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「コロナが揺籃(ようらん)するイノベーション ~株価V字回復の理由~」武者陵司 新型コロナショック

マネ育チャンネル 

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市場はすでに長期上昇局面入りでは

日米株価はV字回復した。4週間で4割弱の史上最速の暴落の後、10週間で約5割と史上最速の急騰を遂げ、6月初めにはコロナショック前のピーク比95%の水準に迫った。ハイテク中心のナスダック指数はすでに史上最高値を更新した。世界的にはコロナパンデミックが依然猛威を振るっており、各国で戦後最悪の失業が記録されたばかりである。米国では史上最長の景気拡大が終わり、128か月ぶりでリセッションに陥ったその時点の株価跳躍は、尋常ではない。6月初めのSQ日を前後して7~10%と急落(その後急反発)するなど高値波乱の様相はある。しかし二番底が来ると想定した投機筋はショートポジションを積み上げたままであり、踏み上げ相場には脆弱である。また待機資金をMMF残高でみると、空前の水準まで積みあがっており、好需給は継続中と考えられる

市場はすでにコロナ後に訪れる経済ブームを織り込む長期上昇局面に入っているとも考えられる。コロナパンデミックはイノベーションの3要素、技術、資本、市場(ニーズ)を見事にそろえてくれた。パンデミックはリモートワークなどネット・デジタル化を一気に促進し、ビジネスモデルとライフスタイルを根底的に変革しつつある。この市場ニーズに対して、5Gをはじめ新技術が解を提供する競争が始まっている。そして超金融緩和と空前の財政出動、同時に進行する株高が、巨額のリスクキャピタルを提供している。緩慢に進行していた情報ネット革命が、コロナにより一気に堰を切ったような奔流に変わっていくと予想される。

誰しも一番知りたいのは、今まで続いていた経済繁栄が終わったのか、それとも一時的に遮断されただけなのか、であろう。新型コロナショックが起きる直前までは世界経済はブーム状態、ネット情報通信革命が進展し、米国の失業率は3.5%と史上最低まで低下、株価はリーマンショック後10年間で4倍になった。この長期的経済ブームが続くとすれば、株価の鋭角的戻りは必ずしもユーフォリアとは言えない。むしろ大きく下落したところは絶好の仕込み時ともいえる

米国株式の上昇サイクル

米国株式を100年単位で振り返ると、20年間で10倍になるという長期ブームとその後の10年間の調整が繰り返されてきた。1950~60代年NYダウは100ドルから1000ドルへと10倍になったが、1970年代の10年間は1000ドルと全くの横ばいであった。1980~90年代の20年間には1000ドルから10,000ドルへと10倍になったが、2000年代の10年間はITバブル崩壊、リーマンショックという二つの暴落があり、ならしてみれば10,000ドルで横ばいであった。2010年代に入り再度20年10倍の勢いで上昇相場が始まっていた。この戦後3回目の大波が終わったのかどうかが問われる。

大きなひずみの是正が進む

コロナ以前から3つの歴史的趨勢が起きていた。ビジネス、生活、金融、政治のすべてを覆いつくすIT・ネット・デジタル化、財政と金融の肥大化による大きな政府の時代、中国の孤立化と国際秩序・国際分業の再構築、である。しかしこうした歴史的趨勢は、牢固な障害物により展開を阻まれ、それがここ10年近く世界経済の桎梏(しっこく)となっていた。障害物とは、ネット化に対しては既存の慣習・制度・変わりたくない抵抗勢力、大きな政府に対しては、健全財政信仰、緊縮金融信仰、中国抑制に関しては中国経済力の脅威、中国の横車・恫喝、等である。

これらの阻害要因が歴史の流れを押しとどめ、澱みができ、政治・制度・経済・社会・生活等で大きなひずみが起こっていた。ここ数年顕在化していた世界経済の病、デフレ(=供給力余剰)、ゼロ金利(=資本余剰)、は変化を押しとどめる障害物が引き起こしたものと理解することができる。あと一つの病、格差拡大も上述の阻害要因が是正の邪魔をしていた。コロナパンデミックはこれらの阻害要因をことごとく壊し、歴史的趨勢を加速させるだろう。コロナ感染が沈静化した時、世界経済はより活力を高めているはずである。本来なら何年もかけ多くの失敗の後にようやくたどり着くことができるこれらの結論に、コロナパンデミックにより瞬時に到達できた、このことの意義は大きい。

このように考えれば株価がコロナ前の水準に戻るどころではない、壮大な長期上昇が始まった可能性が強いのではないだろうか

S&P500とS&P先物投機筋ポジション

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米国MMF残高推移

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NYダウ工業株と経済社会、金融制度

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【最新刊】

『アフターコロナ V字回復する世界経済』武者陵司 著(ビジネス社)
 2020年6月10日発売  定価:本体1500円+税 

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yoshizaki.jpg武者陵司氏
1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券(株)に入社。1988年~1993年ニューヨーク駐在、(株)大和総研アメリカでチーフアナリスト、米国のマクロ・ミクロ市場を調査。1997年ドイツ証券(株)調査部長兼チーフストラテジスト、2005年ドイツ証券(株)副会長を経て、2009年(株)武者リサーチを設立。著書に『超金融緩和の時代』等がある。

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マネ育チャンネル:外為どっとコム

執筆者 マネ育チャンネル

執筆者 : マネ育チャンネル|外為どっとコム

マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。

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