ドルの戻り売りが優勢となりドル円も利益確定売り=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの戻り売りが優勢となり、ドル円も利益確定売りが優勢となった。前日は直近高値を更新し137円台に上昇し、140円にむかって着実に歩みを進めているが、きょうは一服といったところ。
ただ、ドル高への期待感は強く、ドル円も一段高への期待が根強い。市場からは、ドルのポジションはすでに買われ過ぎの領域に入っているが、短期的には解消されそうにもないとの声も出ている。市場はドルのロングポジションを一部整理するきっかけを必要としているが、FRBの積極引き締めとリセッション(景気後退)という安全資産のドルへのフローを促進するシナリオは当面損なわれることはないという。
ユーロドルはNY時間に入って買い戻しを強め、一時1.0070ドル付近まで戻した。しかし、本日は一時パリティ(1.00ドル)に到達する場面が見られている。リセッション(景気後退)への警戒感が強まる中、ドル高への期待感が根強い一方、ユーロ圏の景気への不透明感からECBは期待ほど利上げを実施できないとの見方も増えつつあるようだ。
ユーロを圧迫している要因にロシア産ガス停止によるユーロ圏経済への悪影響がある。しかし、それについて、ロシアからのガス供給が完全かつ持続的に停止しても欧州経済は対処できる公算が大きいとの見方も出ている。他から液化天然ガス(LNG)を調達できる可能性が高まっており、これで不足分の大半を穴埋めできるという。オランダでの生産回復やフランスの原子力発電所の正常化など、ロシア産ガスの供給停止に対する市場の耐性を高めるさまざまな選択肢があるとしている。
ポンドドルも買い戻しが膨らんだ。一時1.1810ドル付近まで下落していたが、NY時間に入って1.19ドル台まで戻す展開。ただ、ドル高への期待は根強く、ポンドドルは1.15ドルまでの下落を予想する声は多い。
英国ではジョンソン首相辞任に伴って政局が激さを増しており、与党保守党は党首選の立候補の届け出をNY時間の午後に締め切った。スナク前財務相ら8人が次期首相の座を争う。保守党議員を対象とした最新の世論調査ではモーダント貿易担当相が最有力で、バデノック平等担当相とスナク前財務相がそれに続いている。
ただ、これに対してポンドはいまのところ、比較的落ち着いた反応を示しており、英政局の不確実性はまだポンドに大きな影響を及ぼしていない。ポンドはドルに対しては大きく下落しているものの、他のG10通貨に対しては持ちこたえている。各候補から減税策などが打ち出されているが、現段階では行方を冷静に見守っているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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