[資源・新興国通貨9/23~27の展望] 豪中銀は10月に追加利下げか!?

達人の予想 

豪ドル

豪州の8月雇用統計が9月19日に発表されました。結果は失業率が5.3%と、7月の5.2%から上昇(悪化)し、2018年8月以来、1年ぶりの高水準を記録。雇用者数は前月比3.47万人増でした。

雇用者数が順調に増加しているにもかかわらず、失業率は2月の4.9%を底に上昇傾向にあります。その一因として、求職者が増えていることが挙げられます。8月の労働参加率は66.2%と、過去最高を記録。1年前(2018/8)は65.6%でした。

RBA(豪中銀)は賃金の伸びが加速するためには、失業率が4.5%に低下する必要があると推計。失業率の低下を後押しするために6月と7月に利下げを行いました。

失業率の上昇は、近い将来に賃金の伸びが加速する可能性は低いことを示唆すると同時に、追加利下げの必要性が増すことを示します。RBAは10月1日の次回会合で追加利下げに踏み切るかもしれません。

OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場は10月の利下げの確率を8割近く織り込んでいます。RBAの利下げ観測を背景に、豪ドルには下押し圧力が加わりやすいとみられます。

NZドル

9月25日、RBNZ(NZ中銀)が政策金利を発表します。その結果がNZドルの動向に影響を与えそうです。

RBNZは8月の前回会合で0.50%の大幅な利下げに踏み切りました。その効果を見極めるため、今回は政策金利を据え置きそうです。NZの企業景況感の悪化や米中貿易摩擦を背景に、市場は“RBNZは11月にも追加利下げに踏み切る”とみています。声明や議事録がハト派的な内容となり、市場で11月の利下げ観測が高まれば、NZドルは軟調に推移する可能性があります。

カナダドル

今週(9/16の週)のカナダドルは、原油価格の動向に影響を受けやすい地合いでした。サウジアラムコ(サウジアラビアの国営石油会社)の石油施設2カ所が14日、イエメンの反政府武装組織フーシ派の無人機で攻撃されて生産が停止したことで、米WTI先物(原油価格)が16日に急騰(14.7%高)。それを受けて、カナダドルは上昇しました。

ただ、翌17日には、サウジアラビアの石油生産は9月中に攻撃前の水準に回復するとの見方が浮上し、WTIは急落(5.7%安)。カナダドルも値を下げました。

カナダドルは引き続き、原油価格の動向に影響を受けやすいとみられます。米国による対イラン制裁やそれを受けたイランの対応によっては、原油価格は上下いずれにも大きく動く可能性があります。トランプ米大統領は、フーシ派によるサウジアラビア攻撃はイランが関与していると主張。18日に、対イラン制裁を強化する方針を表明しました。トランプ大統領は新たな対イラン制裁を48時間以内に発表するとしましたが、本稿執筆時点ではまだ発表されていません。

トルコリラ

国連総会に出席するため、エルドアン大統領が9月22~25日に訪米し、その間にトランプ米大統領と首脳会談を行う予定です。首脳会談ではシリア情勢のほか、トルコのS400(ロシア製地対空ミサイル)購入問題が話し合われるとみられます。

トルコはS400を導入する方針です。S400のトルコへの納入はすでに7月に始まっており、2020年4月までに全面的に稼働する予定。米国は以前から“S400を導入すれば制裁を科す”とトルコに警告しており、ムニューシン米財務長官は9月9日に「制裁を検討している」と語りました。その一方で、トランプ大統領は対トルコ制裁に慎重な姿勢を示してきました。

首脳会談でトランプ大統領がトルコのS400導入に理解を示せば、トルコリラの支援材料となりそうです。反対に、米国の対トルコ制裁が現実味を帯びた場合、トルコリラは急落する可能性があります。

南アフリカランド

SARB(南アフリカ中銀)は9月19日、政策金利を6.50%に据え置くことを全会一致で決定しました。一方で、2019年のインフレ率(CPI上昇率)見通しや、2020年と2021年のGDP成長率見通しを下方修正。利下げ余地があることを示唆しました。

***
インフレ率とGDP成長率見通しは以下の通りです。
( )は7月時点の見通し
<インフレ率>
・2019年:4.2%(4.4%)
・2020年:5.1%(5.1%)
・2021年:4.7%(4.6%)
<GDP成長率>
・2019年:0.6%(0.6%)
・2020年:1.5%(1.8%)
・2021年:1.8%(2.0%)
***
クガニャゴSARB総裁は会合後の会見で、「南アフリカランドは若干過小評価されている」と指摘。ランドは投資家心理改善の恩恵を受けているとする一方、投資家は国内の成長見通しや財政リスクを引き続き懸念しているとの見方を示しました。

ムーディーズ(米格付け会社)は11月1日に南アフリカの格付けを見直す予定。もし格下げされれば、南アフリカの格付けはジャンク(投機的等級)へと転落します。その場合、南アフリカランドには強い下押し圧力が加わる可能性があります。ランド安はインフレ圧力の増大へとつながるおそれがあります。そのため、ランド安をもたらしかねない要因(財政リスクや格下げの可能性)が後退しない限り、SARBは利下げに慎重になると考えられます。

SARBの政策会合が終わり、南アフリカランドは目先の独自材料が乏しい感があります。ランドは当面、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/オフ)に反応しやすい地合いになりそうです。

メキシコペソ

9月26日、BOM(メキシコ中銀)が政策金利を発表します。メキシコの景気低迷やインフレ率の鈍化を踏まえると、2会合連続の利下げが決定されそうです。GDP成長率は1-3月期が前期比マイナス0.2%、4-6月期が0%、8月のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年比+3.16%と、2016年10月以来の低い伸びでした。

市場では、0.25%の利下げが決定されるとの見方が有力。その通りの結果になれば、声明で“追加利下げが示唆されるのか”が焦点になりそうです。米FRBの利下げ打ち止め観測が浮上するなか、BOMが追加利下げを示唆した場合、両中銀の金利差縮小観測からメキシコペソは対米ドルで軟調に推移する可能性があります。その場合、対円(ペソ/円)も上値が重くなりそうです。

メキシコペソについては、米国の対メキシコ関税の行方に引き続き注意する必要があり、それに関する報道が出てきた場合には、ペソが反応する可能性があります。

八代 和也

執筆者 八代 和也|マネ―スクエア シニアアナリスト

マネースクエア シニアアナリスト。資源・新興国通貨を中心に分析し、マネースクエアのWEBサイトにてレポート(「ウィークリー・アウトルック」、「デイリー・フラッシュ」など)配信のほか、動画コンテンツ「M2TV」出演、セミナー講師を務めている。

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