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為替相場まとめ11月16日から11月20日までの週

為替 

 16日からの週は、リスク回避の動きが優勢だった。市場が注目するワクチン開発関連では、先週のファイザーに続いて、モデルナのワクチン試験の有効性が示された、さらにファイザーについても最終段階の試験で有効性が一段と高まった。しかし、先週とは違って市場の反応は冷淡だった。一時株高や円安といった反応がみられたが、限定的な動きにとどまっている。二番煎じの感があった。足元では新型コロナ感染拡大が強まっている。冷静にみれば、世界的にワクチンが普及し、経済活動を活気づかせるにはまだ相当の時間がかかるとの見方が広がった。株式市場は調整売りに押され、為替市場では円高やドル高の動きに押される展開となった。ドル円は103円台後半へ、ユーロ円は123円割れとなる場面があった。ただ、英国とEUの貿易交渉が続く中で、EU外交筋からは来週明けには合意できる可能性と伝わっており、ポンド買いなどで期待が示されている。週後半には次第に株安の動きは一服。ドル安・円安方向へと戻す動きもみられた。

(16日)
 東京市場は、ドル売りが優勢。週明け東京株式市場で日経平均が大きく上昇して取引を開始すると、ドル円は104.70台まで上昇。しかし、円売り一服後はドル売りが優勢となり、104.50割れ水準まで反落。大統領選に勝利したとみられるバイデン前副大統領が、景気回復や経済成長について計画を公表すると発表。ロックダウンに否定的であるということも伝わり、期待感からの米株先物時間外取引の上昇も、リスク選好の動きからのドル売りにつながった。ユーロドルは1.1830前後から1.1850超えへとじり高となっている。昨日が非公式の合意期限となっていたEUとの自由貿易協定の協議がまとまらず、週明け少し売られた始まったポンドドルは、下げ分をすぐに解消すると、その後は上昇。先週末水準を上回り1.3230近辺へと買われた。

 ロンドン市場では、ドル買いが優勢に。東京市場では株高とともにリスク選好的なドル売りが優勢だった。ロンドン市場でも欧州株や米株先物の上昇とともにドル売りの動きから取引を開始した。ドル円は104.36近辺に安値を更新。ユーロドルは1.1869近辺、ポンドドルは1.3243近辺に高値を伸ばした。しかし、その後はドル買い方向に転じている。今週も英国とEUとの貿易交渉が継続しているが、EU外交筋からは時間切れが懸念されている。また、ジョンソン英首相が、交渉継続を前提としながらも、「EUとの通商合意がなくても、我々はうまくやっていくことに自信」との発言が伝わっており、合意なき離脱ムードが広がった。ポンドドルが1.3160台まで反落。ユーロドルも1.1830台へと押し戻された。ドル円は104.70近辺へと反発。クロス円もドル買いとともに下げたが、株高もあってその後は下げ渋り。ポンド円は138円挟みの振幅、ユーロ円は123円台後半での取引にとどまっている。全般に方向性がはっきりしない週明け相場。

 NY市場では、モデルナの朗報もドル円の上値は重かった。米製薬メーカーのモデルナが、第3フェーズの臨床試験で治験者の94.5%に効果が表れたという。そのほか同社は、ワクチンが冷蔵庫の温度で30日間の安定を確認したと発表。ポジティブなニュースを受けて、米株は大幅高となっている。ドル円は一時105円台を回復したが、上値での戻り売りが強く104円台に押し戻されている。ユーロドルは1.18台前半まで一時下げたが、大台は維持されている。12月のECB理事会で追加緩和拡大が確実視される中で上値の重さも感じられるものの、21日線の上を堅持しており、上昇トレンドを続けている。ポンドドルはロンドン朝方に1.3240近辺まで買われたが、NY時間には1.31台に押し戻されている。ただ、下押す動きも弱く、上昇トレンドを維持している。英国とEUの貿易交渉は難航しているようだ。重要な課題について両者に隔たりがなお大きく、再び協議が延長される可能性があるとも伝わっていた。ただ、ワクチン開発からの恩恵期待もあってポンドは底堅い。

(17日)
 東京市場は、揉み合い。ドル円は104円台半ば割れからの売りには慎重で、昨日の安値が割り込まず。一方、高値も104.55近辺までにとどまった。ユーロドルは1.1840台から1.1860台へと上昇と小高い動き。リスク選好の動きでドル売り圧力が優勢となっている。ユーロ円は一時124円台をつけたが、買いも続かず。ポンドは朝方に買いが入った。英紙サンが来週火曜日にもEUとの協議が合意へ、と首席交渉官発言として報じたことに反応した。ポンドドルは1.3180台から1.3230台まで上伸。その後は1.32台を維持しての揉み合いに。ポンド円は137.90台から138.30台まで上昇した。

