ドル円は134円台でしっかり ドル売りが強まるも円安がサポート=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの戻り売りが強まった。ただ、ドル円は円安がサポートし、134円台を維持した。米国債利回りが上昇したことや、リバウンド相場が続いている米株式市場がドル円の下値をサポートしたようだ。
ドル円はここ数日133円台での膠着した展開が見られていたが、きょうは134円台を回復しており、再度上値を試に行くか注目される。しかし、市場も以前ほどの円安への情熱は無くなっているようで、140円を目指そうという雰囲気までは感じられない。
ただ、ドル自体は上昇を見込む声は多い。エネルギーショック、中国人民銀行の人民元切り下げ観測、そして、米経済指標の改善などに支えられ、ドルは短期的にさらに上昇する可能性があるという。米国はエネルギー面で自立しており、エネルギー価格の上昇に対してドルは比較的影響を受けにくい。以前もそうであったように、人民元の切り下げがあるとドルは上昇する傾向があるという。
FRBが利下げに軸足を移すのはもうしばらくかかりそうだが、最終的に利下げに転換した場合でも、それにECBや英中銀など他の中央銀行も追随する可能性がある。単独で行われることはないという。そのためドルは底堅さを保つことができるとしている。
ユーロドルは1.01ドル台後半まで一時買い戻された。目先は本日の21日線が1.0210ドル付近に来ており、回復できるか注目される。ただ、ユーロドルへの弱気な見方は多く、再度パリティ(1.00ドル)を試すとの見方は根強い。欧州のエネルギー危機とドル高が重しとなり、ユーロは今後さらに下落する可能性があるという。ドイツは石炭の水上輸送の要とも言えるライン川の水位低下に悩まされ続けており、また、消費者のガス料金の負担も10月から引き上げられる。このためドイツのインフレは長期化し、ECBにとってはさらなる頭痛の種となりかねないとしている。
貿易加重のユーロの貿易加重レートは今年の安値まであと僅かで、今後48時間以内にドルが上昇すれば、ユーロドルはパリティを試す可能性も十分にあるという。
また、ドイツの景気回復に対する投資家の信頼感は8月に入り一段と悪化。高騰するエネルギー価格の負担が企業と家計に浸透している。この日発表の8月のZEW景況感指数は予想以上に悪化していた。高インフレと暖房・エネルギーコスト増大の見通しが消費セクターの利益予想下振れにつながっているという。
ドイツZEW景況感指数(8月)18:00
結果 -55.3
予想 -52.7 前回 -53.8
ポンドドルは1.21ドル台まで一時買い戻された。ロンドン時間には1.20ドルちょうどを試す動きが見られたものの、その水準は維持されている格好。21日線が1.2105ドル付近に来ており、突破できるか注目される。
きょうは英雇用統計が発表になっていた。ILO失業率は4-6月の平均で3ヵ月連続の3.8%が続いている。一方、平均賃金は伸びを拡大。景気低迷から、英労働市場のひっ迫感は落ち着きつつあるものの、全体的には依然としてタイトな状態であることに変わりはない。
堅調な英労働市場と所得の飛躍的な伸びは英中銀に、次回9月の金融政策委員会(MPC)での0.25ではなく0.50%ポイントの利上げを行うよう圧力をかけると見られている。
【英国】
ILO失業率(4-6月平均)15:00
結果 3.8%
予想 3.8% 前回 3.8%
週平均賃金(4-6月平均・除賞与)15:00
結果 4.7%
予想 4.5% 前回 4.4%(4.3%から修正)(前年比)
雇用増減
結果 16.0万人
予想 26.8万人 前回 29.6万人
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。