ドル円は一時131円まで戻す 今年のドル安を期待する声も=NY為替概況
新年のドル円はアジア時間に一時129円台半ばまで下落したものの、NY時間にかけて一時131円台まで買い戻された。ドルの買い戻しが強まった一方、日銀の政策変更と世界的な景気後退などから円高期待も高まっている模様。きょうのドル買い戻しについては、昨年末に薄商いの中で、今年はさらにドル安が進むというバイアスがかかっていた。本日の動きの一部は、こうしたフローの反転だとの声も出ていた。
ただ、今年のドル安を期待する声も根強い。一部はFRBが利上げペースを減速させ、最終的には利下げしなければならないと考えている。そのためドル安が今年の為替市場の主要テーマとして残っていると指摘。市場は、FRBが年内の利下げはないという言及をまだ信じていないという。
ユーロドルは1.05ドル台前半まで一時下落。ただ、ユーロ圏の経済指標はいまのところ順調に推移しており、ECBが市場の予想範囲内の利上げに踏み切ったとしても、現在の成長率から大きく悪化する可能性は低いとの指摘も出ている。また、欧州が予想以上に暖冬であることから、ガス不足はユーロにとってもはや懸念事項ではなくなっているとの声や、この日発表の12月のドイツ消費者物価指数(HICP)もドイツ政府のガス代を支援策もあり、予想以上の鈍化を見せていた。
しかし、インフレがECBに現在の市場の織り込み以上に引き締めを強いることになれば、成長に対するリスクは確実に高まるとも付け加えた。その場合、政府は恐らく、理想的にはインフレの火に油を注ぐことのない方法で成長を支えるために介入する可能性があるという。
ポンドドルは買い戻しが膨らんだ。ただ、本日のポンドドルは心理的節目の1.20ドルを割り込み、一時1.19ドルちょうど付近まで一時下落。200日線が1.2035ドル付近に来ているが、その水準を下放れる動きを見せ始めている。
今年の英経済の先行き不透明感は根強く、国内では今週から英鉄道労働者のさらなるストライキも始まっている。スナク英首相には問題が山積しており、首相は年始に向けた挨拶で「この国を悩ませている問題は2023年になってもなくならない。新年にすべての問題が解決するようなふりをするつもりはないと」ツイッターに投稿していた。
英中銀は追加利上げの必要性には言及しているものの、慎重姿勢を強めている。高水準の政府債務、厳しい経済見通し、EU離脱の影響などを考慮すると、今年のポンドは下落予想が多いようだ。スナク政権は高水準の政府債務を減らすために、緊縮財政を行おうとしているが、英国は社会保障制度や医療制度に問題を抱えており、緊縮財政は痛みを伴う上、成長の見通しも弱くなる。EU離脱の影響も気がかりで、2023年のポンドドルは今年回避したパリティ(1.00ドル)を再び試すとの見方まで出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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