米雇用統計はタカ派姿勢正当化もドル売りの反応 ドル円は146円台=NY為替概況
きょうのNY為替市場、朝方発表の米雇用統計は強い内容でFRBのタカ派姿勢を正当化する内容だった。しかし、為替市場は逆にドル売りが強まっている。ドル円は発表直後に148円台に上昇したあとは、146円台まで急速に戻り売りに押される展開。ドル円は21日線を下回る展開を見せており、来週以降に145円割れを試す展開になるか注目される。
米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が26.1万人増と予想を上回る伸びを示したほか、前回分も大幅に上方修正された。平均時給も前年比4.7%の上昇と高水準の伸びが続いている。失業率は上昇し、労働参加率は低下したものの、雇用の鈍化傾向を示すほどではない。
決してドル売りで反応する内容ではないと思われるが、今週のFOMCや英中銀金融政策委員会(MPC)、そして、本日の米雇用統計を通過して、出尽くし感からの調整が出ているのかもしれない。また一部からは、オフショア市場で人民元が急上昇していることがドル売りを誘っているとの指摘も出ていた。中国がゼロコロナ政策による行動規制を緩和するのではないかという憶測が流れているという。強い米雇用統計以上に中国の行動規制緩和への期待がリスク選好のドル売りを誘発しているという。
ユーロドルは買い戻しが膨らみ、0.99ドル台を回復。来週以降、再びパリティ(1.00ドル)回復を試すか注目の展開となっている。ロンドン時間にドイツの9月の製造業新規受注が発表になり、前年比10.8%減と予想以上の減少となっていた。製造受注が再び急落したことは先週の第3四半期GDPの予想外のプラス成長が同国経済にとって、最後のあがきであったことを示すものだとの指摘が出ている。
年初のドイツ製造業は受注台帳が豊富に埋まり、不況対策として適切な保険を提供していた。しかし、ウクライナ紛争が始まって以来、この保険は月ごとに少なくなっているという。先週のGDPが予想外のプラス成長だったため、ドイツ経済は不況を脱することができるという印象を与えたかもしれない。しかし、今年の受注残高が着実に減少していることは、こうした希望の兆しが幻想であることを明確に示しているという。
ドイツ製造業新規受注(9月)4日16:00
結果 -4.0%
予想 -0.6% 前回 -2.0%(-2.4%から修正)(前月比)
結果 -10.8%
予想 -7.3% 前回 -3.8%(-4.1%から修正)(前年比)
ポンドドルは買い戻しが膨らみ、一時1.13ドル台を回復。本日の21日線が1.1310ドル付近に来ており、来週以降にその水準を突破できるか注目される。
今週はFOMCと英中銀金融政策委員会(MPC)が開催され、両者は真逆のスタンスを示した。FRBはターミナルレート(最終着地点)が予想よりも高くなる可能性を示唆した一方、英中銀は市場が想定している水準は高過ぎる可能性に言及している。
これを受け市場からは、英財政政策の数々の撤回を受けてポンドは一時的に回復したが、下振れリスクはなお温存されていると思われ、その見方はいまも変わっていないとの指摘が出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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