ドル円は109円割れを試す動きも 明日は米雇用統計=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となり、ドル円は109円割れを試す動きがみられた。しかし、下値では押し目買いも出て109円台は維持されている。
ドル円は米株と米国債利回りをにらんだ動きが続いているが、きょうも米株式市場でIT・ハイテク株は上値の重い展開が続いている。米国債利回りも下げに転じる中で、ドル円もリスク回避の上値の重い展開が続いている状況。ただ、109円台は維持しており、下値も底堅い印象があるが、本日108.80円付近に来ている21日線を意識した展開が見られている。
明日は米雇用統計が発表される。非農業部門雇用者数(NFP)の予想は現時点で100万人増が予想されている。雇用保険のデータからは、それ以上に強い内容も見込まれているようだ。ただ、期待通りの強い内容だったとしても、素直な反応が出るかは未知数。FRBの早期出口戦略着手への期待も高まることによって、米株がネガティブな反応を示し、ドル円を逆に圧迫するリスクも想定される。FOMCメンバーのボスティック・アトランタ連銀総裁は「4月のNFPが100万人増でも驚きはない」と述べていた。
ユーロドルは1.20ドル台半ばでの推移。本日はドル軟調の展開が見られ、ユーロドルも一時1.2070ドル付近まで上昇した。きょうの買い戻しで21日線でサポートされた格好となり100日線付近で推移。1.20ドルを維持したことからも下値で踏ん張っているといった印象だ。
このところ欧州債利回りの上昇が顕著にみられる。市場の一部からは、ECBの政策方針がFRBよりもインフレ重視姿勢が強いことを表しているのではとの指摘が出ている。ECBは今年半ばまでに戦略見直しを完了するが、これは将来のECBの政策に対する市場の見方にも影響を与える可能性がある。ECBのインフレ目標は現在、2%をやや下回る水準となっているが、ECBもFRB同様にインフレ目標に柔軟性を持たせることが予想される。しかし、FRBほどの柔軟性はない可能性もあるという。
ポンドドルは1.38ドル台後半で推移。本日は英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が発表された。ポンドは発表直後に激しく上下動したものの、結局、概ね発表前の水準で落ち着いている。金利は据え置いたものの、債券購入ペースは週34億ポンドに減速させることを発表した。また、同時に発表になった金融政策報告(MPR)では今年の成長見通しを上方修正している。ただ、英中銀は今回の購入ペース減速については、出口戦略の着手ではないことを強調。ベイリー総裁も8950億ポンドの購入枠は変更していない点を強調している。出口戦略のタイミングについても何も示唆しなかった。
債券購入ペースの減速については見方が分かれていたが、大方予想通りといったところ。むしろ、ホールデン委員が購入枠の減額を主張し、反対票を投じていたことが若干のサプライズであっただろう。迅速なワクチン展開で英経済は回復期待が高まっているものの、EU離脱の影響などが今後想定される中で、英中銀も楽観的にはなれないものと思われる。また、早期に出口戦略に着手した場合の財政ファイナンスへの影響も指摘されている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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