  ロンドン市場では、ドル安の動きが継続している。前日の米欧株の大幅上昇のあとで、この日は欧州株が小安く推移している。米株先物は時間外取引でまちまち。ダウやS&Pが利益確定売りに押される一方で、ナスダック指数は続伸している。為替市場では序盤にユーロドルやポンドドルが売られる場面があったが、その後は上昇に転じており、いずれも前日高値を上回る動きをみせている。ユーロドルは1.18台半ば割れから後半へ、ポンドドルは一時1.32台割れから1.32台後半へと上昇。ドル円でもドル売りが上値を抑えており、104円台半ばから104.20台割れまで下落。ドイツでは新型コロナ感染拡大を受けて、一段の制限措置が来週から導入される見込み。一方、英国とEUの通商交渉については、双方が来週の合意に向けて照準との報道があった。ユーロ円は123円台後半、ポンド円は138円挟みで方向感に欠ける取引となっている。

 NY市場では、ドル安地合いが継続。ドル円は104円台前半と上値重く、一方でユーロドルは1.19台手前まで上昇、ポンドドルは1.32台半ばまで上昇している。市場でのドル安期待は根強い。ワクチンに関しては朗報ではあるものの、普及にはある程度時間がかかり、今冬の現状を変えるのに十分な即効性は持たないと考えられている。少なくとも2021年半ばまでは経済の軌道を変える見込みは薄く、来年1-3月期の景気回復は小幅に留まると予想されているようだ。そのような中でFRBの低金利の長期化への期待は温存され、ドルは売られやすい状況が続くとの見方が強い。きょうは米国債利回りも低下し、スティープ化が一服している。ポンド買いに関しては、混迷が伝えられている英国とEUの貿易交渉だが、一部で合意に近づいているとの報道も流れていた。正確な日付は決まっていないが、来週初めにも合意に達する可能性があると伝えている。ユーロについては、ユーロ圏の感染拡大、制限措置強化、12月ECB理事会での追加緩和観測などユーロ買い材料は乏しいが、ドル安の面が勝っていたようだ。

(18日)
 東京市場は、ドル売りの流れが継続。ドル円は104円台前半で、上値重い揉み合いが続いたが、午後に入ってからは前日安値を下回ると104円台を維持割り込む場面があった。東京の感染者数が過去最多の493人と報じられ、日経平均が急落、円買い圧力がみられた。その後の戻りは限定的。ユーロドルは午前にユーロ円の下落とともに1.1850近辺まで下押しされたが、その後は買いに転じた。午後には1.1870台まで反発。ただ、前日からのレンジ内にとどまった。ユーロ円は123.36近辺まで下落、前日安値を割り込んだが、午後には123円台半ばへと戻した。ポンド円は1.3240台まで下押しされたあとは、1.3270付近まで反発した。ユーロと同様に前日レンジ内にとどまるなかでのドル売りの動き。英国とEUとの通商合意が来週にもまとまるとの期待が下支えだった。

 ロンドン市場でも、ドル売りの流れが継続。ドル円はロンドン朝方に104円割れとなったが、一時大台を回復した。しかし、東京や日本全国での新型コロナ感染者数が最多と報道され、欧州株も軟調にスタートすると再び103円台へと下落。米債利回りの低下も重石に。その後は、米株先物の上昇転換とともに欧州株も下げを消し、米債利回りも戻したが、ドル円は104円に戻し切れず。安値を103.80レベルへと更新した。ユーロドルは買いが先行。一時1.1890近辺まで買われた。その後は米債利回りの上昇とともに1.1870台へと押し戻されている。ユーロ圏消費者物価指数は前年比-0.3%と引き続き低調だった。一方、ポンドドルは堅調な動きを維持している。1.32台半ばから1.3297レベルまで買われた。朝方に発表された英消費者物価指数は前年比+0.7%と前回から伸びが加速した。ユーロ圏とは対照的な数字となり、ユーロ売り・ポンド買いが進んだ面もあった。英国とEUとの貿易交渉は目立った進展報道はみられていないが、昨日の来週の合意観測報道もあって期待は残っているようだ。

 NY市場では、ドル円が軟調。ファイザーがNY朝方に、ワクチンの臨床試験の第3フェーズが終了し、95%に有効性が見られたと発表。ドル円は104円台を回復する場面も見られた。しかし、買いは持続せず直ぐに103円台へと押し戻された。104円台が重くなってきている印象。ワクチン開発については普及にはある程度の時間がかかるとの慎重な見方もでていた。ドル円の下げには円高の面もあったようだ。一部からは日米の実質金利差を指摘する向きもいる。日本のデフレ体質が金利差に示されているようだ。ユーロドルは反落。ロンドン時間に1.1890近辺まで買われた後、NY時間に入ると伸び悩んで1.18台半ばへと押し戻された。ユーロは対円や対ポンドでも軟調。10月ユーロ圏消費者物価確報値は前年比-0.3%と3カ月連続のマイナス。12月ECB理事会での追加緩和を裏付ける内容だった。ポンドドルは後半に伸び悩みも、一時1.33台に上昇。EUとの貿易交渉の進展期待が下支え。10月英消費者物価指数は予想を上回る結果。ただ、水準は低く、総需要の弱さを指摘する声もあった。英中銀にとっては緩和余地が温存されている。

