リスク選好の雰囲気広がりドル売り加速 ドル円は145円台に下落=NY為替概況
きょうの市場はリスク選好の雰囲気が広がり、為替市場はドル売りが加速した。ドル円は戻り売りが加速し、ストップを巻き込んで145.30円付近まで下落する場面が見られた。この日の米中間選挙の結果待ちの雰囲気もある。世論調査では、下院は共和党が圧勝しそうな気配だが、上院については拮抗している。これに対する為替市場への影響については様々な見方が出ているが、当面はドルへの影響は軽微との見方も出ている。ただ、長期的にはドル安復活の舞台となる可能性もあるという。
上院も共和党が制するとなれば、民主党のバイデン政権の政策実行は今後難航することが予想される。これは直ちに問題にはならないが、将来的に米経済が急減速し、FRBに金融緩和圧力がかかり、これまでのドル高が急反転する可能性があるという。
ドル円は21日線を下回っているが、目先は145円割れを試しに行くか注目。市場で日本のは財務省による追加介入への警戒感が和らぎ、今後1カ月間の円の上下動に対する市場の期待は急速に後退している。オプション市場では、向こう1カ月間の円相場の大幅な変動に賭ける動きが12日連続で低下しており、9月以来の低水準となっている。
これに対して市場からは「大幅変動への予想が後退したのは、ドル円が150円を超える水準から反落し、落ち着いているように見えることから、介入リスクが低下していると考えられるためだ」との指摘が出ていた。
ユーロドルは1.00ドル台後半まで上昇。きょうの上げで10月に拒まれた100日線に到達しており、明日以降その水準を突破し、リバウンド相場を形成できるか注目の展開となっている。
一部からは、前年からのベース効果、需要の伸び鈍化、供給のボトルネック緩和を背景に、来年のユーロ圏はディスインフレの可能性があるとの指摘も出ている。しかし、真の問題はインフレの方向性ではなく、その低下の速度と程度だという。物価上昇圧力の緩和を示す調査やコモディティ価格下落などの幾つかの希望的観測はあるものの、リスクは明らかに上方に偏っている。つまり、インフレ脱却のスピードは現在の予想よりも遅くなる可能性があるという。
ポンドドルも買い戻しが加速し、節目の1.15ドルを一気に回復。ストップを巻き込んで1.16ドル付近まで急上昇した。再び21日線を上放れる展開が見られているが、目先は10月に上値を拒まれた1.16ドル台半ばの水準を突破し、リバウンド相場の流れに戻すか注目される。
きょうは英中銀のピル・チーフエコノミストの講演が伝わっていた。英経済はリセッション(景気後退)に向かっているとの認識を示していたが、労働市場は依然としてタイトが状況が続いていると言及。パンデミックで60万人以上の人々が労働市場を一旦脱却したが、完全に戻り切ってはおらず、雇用主も賃金を上げざるを得なくなっているという。労働人口の急激な減少がインフレに上昇圧力をかけ続けており、それは追加利上げの必要性を示唆していると述べていた。
市場では現在のところ、次回12月の英中銀金融政策委員会(MPC)では0.50%ポイントの利上げ期待が有力となっている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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