今週のまとめ8日13日から8月17日の週
13日からの週は、トルコをめぐる動きが相場の中心となった。先週末に記録的な暴落となったトルコリラ相場だが、週明けにも一段安となって取引を開始した。トルコ政府は拘束中の米国人牧師の解放を拒否している。米国は制裁措置を強化、鉄鋼・アルミの関税率を倍にすると発表。両国の関係悪化が強まった。しかし、投げ売り的なリラ安は一巡。トルコ中銀が実質的な金利引き締めを行ったほか、投機的なリラ売りポジションを抑制する措置をとった。また、トルコ財務相は投資家向けの会議で資本規制は行わないと明言。ドル相場はリスク回避的なドル高の動きが次第に巻き戻されている。ただ、週末にかけてトルコリラ相場が再び急落し、不安定な動きとなっている。インドルピーや人民元、南アランドなど新興国通貨安の動きは根強く、今後の不安材料となっている。円やユーロなど各主要通貨はトルコリラなど新興国通貨の動きをにらんで神経質に動いた。ドル相場はドル買いへの調整の動きが中心。円相場は不安定に振幅するなかで先週来の円高水準での取引。
(13日)
東京市場では、円買いの動き。ドル円は110円台前半へと軟化。先週末にトルコリラが急落し、市場が混乱した後を受けて始まった週明けの相場も神経質。リラ相場の上下動とともにドル円は110円台で振幅。リラ安が他の新興国通貨に波及し、南アランドが一時10%安となった。リスク警戒感が強まり、ドル円は一時110.11レベルまで下落。日経平均は400円超安に。ユーロ円は126円割れから125.14レベルまで下落。
ロンドン市場では、トルコをめぐるリスク回避相場は小康状態に。リラ円の振幅が続いたが、トルコ中銀が銀行への流動性供給などを発表したことで市場心理は落ち着きつつある。リラ円は15円台では買いが入っている。ただ、南アランドに下落とともにインドルピーが対ドルで最安値をつけており、新興国市場へのリスク連鎖は懸念されている。ドル円は110円台前半での取引。ユーロドルは1.13台後半から1.14台前半で、ユーロ円は125円台での振幅。欧州株は銀行株が依然として安いが、全面安にはなっていない。
NY市場では、ドル高・円高が一服。ドル指数は一時約1年2か月ぶりの高水準となったが、NY時間に入ってからは一服。トルコリラの急落は収まったものの、他の新興国通貨への波及への警戒感は残っている。ドル円は110円台後半へと一時反発。ユーロドルは1.14台での取引。ポンドドルは1.27台での取引。この時間帯は特段のニュースもなく、今後の情勢を見極めたいとのムードが支配的だった。
(14日)
東京市場で、ドル円は110円台後半での落ち着いた取引。トルコリラの値動きが落ち着いてきており、市場全体でも神経質さが後退している。この日は日経平均が500円近い上昇となった。ドル円は110円台後半での強保ち合い。トルコリラは対ドルで6.80-6.96レンジ。7の大台は重くなっており、リラ安は一服している。
ロンドン市場では、円売りが先行。トルコリラが反発しており、欧州株も堅調にスタート。ドル円、クロス円ともに買いが先行した。ただ、エルドアン・トルコ大統領は米国の電子機器をボイコットすると表明。東京午前に発表された中国指標が弱かったことで商品市況が弱いこともドル円やクロス円の上値を抑えた。取引中盤には上に往って来いに。ドル円は111.15レベルまで買われたあとは、111円割れへと反落。ユーロドルは1.14台を挟む上下動。ユーロ円は127円手前まで上昇も、126円台前半に反落。独ZEW景況感の改善や英ILO失業率の低下などには反応薄。
NY市場では、ドル買いが優勢。午後には円売りが加わった。トルコリラ相場はひとまず落ち着いたことが背景。銀行への流動性供給や為替介入などトルコ当局の市場安定化措置で市場も一旦落ち着きを取り戻しているようだ。ドル円は序盤に111円割れも、リラ買いとともに111.30近辺まで上昇。ユーロドルは売りが強まり1.1330近辺まで一時下落、昨年7月以来の安値水準となった。ポンドドルは一時1.27ちょうど近辺まで下落。ハント英外務相が、合意なきEU離脱のリスクは高まっていると述べた。
(15日)
東京市場で、ドル円は111円台前半での推移。ユーロドルは1.13台前半など全般にドル高水準での取引が続いた。注目のトルコ情勢は、米国産製品(コメ、自動車、たばこ、アルコールなど)の関税引き上げを発表したが、影響は限定的。ドルリラは比較的落ち着いた展開。一方、ドル人民元が6.90を超えるなど元安が優勢。中国上海総合指数も大幅安。中国政府がゲームの承認を凍結との報道が流れ、テンセント・ホールディングス株が大幅安となった。
