リスク回避のドル買い強まる ユーロドルはパリティ割れ=NY為替概況
きょうも市場はリスク回避の雰囲気が強まる中、NY為替市場はドル買いが強まった。ドル円はしっかりとした値動きが続き137円台で推移。リスク回避の円高は出ているものの、それ以上にドル買いが強まった。
今週はジャクソンホールでFRBの年次総会が予定されており、パウエルFRB議長のスピーチが26日金曜日に行われる。インフレが鈍化傾向を見せているものの、議長は予想以上にタカ派姿勢を強調するのではとの警戒感が高まっているようだ。
9月FOMCについて、先週まで市場は0.75%よりも0.50%ポイントの利上げ期待を若干高めていた。しかし、この日のFEDウォッチでは0.75%ポイントの確率が再び上回っている。0.75%ポイントが55%、0.50%が45%といったところ。
一方、米国以外の国が直面している課題がドルの上昇を後押ししているとの指摘も多い。本日は中国が景気減速を支えるために最優遇貸出金利(ローンプライムレート)を引き下げていた。また、韓国の貿易データも芳しくなかった。ロシアから安価なエネルギーを輸入し、特に中国へ高付加価値商品を輸出するというドイツの経済モデルもかつてないほどの困難に直面している。そのような中で消去法的にドルに資金が流入している可能性が高いという。
ユーロドルは7月に引き続きパリティ(1.00ドル)を割り込み、0.9935ドル近辺まで下げ幅を拡大。市場からは、パリティの水準を完全にブレイクするようであれば、先月の一時的なブレイクよりも長引く可能性があるとの指摘も聞かれる。下げは始まったばかりとの声も出ている。
インフレに対する楽観的な見方が後退する中で、天然ガス高騰による打撃は企業景況感にまだ十分に反映されていないという。このタイミングでユーロドルがパリティを割り込むことは十分に重要なサインだと指摘した。
ポンドドルは1.17ドル台に下落し、一時7月中旬に付けた年初来安値を下回る場面が見られた。生活危機に伴うリセッション(景気後退)への懸念が強まっておりポンドを圧迫。
ただ、英インフレへの懸念から、英中銀の利上げ期待は強い。英天然ガス価格が先週25%、電気料金も7%上昇した。それらを受け英インフレ見通しを引き上げる動きが出ている。インフレは来年1月にピークに達し、18%を超える可能性があるという。この予想は、エネルギー料金の高騰を背景に、10月から各家庭に300ポンド(約4万8000円)の助成金が支給されることを前提としている。
英ガス電力市場監督局は今週、10月の家庭用ガス・電気料金の上限価格を発表するが、これが重要イベントになりそうだとの指摘が出ている。2022年に年1285ポンド(約20万8000円)となっているガス・電気の基準価格が3717ポンド(約60万円)まで上昇する可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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