ポンド急落、ハードブレグジット懸念広がる、協議は週末に継続が決まる
ポンド急落、ハードブレグジット懸念広がる、協議は週末に継続が決まる
ドル円はドル高円高で方向感出ず
ユーロはポンドにつれ安
【本日の見通し】英・EU通商協議は協議継続
英国とEUとの通商協議は、13日継続が決定した。
フォンデアライエン欧州委員長が11日に、合意なき離脱の可能性が最も高い選択と発言するなど
ハードブレグジット警戒が広がる中、ぎりぎりまで合意を模索する両陣営の姿勢が見られる。
市場は協議動向をめぐって神経質な展開が続きそう。
ここにきて動きが欧州通貨主導で
ドル円はリスク選好・警戒がドル売り円売り・ドル買い円買いの流れになっており
ドル円は動きにくい面も。104円ちょうど前後を中心とした推移が見込まれる。
もっともハードブレグジット懸念でポンド円の売りが入る可能性が意識される分、
リスクはやや下方向か。
【本日の戦略】戻り売り
さすがにそろそろと思われた英国とEUとの通商協議は
協議継続が発表された。
リスク警戒感が続くも一気の売りは避けられたか。
とはいえリスク警戒は続き、ドル円クロス円ともに戻り売りの意識。
ドル円は104円台前半の売り場探しか。
※山岡和雅個人の見解です
為替や、その他いかなる商品について売買を推奨するものではございません
【東京市場】ドル安基調
ドル円は一時103円台を付けるなど、ドル安円高の動きが広がった。
前日の海外市場で104円台半ばから104円10銭台まで値を落とし、104円20銭台で朝を迎えたドル円は、
海外市場の流れが継続する形でドル売り円買いの動きが広がった。
米FDA(食品医薬品局)の諮問委員会が新型コロナウイルス向けワクチンの緊急使用許可を推奨することを勧告。
リスク選好の流れがドル売りにつながった。一方で株安の動きが見られ、日経平均が一時200円を超える下げに。
その後下げ幅は縮まったものの軟調地合いが続く中で、円高の動きもみられ、
ドル円は104円を割り込むところまで売りが出る格好となった。
ユーロは対ドルでしっかりも対円では軟調。ドル安基調の中1.2160前後まで上値を伸ばす場面が見られたが、
1.21台後半は売り注文が断続的に見られ、高値圏での買いには慎重な姿勢が見られた。
ユーロ円は朝の円高進行に126円60銭台から126円20銭台まで下落。
その後はドル円の下げ一服やユーロドルの上昇もあって一時126円50銭台まで値を戻している。
NZドルがしっかり。オセアニア市場で上値を抑えた0.71を超えていちじ0.7110台まで。
NZ政府が中銀に示した住宅価格の安定を政策目標にする提案について、NZ中銀が難しいとの見解を示したことがNZドル買いを誘った。
住宅投資抑制の方針が追加緩和のハードルになるとの市場の懸念が後退した格好。
【ロンドン市場】ポンド急落 フォンデアライエン欧州委員長発言きっかけ
13日までの日程で協議を継続している英国とEUとの通商協議に関して、
フォンデアライエン欧州委員長が合意なしが最も可能性の高い選択と発言し
一気にポンド売りが見られた。対ドルで1.33台前半から1.32割れ、その後少し戻すも戻りは鈍くその後1.3170台へ。
ポンド円も138円台半ば前後から137円台前半へ。
ポンドが対ドル、対円で売られる中、ドル円はドル高円高で動きにくく104円ちょうど前後での推移に。
ユーロドルは高値からポンドにつれ安で値を落とすも、対ポンドでの買いもありもみ合いに。
【NY市場】ドル円軟調
ドル円は一時103円台に値を落とす展開に。リスク警戒感が頭を抑えた。
その後下げて始まった米株がプラスを回復する中で104円ちょうど前後で週の取引を終えた。
ポンドドルはロンドン市場からの売りが続き、対ドルで一時1.3135前後まで。対円でも136円台に。
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《12/11 金曜日》
ドル円 ユーロドル ユーロ円
始値 104.24 1.2138 126.54
高値 104.28 1.2163 126.61
安値 103.82 1.2105 125.79
終値 104.04 1.2112 126.04
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《12/11 金曜日の主要株式指数》
前日終値 前日比
日経 26652.52 -103.72
DOW 30046.37 +47.11
S&P 3663.46 -4.64
Nasdaq 12377.87 -27.94
FTSE 6546.75 -53.01
DAX 13114.30 -181.43
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《12/11 金曜日の商品市場》
NY原油先物1月限(WTI)(終値)
1バレル=46.57(-0.21 -0.45%)
NY金先物2月限(COMEX)(終値)
1オンス=1843.60(+6.20 +0.34%)
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《12/11 金曜日に発表された主な経済指標》
【ユーロ圏】
