ドル円は133円台まで一気に買い戻される ペロシ米下院議長は無事に台湾に到着=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル買いが強まり、ドル円は133円台まで一気に買い戻されている。ロンドン時間までのドル円は売りが強まり、130円台まで下落する場面が見られた。一時130.40円近辺まで下落。ペロシ米下院議長(民主党)の台湾訪問のニュースに中国が軍事的対応も辞さないと過敏に反応し、これまでリスク回避の円高の流れを強めていた円相場も敏感に流れを加速させた。
しかし、NY時間に入ると買い戻しが活発化し、133円台に急速に戻す展開。ペロシ米下院議長が無事に台湾に到着したことや、この日のFOMCメンバーの発言が従来通りのタカ派な内容が多かったこともドルをサポートした模様。米国債利回りの上昇とともにドル円も買い戻しが強まっている。130円を試しそうな気配が出ているものの、上値期待も根強い中で下値では値ごろ感の買い戻しが活発化したようだ。
一方、今後、ペロシ米下院議長の台湾訪問を巡る米中の緊張により、円やスイスフランなどの安全な逃避先とされる通貨が上昇する公算が大きいとの声も出ている。ペロシ議長の台湾訪問によって米中関係が大きく損なわれれば、為替市場にも何らかの衝撃が走るという。
ユーロドルは戻り売りを強め、1.01ドル台に下落。本日の21日線は1.0160ドル付近に来ているが、その水準まで下落している。市場の一部ではECBの利上げについて、1.00%までの利上げすら疑問視し始めているようだ。ユーロ圏の景気への懸念を背景に市場の利上げ期待が後退。きょうの短期金融市場は一時、政策金利が1.00%に達する前にECBが利上げを停止せざるを得なくなる見通しを織り込む動きが見られていた。政策金利を0.50%ポイント引き上げた7月21日には2.00%までの利上げが見込まれていた。
記録的なインフレとロシアからのエネルギー供給が途絶えるリスクを踏まえ、市場はECBの積極利上げを見越した取り引きを縮小させている。
ポンドドルもリバウンド相場を一服させ、一時1.21ドル台に下落。ポンドに関しては4日木曜日の英中銀金融政策委員会(MPC)が再注目だが、0.50%ポイントの利上げが有力視されている。秋には12%まで上昇するとの予測も出ている高インフレや、生活危機が叫ばれる中、新首相の誕生で財政引き締め策が後退するとの見方が英中銀の大幅利上げ観測をサポート。
ただ、政策委員の投票行動や、今回発表される金融政策報告、そして、ベイリー英中銀総裁の会見などで景気減速を懸念し、今後はあまり積極的に行動しないことを示唆した場合、ポンドは売りの反応を強める可能性があるとの見方も出ている。利上げサイクルの速度とピークの期待値が低下すれば、ポンドドルは再び1.20ドルを目指すかもしれないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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