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2020年3月までの資源・新興国通貨の展望

達人の予想 

豪ドル/円

RBA(豪中銀)は11月5日の会合で政策金利を0.75%に据え置いたものの、会合では利下げも検討されました。豪州の10月失業率は5.3%と、RBAがインフレ加速に必要と推計する4.5%を依然として大きく上回っており、RBAはいずれ追加利下げが必要になるかもしれません。市場では、RBAが2020年2月に利下げするとの見方が有力であるうえ、一部にはRBAはいずれQE(量的緩和)に踏み切らざるをえないとの観測もあります。RBAの利下げ(とQE)観測が豪ドル/円の上値を抑えそうです。

一方で、豪ドルと円のいずれも、投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があります。米中貿易摩擦が激化した場合には、豪ドル/円は下値を試す展開になるとみられる一方、米中貿易摩擦が解消へと向かえば豪ドル/円の上昇要因となり得えます。

<注目点・イベントなど>
・RBAの金融政策
・米中貿易協議

NZドル/円

RBNZ(NZ中銀)は11月13日の会合で、市場予想(0.25%の利下げ)に反して政策金利を1.00%に据え置きました。その後、28日に発表されたNZの11月企業信頼感指数はマイナス26.4と、10月(マイナス42.4)から大幅に改善しました。また、RBNZの次回会合は2020年2月。会合まで時間があります。市場ではRBNZの利下げ観測が根強くありますが、強く意識されるのはまだ先でしょう。米中貿易摩擦が激化しなければ、NZドル/円は底堅く推移しそうです。

<注目点・イベントなど>
・RBNZの金融政策
・米中貿易協議

カナダドル/円

BOC(カナダ中銀)は10月30日の会合で政策金利を1.75%に据え置く一方、“保険的な利下げ”も検討しました。国外情勢が悪化するようであればBOCは利下げするかもしれません。ただ、利下げをしたとしても1回限りで終わる可能性があり、その通りならBOCの政策金利の水準が主要国の中で高いという事実に変化はないとみられます。BOCが利下げすればカナダドルは下落しそうですが、政策金利の高さが市場で意識されれば、下落は一時的の可能性があります。

<注目点・イベントなど>
・BOCの金融政策
・原油価格の動向

トルコリラ/円

トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は2018年10月の前年比+25.24%をピークに鈍化傾向にあり、2019年10月には+8.55%まで鈍化しました。ただ、昨年のトルコリラ安の影響が薄れるにつれて、上昇率は年末以降に再び高まる可能性があります。その場合、TCMBはエルドアン大統領の利下げ圧力をはねのけて対応(利上げなど)できるのか疑問が残ります。今後、TCMBの独立性をめぐる懸念が再燃する可能性があります。

また、S400(ロシア製ミサイルシステム)問題にも注意が必要です。トルコは11月25日、S400のレーダー試験を開始しました。米国はF35戦闘機などの軍事機密がロシアに漏えいするおそれがあるとして、トルコに対してS400を破棄するように強く要請。「破棄しなければ、制裁を科す可能性がある」と警告しています。米国が対トルコ制裁を発動した場合、トルコリラには下押し圧力が加わりそうです。

<注目点・イベントなど>
・CPI上昇率が再び高まる場合、TCMBは対応できるか
・S400問題。米国の対トルコ制裁発動の有無

南アフリカランド/円

11月1日、米格付け会社のムーディーズは南アフリカの格付けを“Baa3(投資適格級最低)”に据え置く一方、格付け見通しを“安定的”から“ネガティブ(弱含み)”へと下方修正しました。格下げが回避されたことは南アフリカランドにとってプラス材料ですが、来年3月の次回の見直しが近づくにつれて、市場では格下げへの懸念が再燃するかもしれません。その場合、ランドに対して下押し圧力が加わる可能性があり、要注意です。

また、米中貿易協議の行方も南アフリカランドの動向に影響を与えそうです。米中貿易摩擦が解消へと向かってリスク回避の動きが後退すれば新興国通貨であるランドの支援材料となる一方、リスク回避の動きが強まる場合にはランドに対して下押し圧力が加わりやすいと考えられます。

<注目点・イベントなど>
・南アフリカの格下げ懸念
・エスコム(国営電力会社)の経営問題
・米中貿易協議

メキシコペソ/円

メキシコペソはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の行方に注目です。USMCAの発効には3カ国すべての議会で承認される必要がありますが、米国とカナダは依然として未承認です(メキシコは2019年6月に承認済み)。カナダは米国の承認を待つ姿勢のため、市場は米議会がUSMCAを承認するかに注目しています。年が明けて米大統領選が本格化した場合、米議会のUSMCAへの対応は後回しにされる可能性があります。そのため、焦点は大統領選が本格化する前に米議会が承認するかになりそうです。米議会が承認すれば、USMCAをめぐる先行き不透明感が後退し、メキシコペソは上昇しそうです。

<注目点・イベントなど>
・米議会がUSMCAを承認するか
・BOMの利下げペース
・トランプ米大統領の言動

豪ドル/米ドル

市場では、RBA(豪中銀)が2020年2月に利下げするとの見方が有力であるうえ、一部にはRBAはいずれQE(量的緩和)に踏み切らざるをえないとの観測もあります。一方で、米FRBは政策金利を当面据え置くとみられます。こうしたRBAとFRBの金融政策見通しの差が豪ドル/米ドルの上値を抑えそうです。

一方で、豪ドル/米ドルは米中貿易協議の行方にも影響を受けるとみられ、両国の貿易摩擦が解消へと向かえば豪ドル/米ドルの上昇要因となり得ます。反対に貿易摩擦が激化した場合には豪ドル/米ドルは下値を試す可能性があります。

<注目点・イベントなど>
・RBAと米FRBの金融政策
・米中貿易協議

NZドル/米ドル

米FRBは政策金利を当面据え置くとみられる一方、RBNZ(NZ中銀)の利下げ観測も目先は高まりにくいとみられます。FRBとRBNZの金融政策の見通しを踏まえると、NZドル/米ドルは明確な方向感が出にくいかもしれません。米中貿易協議の行方がNZドル/米ドルの動向に影響を与えそうです。両国の貿易摩擦が解消へと向かえばNZドル/米ドルの上昇要因となり得る一方、貿易摩擦が激化した場合にはNZドル/米ドルは下値を試すかもしれません。

<注目点・イベントなど>
・RBNZと米FRBの金融政策
・米中貿易協議

執筆者 八代 和也

執筆者 : 八代 和也|マネ―スクエア シニアアナリスト

マネースクエア シニアアナリスト。資源・新興国通貨を中心に分析し、マネースクエアのWEBサイトにてレポート(「ウィークリー・アウトルック」、「デイリー・フラッシュ」など)配信のほか、動画コンテンツ「M2TV」出演、セミナー講師を務めている。

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