感染への懸念でドル円は109円付近で神経質な動き=NY為替概況
きょうのNY為替市場、新型コロナウイルスの感染による中国本土の死者数が少なくとも80人に達する中、市場は中国経済を中心に世界経済への影響を懸念している。そのような中、米株や米国債利回りの動向をにらみながら、ドル円は109円付近での神経質な動きとった。
ドル円は週明けの東京時間の早朝から下に窓を開けて始まり、一時108.75円近辺まで下落する場面が見られた。直近高値の110.30円付近から150ポイント超下回った水準でもあり、108.70円付近に来ている100日線にも接近したことで、値ごろ感やショーカバーから、109円台に戻すものの上値も重い。
中国は春節の大型連休中だが、2月2日まで3日間延長。市場からは、感染の広がりや深刻さがどの程度なのか、見えないことが不透明感をさらに強めているとの指摘も聞かれる。米中が第1段階で合意し、中国経済回復への期待も高まっていただけに、突如沸き上がった災難に、市場の失望感は強いようだ。影響がどの程度かは未知数ではあるが、1-3月期の中国経済への悪影響は必至だ。
ユーロは今週も軟調で、ユーロドルは1.10ドル台前半に下落。今回のウィルス感染で、中国経済への依存度が高いユーロ圏経済への懸念にも繋がっているようだ。
きょうはドイツ政府が今年の成長率見通しを1.1%と、従来の1.0%から上方修正したと伝わっている。新たな見通しは29日に公表。上方修正したとは言え低水準を見込んでいる。この日はドイツの1月のIFO景況感指数が発表になっていたが、95.9と、12月の96.3から予想に反して低下した。また、今回の新型コロナウイルス感染の影響は、今回の統計には加味されていないことを考慮すると、ドイツ企業は製造業を中心にセンチメントは依然として低いことがうかがえる。
ポンドドルも戻り売り優勢。本日の21日線は1.3095ドル付近に来ているが、その水準を下回る動きとなっている。ポンドに関しては今週の英中銀政策委員会(MPC)が最注目だが、先週発表の英雇用統計やPMIのデータから、直近高まっていた利下げ期待は後退している。ただ、市場の見方は二分しており、現段階では利下げ期待のほうが若干高いようだ。利下げ期待の中には、新型コロナウイルス感染への影響も指摘されているが、情報や先行きがなお混とんとする中、今回のMPCで議論に上るかどうかは未知数とも思われる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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