ドイツ消費者物価指数(確報)(11月)16:00
結果 -0.8%
予想 -0.8% 前回 -0.8%(前月比)
結果 -0.3%
予想 -0.3% 前回 -0.3%(前年比)
ドイツ調和消費者物価指数(確報)(11月)16:00
結果 -1.0%
予想 -1.0% 前回 -1.0%(前月比)
結果 -0.7%
予想 -0.7% 前回 -0.7%(前年比)
【インド】
鉱工業生産指数(10月)21:00
結果 3.6%
予想 1.1% 前回 0.5%(0.2%から修正)(前年比)
【米国】
生産者物価指数(11月)22:30
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.3%(前月比)
結果 0.8%
予想 0.7% 前回 0.5%(前年比)
結果 0.1%
予想 0.2% 前回 0.1%(コア・前月比)
結果 1.4%
予想 1.5% 前回 1.1%(コア・前年比)
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(12月)0:00
結果 81.4
予想 76.0 前回 76.9
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《12/11 金曜日に発表された主なイベント・ニュースなど》
【米国】
*米食品医薬品局(FDA)諮問委員会
米ファイザーの新型コロナワクチンの緊急使用許可(EUA)を出すことを勧告。
ファイザーのワクチンの恩恵はリスクを上回ると判断
ファイザーのワクチン支持 賛成17、反対4、棄権1
【英国】
*ダウデン英文化相
EUとの貿易交渉、合意は可能。
90%は合意している。
漁業権と英国独自のルール設定が主要課題。
EU側からの要求はいかなる英首相も応じないだろう。
何が何でも合意というわけではない。
われわれはすでに極めて柔軟に対応してきた。
いかなる国家も自国の領海における妥協はしないだろう。
合意できない場合、混乱はあろうが、生き抜くことできるだろう。
日曜日がデッドラインだ。
*ベイリー英中銀総裁
マイナス金利に関する作業は依然として続けている。
*英中銀、銀行健全性審査
英国の大手銀行は、新型コロナウイルス禍と欧州連合(EU)離脱という二重の衝撃にも耐えられる十分な体力がある。
今後数カ月間に見込まれる損失を吸収する十分な資本がある。
英国の金融システムはEUとの通商合意が得られなくとも離脱に伴う影響を乗り越えられる。
*ジョンソン英首相
我々は常に前向きだ
EU側からの大きな変化はみられていない
漁業権、ラチェット条項などが問題だ
現状では合意なしとなる可能性が非常に非常に高い
(英スカイ)
【ユーロ圏】
*独バーデン・ヴュルテンベルク州
少なくとも来年1月10日までハード・ロックダウン措置が必要。
*ビルロワデガロー仏中銀総裁
ユーロ相場の動向を警戒している。
*フォンデアライエンEU委員長
「合意なし」が最もあり得る選択肢だ、EU首脳会議で。
英国と合意できる条件整っているか、13日に判断する。
漁業権に関する溝はまだ埋められていない。
*コンテ伊首相
EUはハード・ブレグジットに備えるべき。
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《本日予定されている主な経済指標》
【日本】
日銀短観(第4四半期)8:50
予想 -16.0 前回 -27.0(大企業製造業・業況判断)
予想 -10.0 前回 -17.0(大企業製造業・先行き)
予想 -7.0 前回 -12.0(大企業非製造業・業況判断)
予想 -7.0 前回 -11.0(大企業非製造業・先行き)
予想 -0.5% 前回 1.4%(大企業全産業・設備投資)
設備稼働率(10月)13:30
予想 N/A 前回 6.4%(前月比)
鉱工業生産・確報値(10月)13:30
予想 N/A 前回 3.8%(前月比)
予想 N/A 前回 -3.2%(前年比)
第3次産業活動指数(10月)13:30
予想 1.2% 前回 1.8%(前月比)
【香港】
鉱工業生産指数(第3四半期)17:30
予想 N/A 前回 -5.1%(前年比)
生産者物価指数(第3四半期)17:30
予想 N/A 前回 1.3%(前年比)
【ユーロ圏】
ユーロ圏鉱工業生産(10月)19:00
予想 1.8% 前回 -0.4%(前月比)
予想 -4.5% 前回 -6.8%(前年比)
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執筆者 : 山岡和雅|MINKABU PRESS 外国為替情報担当 編集長
1992年米チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)東京支店入行、ディーリングルームに配属され、外国為替ディーラーに。英ナショナルウェストミンスター銀行、RBS銀行などで10年以上外国為替ディーラーとして市場の最前線に。その後大手FX会社などで外国為替市場のアナリストとして個人向けの外国為替情報の配信業務に携わり、2016年3月から、みんかぶグループに参画。 (社)日本証券アナリスト協会検定会員