FOMC前にドル買い戻し優勢に ドル円は148円台=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買い戻しが優勢となっており、ドル円も148円台まで買い戻された。先週まではFRBが利上げペースを緩めるのではとの期待が広がっていたが、今週のFOMCを前にその期待を後退させるような報道も流れていた。
今回のFOMCは0.75%ポイントの利上げが確実視されているが、そのこと自体は十分織り込み済み。注目はパウエル議長が利上げペースについてどういった言及をして来るのかが注目されている。市場でも前回のタカ派姿勢を堅持するとの見方の一方、タカ派姿勢は堅持するものの、近い将来の利上げペース減速を示唆するのではとの期待もあるようだ。
一部からは「ドルは今週、上昇トレンドを再開する可能性がある。インフレが高く、賃金も堅調に伸びていることから、FRBがハト派に転じると期待するのは時期尚早」といった声の一方、「パウエル議長はFRBが12月に利上げペースを減速させる計画があるのか質問され、0.50%ポイントの利上げに留める可能を示唆する可能性がある」との見方も出ている。今回のFOMCが間違った会合であったとしても、市場が2023年の金利予想を縮小させる可能性はあるという。
そのような中でドル円は上値追いの動きを再び強めており、オプション市場では148円で買う権利が大量に売買されていた。再び介入前の高値151.95円を目指すとの見方も根強い。
ユーロドルは0.98ドル台に値を落とた。本日の21日線が0.9845ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。きょうはユーロ圏の10月の消費者物価指数(HICP)速報値と第3四半期のGDP速報値が発表された。HICPは総合指数で前年比10.7%と過去最高を記録。市場からは、今回のHICPのデータはエネルギー卸売市場の価格低下が家計の価格低下に結びついていないことが示唆されているとの分析も出ている。需要が減速しているにもかかわらず、供給サイドの経済的ショックの第2ラウンドの影響がインフレを押し上げ続けていることは明らかだという。
高インフレが、減速はしたものの第3四半期のプラス成長と相まって、ECBの大幅利上げの弾みになりそうだとも指摘。ただ、市場では12月の理事会について、0.50%との見方が比較的多い。経済状況が弱まる中で、ECBは次回の利上げ幅をやや小さめにすると考えているという。ただ、短期金融市場では0.50%と0.75%のちょうど間の0.62%程度で織り込む動きが見られている。
ポンドドルは1.15ドルを割り込んだ。英政府はきょう、スナク首相とハント財務相の会談を受けて、英財政のブラックホールを修復するために、すべての英国人が今後数年間でより多くの税金を支払う必要があると発表したことでポンド売りを助長した面もあった。
市場は明日からのFOMCに注目しているが、今週は木曜日に英中銀金融政策委員会(MPC)も予定されている。市場では0.75%ポイントの利上げの予想がコンセンサスとなっている。
ただ、市場では英中銀に慎重な見方も多い。今回は市場の予想通りに0.75%ポイントの利上げ実施が有力視されるが、将来のシグナルに関しては慎重姿勢を示して来る可能性があるとの指摘も出ている。英経済は景気後退のリスクがより顕著になっており、成長見通しもますます弱くなっている。そのため、英中銀はよりハト派スタンスに戻るという。12月に0.50%、2月に0.25%ポイントの利上げを行う可能性もあり、これは市場の織り込みよりも若干少ないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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