ドル高が一服し、ドル円も142円台半ばまで伸び悩む=NY為替概況
きょうのNY為替市場は前日のドル高が一服し、ドル円も一時142円台半ばまで伸び悩んだ。前日は米CPIを受けて失望感が過熱気味に市場に広がったが、一夜明けて落ち着きを取り戻しているようだ。朝方発表の米生産者物価指数(PPI)が予想通りだったことも安心感に繋がった模様。
また、ドル安と同時に円買戻しの動きも見られた。前日のドル円は再び145円台をうかがう展開を見せていたが、それを受けて、日銀がレートチェックを行うなど、日本の当局のけん制が強まっている。
一部からは為替介入を求める声もあるようだが、物価への効果も含めて、介入に懐疑的な見方が多い。現在の市場規模から、日本の当局の単独介入では効果は限定的で、例え一時的にドル円を下落させたとしても、それが持続的な動きでない限り、輸入物価を押し下げ、ひいては食品やエネルギーなどの価格を抑制する効果は薄い。
また、万一日銀が引き締めに転じたとしても、日本のインフレの状況からは、FRBを始めとした他国の中銀のような積極利上げは難しい。むしろ、懸念されている世界的なリセッション(景気後退)を考慮すれば、日本経済にとってマイナス効果でしかないとの指摘も聞かれる。
米インフレがピークの兆候を見せ、FRBのスタンスに変化が見られない限り、流れは変わらないという。
ユーロドルは一時パリティ(1.00ドル)付近まで買戻されていた。しかし、積極的に買戻しを試す雰囲気までは出ず、1.00ドル台に入ると戻り売り圧力も強まる展開。FRBがタカ派姿勢を維持している間はユーロの上昇余地は限られ、前日発表された予想を上回る米消費者物価指数(CPI)を踏まえて、この状況は当面変わりそうもないとの指摘も出ている。8月の米CPIは期待ほど低下せず、コアインフレは逆に上昇した。そのことはユーロドルの回復の試みを打ち砕いたという。
ECBの追加利上げ、ウクライナ情勢の進展、EUのエネルギー価格高騰への対策といった、ユーロを持ち上げそうな材料も、ユーロの買い戻しの機運を高めるまでは行かず、弾力性を維持する程度に留めるという。
ポンドドルも買い戻しの動きが見られ、一時1.15ドル台後半まで買い戻される場面が見られた。ポンドドルは上値の重い展開が続いているが、いまのところ1.15ドルは強いサポートとして機能しているようだ。
英中銀は次回の金融政策委員会(MPC)で利上げペースを加速させることはいとの見方が出ている。英中銀は成長により慎重な見通しを保持しており、0.75%ではなく0.50%ポイントの利上げに留まるという。トラス英首相がエネルギー料金に上限を設ける対策を発表しているが、それがインフレを当初予想よりも低く留める可能性が出てきており、英中銀は0.75%ポイントの大幅利上げは選択しないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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