パニック的なドル買い=外為どっとコム総研 神田卓也
パニック的なドル買い
昨日のドル/円は、終値ベースで約0.4%上昇。一時108.65円前後まで上伸して月初来高値を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大を巡り市場が大混乱に陥る中、安全資産とされる円よりも基軸通貨のドルが選好されている。このところ、NY市場でドル高が進むケースが目立っており、米国投資家が海外投資資金の引き上げに動いているようにも見える。米連邦準備制度理事会(FRB)は連日で大量の資金供給オペを実施。日銀や欧州中銀(ECB)など他の中銀もドル資金の無制限供給に動いているが、パニック的なドル買いは収まる気配がない。米NY州で新型コロナウイルス感染者が1日で倍増するなど、感染拡大が加速する中ではドル選好の動きが続きやすいと見られる。3月決算期末に向けた本邦勢のリパトリ(資金還流)などで、東京市場では円買いが優勢となる可能性もあるがドル/円の下値は限られそうだ。
執筆者 : 神田卓也|株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 証券株式会社を経て、1991年㈱メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年同社入社。