ロンドン市場では、円高の動きが優勢。序盤はトルコリラ相場が反発し、欧州株も堅調に取引を開始。ドル円、クロス円は小高く推移した。トルコ中銀は外貨とリラのスワップ取引上限を半減する措置を発表、リラ円は一時19円手前まで上昇。ただ、トルコの裁判所は米国人牧師の解放を拒否、米国とトルコの関係は引き続き深刻化している。さらに、この日話題となった中国テンセントの決算発表で、第2四半期純利益が市場予想に届かず。欧州株は序盤の上げを消して、下げに転じた。米株先物も下げ幅を拡大。リスク動向の悪化を受けてドル円、クロス円が下押しの流れとなっている。ドル円は一時111円割れ、ユーロ円は125円台半ばまで下落。ユーロドルは1.13台前半で小動き。
NY市場は、リスク回避ムード広がる。リラ安は一服してるも米国とトルコの関係悪化は継続。米中貿易問題も依然として不透明感が高い。テンセント株が弱い決算を受けて大幅安。そのムードを受けて米株も下落した。中国経済への不透明感を背景に、銅相場が急落。ドル円は一時110.45近辺まで下落。ユーロドルは1.13ちょうど近辺に下落したあとは1.13台半ばまで反発。ユーロ円は序盤に一時125円割れまで下落。その後は125円台後半まで反発。カタールがトルコに対して150億ドルの直接投資を確約と報じられたことで、リスク回避の動きが一服する面があった。
(16日)
東京市場で、ドル円は110円台後半で底堅く推移。トルコリラの買戻しが続いており、対ドルで5.8台へと下落。中国商務次官が8月下旬に訪米して、通商協議を再開するとの報道も好材料。リスク警戒感が後退した。ドル安が波及してユーロドルは1.1390近辺まで上昇。日経平均は取引序盤に330円安まで値を落としたが、その後はプラスに転じる場面もあり、ドル円、クロス円の下支えとなった面も。豪ドルは雇用統計が弱めの結果となったが、ドル全般に売りを受けて豪ドル/ドルは堅調だった。
ロンドン市場では、値動きが落ち着いている。ドル円は110円台後半、ユーロ円126円台前半など投稿市場での上昇を受けた高値圏で揉み合っている。欧州株や米株先物が上昇しており、リスク動向は回復傾向。トルコリラ円が19円台を回復する場面があった。米ウォルマート決算が好調だったことが米株先の上げ幅を拡大させていた。英小売売上高が予想を上回りポンドドルが買われたが、上値は重く1.27台挟みの上下動にとどまった。
NY市場では、ドル売りが先行したあとは次第に買い戻しが優勢になった。トルコ財務相が投資家向けの電話会議で、資本規制は導入しないとしたことトルコリラが買われ、ドル売りの動きが波及した。しかし、その後にムニューシン米財務長官が「トルコで拘束されている米国人牧師が釈放されなければ追加制裁を準備」との発言したことで、ドルが買い戻された。米株はウォルマートの好決算を受けて全般に買われた。ドル円は110円台後半から111円近辺で神経質に振れた。ユーロドルは一時1.14台乗せもその後は1.1350割れ水準まで反落。ポンドも上に往って来い。
(17日)
東京市場は、方向性に欠ける動き。ドル円は朝方に111円台に乗せたが、前日NY市場と同様に売り戻しが入り110.80台での揉み合いに落ち着いた。ユーロドルは1.13台後半での揉み合いと、前日NYレンジ内での取引。トルコリラの下落が一服していることも市場の安定期待につながったようだ。日経平均は78円高で引けた。
ロンドン市場では、再びリラ安が強まっている。序盤は欧州株が堅調など落ち着いた取引のなかで、ややドル売りの動き。週末に向けた調整の動きがみられた。しかし、トルコリラ相場が再び急落したことで、欧州株が反落、リスク回避の動きに転じた。ドル円は111円台が重く、110.50台へと下押し。ユーロドルは序盤に1.1419レベルまで上昇したが、1.13台後半へと反落。ユーロ円は126円を挟む上下動。リラ相場はS&Pのトルコ格付け発表を控えて不安定に。
NY市場は終盤になってドル売り・円売りの動きが強まり、欧州通貨は買い戻しが強まった。午後になって米中貿易問題への期待が高まっていたようだ。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が関係者の話として、米中の通商問題担当者が、11月末にブエノスアイレスで開催されるG20サミットの際の米中首脳会談に向けて、こう着状態を終わらせるためのロードマップを描いていると伝えている。ドル円は一時110.30まで下落する場面も見られたが、下値では押し目買い意欲も根強い中、心理的節目の110円を試しに行く動きまでは見られなかった。後半になって米中貿易問題関連の報道から110.60まで一時戻した。
執筆者 : MINKABU PRESS
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