米CPI受けリスク選好のドル売り ドル円は140円台に急落=NY為替概況
きょうのNY為替市場はリスク選好のドル売りが強まった。この日発表の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、FRBの利上げペース縮小期待が一気に高まった。米CPIは総合指数が前年比で7.7%に低下したほか、特に市場が注目しているコア指数が前年比6.3%に低下していたことは市場に驚きを与えたようだ。
米CPIを受けて短期金融市場では、12月FOMCでの0.75%ポイントの利上げ期待を大きく後退させ、0.50%ポイントの利上げ期待が大きく上昇している。確率は0.50%が80%、0.75%が20%程度となっている状況。
ただ、パウエルFRB議長は先日のFOMC後の会見で、ターミナルレート(最終着地点)は9月時点の予想よりも高くなった可能性に言及していたが、市場では5.25%程度がコンセンサスとなっている。米CPIを受けても、その水準はまだ変化がないようだ。
ドル円は米CPI発表後に節目の145円をブレイクしたことで、ロング勢の見切り売りが加速。モデル系の売りも巻き込み、終盤には一気に140円台前半まで急落する展開。明日以降140円割れを試す動きまで発展するか注目される。
ユーロドルは買い戻しが強まり、1.02ドル台まで上昇。100日線を上放れる展開が見られている。リバウンド相場への期待感を高める動きが見られており、明日以降の動きが注目される。
ユーロ圏のリセッション(景気後退)への警戒感から、ECBが利上げ姿勢を後退させるのではとの見方が市場の一部に広がっている。しかし、最近のユーロ圏のインフレと賃金のデータが、その見方からユーロを保護するとの指摘も出ている。短期金融市場ではECBが来年に中銀預金金利を3.00%まで引き上げ続けることを織り込んでおり、これはユーロ圏の最新のインフレおよび賃金データの発表によって裏付けられているという。
前回のECB理事会以降、10月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の総合指数のデータは前年比10.7%と過去最高を記録し、賃金上昇率も今年に入ってから加速している。
ポンドドルも買い戻しが強まり、1.17ドル台まで急伸し、100日線に顔合わせする水準まで上昇している。リバウンド相場への期待感を高める動きが見られており、明日以降の動きが注目される。
英国王立公認会計士協会(RICS)が東京時間に公表していた10月の英住宅価格データは、市場の英中銀による利上げ期待が行き過ぎであることを示唆しているという。
RICS住宅価格指数は9月のプラス30%から10月にはマイナス2%に低下し、2020年6月以来のマイナスとなった。これは最近の住宅ローン金利急騰に起因したものであることは明らかだとしている。このことは、英中銀の引き締めサイクルに対する市場の織り込み度合いに一石を投じることとなり、市場が来夏に4.65%と見込んでいる政策金利の設定は高過ぎる可能性があるという。
米消費者物価指数(10月)22:30
結果 0.4%
予想 0.6% 前回 0.4%(前月比)
結果 7.7%
予想 7.9% 前回 8.2%(前年比)
結果 0.3%
予想 0.5% 前回 0.6%(コア・前月比)
結果 6.3%
予想 6.5% 前回 6.6%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。