(19日)
 東京市場は、揉み合い商状。ドル円は朝方に103.73近辺まで下落も前日安値には届かず。買い戻しは103.98近辺まで。ただ、104円近辺では売りが並んでおり、大台は回復せず。103円台後半での揉み合いに落ち着いた。日経平均、香港ハンセン指数などが下げており、リスク警戒の動きが上値を重くした。ユーロドルは1.1832近辺まで下落したあとは1.1850台まで下げ渋り。その後は1.1840台での揉み合いに。ユーロ円は上値重く、122.85近辺まで軟化した。9時半に発表された豪雇用統計は、前回比マイナス予想の雇用者数が17.88万人の大幅増、失業率の悪化も予想ほどではなく、かなり強い数字となった。もっとも豪ドルの反応は限定的。発表前に0.7282前後まで値を落とした後、0.7290前後での振幅が続いている。

 ロンドン市場では、ドルが堅調に推移している。欧州株が下落、米株先物が時間外取引で下げに転じる動き、NY原油先物も下落とリスク警戒の動きがドル買いを誘っている。米10年債利回りも0.84%台まで低下した。ドル円は東京市場では円買いの動きに押されたが、ロンドン市場ではドル買いに方向転換。104円台乗せから高値を104.22レベルまで伸ばした。ユーロドルは1.18台半ばから1.1816レベルまで下落。豪ドル/ドルは0.73台が重く、0.72台後半で水準を下げている。各国の新型コロナ感染拡大の動きはとどまることを知らず。今週のワクチン開発進展報道を受けた好ムードは消えている。ポンドドルも1.3205近辺まで下押しされたが、その後は1.32台半ばまで反発と神経質な動き。バルニエEU首席交渉官が来週のEU側へのブリーフィングを取りやめとの一部報道に思惑買いがでたようだ。また、トルコ中銀は政策金利を予想通り15%に引き上げた。市場はこれを歓迎してリラ買いを強めている。

 NY市場は、ドル売りの動きが再燃。ドル円は序盤に104円台に上昇も大台を維持できず、103円台後半へと軟化した。世界各国で感染拡大が悪化しており、東京も警戒レベルをこれまでの最高に引き上げた。米国では死亡者数が25万人を突破する中で、リスク回避の雰囲気も見られ、序盤はドル買いが優勢だった。一方、米国債利回りの低下がドル円を圧迫した面も。今年はFRBの低金利長期化のコミットもあり、米国債の実質利回り(名目利回りー期待インフレ率)はマイナスに転じ、ドル下落の最大の推進力となっている。ユーロドルは1.18台後半まで上昇。ユーロ自体の動意は小さく、ドルの動きに左右される展開が続いている。終盤に上院共和党が協議に戻ると伝わったこともユーロドルを押し上げた。ポンドドルは一時1.31台に下落したものの、NY時間に入って1.32台半ばに戻している。9月以降、根強いドル安期待からの恩恵を最も受けているのはポンドといった印象だ。EUとの貿易交渉は依然として合意に達していないが、合意に接近しているとの報道も流れており、市場は非常に楽観的になっているようだ。

(20日)
 東京市場は、ドル安傾向。ドル円は103円台後半での推移。朝方は前日の下げからの反発で103.90付近まで上昇。その後は上値が再び重くなり103.80近辺で揉み合っている。日経平均が106円安で引ける一方で、アジア株は総じて小高く推移。ユーロドルは1.1865近辺まで小安く推移したあと、1.1891レベルと前日高値を上回る動き。ポンドドルも1.32半ば割れとなったあとは買いが継続し、高値を1.3280近辺へと伸ばしている。対ユーロでもポンド買いが優勢になっている。ポンドにとっては引き続き英国とEUとの貿易合意への期待が残っているもよう。

 ロンドン市場では、ドル安の流れが一服している。欧州株が前日の下落から反発、米株先物は時間外取引での下げ幅を縮小するなかで、リスク選好的なドル売りが先行。しかし、ユーロドルは1.19台手前の売りに押されて1.1850付近へと反落している。デギンドスECB副総裁は、第4四半期成長がゼロ、もしくはマイナスとみており、ECB予測には届かないとの見方を示した。ポンドドルは1.32台後半で神経質な動き。EU交渉団は英国との貿易交渉について、合意に「きわめて近い」としながらも、主要な3つの課題についての食い違いは続いている、とした。東京市場から緩やかに上昇してきたポンドドルは一時1.3250付近まで反落、その後は再び買われて1.3290近辺に高値を広げる動き。ただ、ユーロドルの1.19と同様にポンドドルも1.33台が上値抵抗となり上値を抑えられている。ドル円は103.70台から103.90近辺までの狭いレンジ取引が続いている。

 NY市場はドル安が一服する中でドル円は103円台後半での上下動が続いている。ただ、下げは一服しているものの、104円台回復を試す動きまでは見られていない。世界各国で感染拡大が加速する中で景気回復への期待は後退している。ドル円は今月安値が103円台前半に来ているが、その水準をブレイクするようであれば、102円を試す可能性もありそうな雰囲気だ。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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