FOMC声明とパウエル会見でドルは乱高下=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドルは乱高下した。午後にFOMCの結果が発表され、政策金利は大方の予想通りに0.75%ポイントの利上げを実施して来た。ただ、声明では、政策を十分に制限的とするための適切な利上げペースを決定する際に、「累積的な引き締めとそれに伴う遅れを考慮する」との文言が追加された。市場では引き締めペースの減速を示唆するものと捉え、為替市場はドル売りが強まった。
しかし、その後のパウエルFRB議長の会見でドルはその下げを取り戻す動きとなった。議長は「最終的な金利水準は従来予想よりも高くなった。利上げを減速させる時期は早ければ次の会合にも到来。利上げの打ち止めを考えるのは時期尚早」と述べ、敏感に反応した模様。
会見終盤になると今度はドル買いが加速。議長は「最新のデータは9月のドットが低かったことを示唆している」と発言した。議長は「最終的な金利水準は従来想定よりも高くなった」と述べていたが、9月FOMCで示されたの金利見通し(ドット・プロット)よりもターミナルレート(最終着地点)が高くなる可能性を示唆した受け止められた模様。
今後、利上げペースを減速させる可能性はあるものの、一方でターミナルレート(最終着地点)は想定よりも高くなる可能性を示唆していた印象もある。
ドル円は一旦145円台まで下落していたが、148円付近まで急上昇する動きとなった。議長の発言を受け市場は目まぐるしい動きとなった。
ユーロドルも上下動。一旦0.9975ドル近辺まで上昇したものの、終盤は0.98ドル台前半まで下落する展開。
市場からは、エネルギー危機の影響により年末までにユーロはさらに下落する可能性があり、来年の回復余地も限定的との見方が出ている。エネルギー危機の結果、ユーロ圏はすでに景気後退に陥っているか、その瀬戸際に立たされている。一方、高インフレがECBに引き締め政策の継続を強いる可能性があり、景気後退が深刻化するリスクがあるという。
ユーロドルは年末までに0.95ドルまで下落した後、来年には回復を予想しているが、来年もエネルギー不安が再び顕在化する可能性があるため、反発は控えめになる可能性が高いという。
ポンドドルも一旦1.1565ドル付近まで上昇したものの、1.14ドルちょうど付近まで下落している。明日は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。中には0.50%ポイントの利上げを見込む声もあるようだが、メインシナリオは7対2での0.75%ポイントの利上げとなっている。
ただ、ポンドの反応はネガティブと見ている向きも少なくない。英中銀はリセッション(景気後退)リスクを警戒して12月以降は利上げを緩めると、市場では見られている。今回のMPCでそれが示唆されると思われているようだ。
また、政策委員の投票行動にも注目が集まっている。7対2での0.75%ポイント利上げがメインシナリオだが、5対4もしくは6対3での決定だった場合、ポンドはネガティブな反応を示す可能性が高いという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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