インドの政策金利据え置きは「物価上昇」が背景、中銀総裁「20年度はマイナス成長」予想
インドの中央銀行にあたるインド準備銀行は6日、政策金利を年4.00%で据え置くことを決めた。新型コロナウイルス拡大によってインド経済は大打撃を受けており、中銀は2020年度の経済成長がマイナスになると予測している。このため、市場では0.25%の利下げを予想するアナリストが多く、利下げで景気底上げを狙うとみられていた。
しかし、物価上昇が今回の利下げ見送りの決定打となった格好。中銀は「インフレ圧力はすべての項目で明らか」とし、苦渋の決断であったと明らかにした。この日、オンラインで記者会見した中銀のダス総裁は、物価上昇への警戒感を示した。
新型コロナを抑制するため、インド政府は3月下旬から全土でロックダウン(都市封鎖)を行った。この影響は大きく、一部業種を除いて工場や店舗は閉鎖され、国民の外出は食料品の買い出しなどに制限された。この措置は5月中旬まで続き、封鎖による物流の寸断が、食料品の値上がり要因の1つとされている。
ロイターが7月下旬、約60人のエコノミストを対象に実施した調査では、7~9月期、10~12月期ともにマイナス成長になるとの見方が多かった。4月の同じ調査では4~6月期がボトム(底)で、7~9月期にプラス成長へ転じるとの予想が多かったが、足もとでは景気悪化は長引くとの見方がコンセンサスとなっている。中銀のダス総裁も会見で「20年度はマイナス成長」との見通しを示した。
インド政府は5月に20兆ルピー(約28兆円)規模の経済対策を発表したが、内容は中小企業への資金繰り支援や貧困層への食糧配給などが中心だった。需要を大きく喚起する力は乏しく、本格的な財政出動を期待する声が産業界を中心に挙がっている。
インドルピー円は7月31日に1.40円を割り込む場面がみられたが、8月に入ると戻り基調を続けている。6月以降、戻り高値を切り下げる展開となっているが、直近高値である7月22日の1.4339円近辺を抜けられれば、1.45円から1.50円へと上値を伸ばしていく可能性がある。
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執筆者 : MINKABU PRESS
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