騰した反動で、このところ価格低下が目立つ中古車が、前年比-4.2%と7か月連続でのマイナス圏となりました。人の流れの回復もあって昨年夏から秋にかけてのピークで前年比+42.9%まで大きく上昇した航空運賃は、2カ月連続でのマイナス。下落率も前年比-13.4%と前回の同-0.9%から大きく広がる弱い結果となっています。
6月30日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)デフレータは前年比+3.8%、コア前年比+4.6%とほぼ予想通りながら4月より鈍化しており、物価の伸び鈍化傾向が印象付けられました。
こうした状況を受けて、12日に発表される6月のCPIですが、前年比+3.1%と前回と同じ0.9%ポイントの大きな鈍化が見込まれています。5月のCPIを押し下げたガソリン価格が今回も大きなマイナスになりそうです。ガソリンの小売価格は前月比で5.6%の低下となった4月から5月とは違い、5月から6月にかけては小幅上昇見込み。すでに出ているEIAの全米全種平均の小売価格を見ると、0.45%のプラスとなっています。ただ、比較対象元である2022年の大幅なガソリン価格上昇が響くと見られます。昨年6月のガソリン価格は前年比+59.9%と伸びのピークとなっていました。前月比でも+10.3%(季節調整済値、季節調整前で+9.9%)の大幅高となっています。それだけ伸びた数字から比較するということで、結果的に大きなマイナスとなります。ちなみにEIA同様に前月比で0.45%の伸びだったと仮定した場合、前年比で-26.6%の大幅な低下となります。
食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+5.0%と前回から0.3%ポイントの低下見込み。コアがそれほど落ちてこない状況から、7月の利上げ期待はそのままとなりそうです。また、総合の低下要因となっているガソリン価格の低下についても、今回6月分が低下のピークとなりそうなだけに、年内複数回の利上げ見通しも基本的には継続となりそうです。
なお、来週はFOMC関係者発言が月曜日から金曜日まで多数予定されています。タカ派で知られるウォラーFRB理事の講演も予定されており、今後の利上げ継続に前向きな発言が出てくると見込まれます。指標結果だけでなく発言にも要注意です。
MINKABU PRESS 山岡和雅

執筆者 : MINKABU PRESS
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