ドル円は113円台半ばまで回復 FRBの早期引き締め期待が下値支援=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は緩やかな買い戻しが出て、113円台半ばまで回復。先週末は米雇用統計は無難に通過したものの米株式市場でIT・ハイテク株に売りが強まり、米国債利回りも低下したことから、ドル円も112円台に下落する場面が見られた。しかし、FRBの早期引き締め期待が強まる中で下値での押し目買いも活発に出ている模様。
市場は来週に予定されている年内最後のFOMCに注目している。先週のパウエルFRB議長の議会証言から早期の資産購入終了との見方が強まっている。FRBは現在、月150億ドルづつ資産購入ペースを縮小して行くことを打ち出しているが、これを2倍の月300億ドルに増額するとの見方も出ているようだ。ただ、オミクロン株への懸念もある中で、FRBが具体的に数字を変更してくるかは未知数の部分も多い。
市場は来年の利上げ回数を2-3回で見ている。来週のFOMCではメンバーの金利見通し(ドット・プロット)が公表されるが、9月時点では2022年の利上げが半々といったところだった。しかし、大半が2022年の利上げの可能性を示唆してくるものとみられている。それ自体はすでに織り込まれており、2回か3回かといった点が注目となりそうだ。
ユーロドルは上値の重い展開が続き、21日線の下での推移が続いている。1.13ドル台に上昇するものの直ぐに1.12ドル台に押し戻される展開が見られている。しかし、1.12ドル台に入ると過剰に積み上がったショートポジションの巻き返しも出るようだ。本日の21日線は1.1345ドル付近。
先週から師走相場に入ったが、市場からはECBが慎重姿勢を転換しない限り、ユーロは今年の残りの期間も弱い水準に留まる可能性があるとの声も聞かれる。今年、貿易加重平均ベースのユーロの実効為替レートが5%強下落したことに注目し、ハト派色が強いECBに加えて、欧州企業の製造サイクルの海外エクスポージャーの大きさは、ユーロのパフォーマンス低下の一因になっているという。ユーロが年末までに支援される可能性があるとすれば、ECBの慎重姿勢の転換のみだという。来週はFOMCの結果発表が15日、ECB理事会は16日に予定されているが、その前までは1.12ドル台で取引される可能性があるという。
ポンドドルも戻り売りが強まった。ロンドン時間には買い戻しも入り、1.32ドル台後半まで上昇したもののNY時間に入って1.32ドル台前半に戻している。目先は11月30日に付けた直近安値1.3195ドルが下値メドとして意識される。
きょうはブロードベント英中銀副総裁の講演が伝わっていたが、来週の英中銀金融政策委員会(MPC)の金利については何も語らなかった。先週はソンダース委員が「利上げの前にオミクロン株の影響を評価することに利点があるかもしれない」と述べたことから、市場では利上げ期待が後退している。短期金融市場でも利上げは見送られるとの見立てで推移。市場からは英中銀が今回利上げを見送った場合、米英間の金融政策格差が縮小し、ポンドドルは更に下値を模索との見方も出ている状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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