【これからの見通し】ドル相場は混とんとした状況、ポンドに注目集まる
【これからの見通し】ドル相場は混とんとした状況、ポンドに注目集まる
4月末にドル相場は約1カ月間続いたドル安傾向が一服し、反発している。その後、5月に入ってからは日替わりで方向性が変化しており、混とんとした状況になっている。ドル指数はちょうど10日線と21日線に挟まれた水準での上下動に。局面ごとには株式動向や米債利回り動向に反応をみせるものの、ユーロドルに代表されるドル・ストレート通貨は、明確な方向性がみいだせなくなっている。かなり難しい局面に入ってきているようだ。
そのなかでは、個別通貨としてポンド相場が注目されている。あす6日には英中銀金融政策委員会(MPC)が開催される。加えて、スコットランド選挙が実施される。英中銀金融政策委員会では、今回は政策金利、資産購入枠がともに据え置きとなる予想が大勢を占めている。今後の資産購入枠の拡大・延長などの議論が行われるのかどうか、逆に出口に向けた条件についての議論があるのか、ヒントを得たいところだ。
スコットランド選挙では独立派の勢力拡大見通しが広がっており、ジョンソン政権にとっては逆風が吹く可能性が指摘されている。一方で、英国におけるワクチン接種の進展は目覚ましいものがある。直近では、クリスマス時期の感染拡大措置を確実なものにするために、3回目のワクチン接種の計画まで報じられている。ジョンソン英首相はコロナ抑え込みと経済再生を前面にアピールしており、逆風を取り払おうとしている。英経済回復が市場に印象付けられるようだと、ポンド相場にとっては再び追い風が吹きそうだ。
混とんとしているドル相場にとっては、米経済ファンダメンタルズの動向がヒントになりそうだ。きょうはMBA住宅ローン申請指数(30日までの週)、ADP雇用者数(4月)、ISM非製造業景気指数(4月)などの米経済指標が発表される。金曜日の米雇用統計発表を控えて、参考指標としての位置づけであるADP民間雇用者数だが、今回の予想は85.0万人増となっており、前回の51.7万人増から一段と強含む見込みだ。ISM非製造業景気指数(4月)も64.1と予想されており、前回の63.7から上昇する見込み。米債利回りの上昇反応を伴うようだと、ドル高の動きにつながりそうだがどうか。
このあとの海外市場で発表される経済指標は、上記の米経済指標のほかにもドイツ非製造業PMI・確報値(4月)、ユーロ圏非製造業PMI・確報値(4月)、ユーロ圏生産者物価指数(3月)、ブラジル中銀政策金利などが予定されている。
発言イベント関連では、エバンズ・シカゴ連銀総裁、レーンECBチーフエコノミスト、ローゼングレン・ボストン連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁などの講演が予定されている。米週間石油統計が発表される。米主要企業決算は、ペイパル・ホールディングス、TモバイルUS、ウーバー・テクノロジーズ、GM、メットライフ、ザイリンクスなど。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。