【通貨別まとめと見通し】スイスフラン円:198円台の高値圏から陥落、安全資産の盾も通じず一週間で約10円の大暴落
【通貨別まとめと見通し】スイスフラン円:198円台の高値圏から陥落、安全資産の盾も通じず一週間で約10円の大暴落
先週から週明け(8月31日〜9月7日)のまとめ
前週まで198円台の高値圏で極めて底堅く推移し、さらなる上値トライすら視野に入っていたスイスフラン円であったが、今週はこれまでの強気相場が完全に全否定される一週間となった。週前半(8月31日〜9月1日)は197円台後半〜198円台を維持していたものの、9月2日(水)の欧州・NY時間に突如として売りが強まり、197円のサポートをあっさりと下抜け。これを契機に強烈な「円の買い戻し」が発生し、3日(木)には195円割れ、週末4日(金)には192円台まで一気に急落した。週明け7日(月)に入っても下落の勢いは止まらず、足元8日(火)の午前中にはついに189.09円付近まで突っ込む大暴落劇となった。高値圏からわずか1週間あまりで約10円(約9.8円)幅という記録的なナイアガラ下落となり、上昇トレンドは跡形もなく崩壊。現在は完全な下値探りのフェーズへと移行している。
詳細な値動きの振り返り
■ 嵐の前の静けさと198円台での高値保ち合い(8月31日〜9月1日)
週前半は、197.50〜198.50円を中心とするレンジで高値止まりの様相を呈していた。欧州通貨全般が軟調に推移し始める中でも、スイスフランは比較的下げ渋っており、8月31日の早朝には198.90円台まで上値を伸ばすなど、相場には「フランの底堅さ」に対する過信が漂っていた。
■ サポート連続陥落とパニック売りの連鎖(9月2日〜4日)
相場つきが暗転したのは9月2日(水)である。欧州時間からNY時間にかけて売りが加速すると、197円の足場が崩壊し、深夜には195円台前半まで約3円幅の急落を見せた。翌3日(木)以降も、押し目買いを狙ったロンガーのストップロス(損切り)を次々と巻き込みながら階段を転げ落ちるように下落。週末4日(金)の米雇用関連指標を受けた世界的なリスクオフの波にも直撃され、一時192円台前半まで売り叩かれた。
■ 止まらない円買いと189円台への突入(9月7日〜足元)
週明け7日(月)は192円台でスタートしたものの、反発の気配は皆無であった。夕方以降、再び逃避的な円買いが強まると下落トレンドが再開。191円、190円の心理的節目を次々と割り込み、8日(火)の東京時間午前11時過ぎには一時189.09円台まで下値を拡大した。自律反発すら許されない、一方的な売り相場となっている。
ファンダメンタルズ分析
スイス側:SNBの利下げ観測と「安全資産」神話の無力化
スイス国立銀行(SNB)はすでに利下げサイクルに入っており、インフレも落ち着いていることから、さらなる利下げ観測がフランの上値を重くしている。また、通常スイスフランは「安全資産」としてリスクオフ局面で買われやすい(フラン高になりやすい)性質を持つが、今回はそれを遥かに凌駕する規模の「円買い」が発生したため、対円(クロス円)においてはその防衛力が全く機能しなかった。
日本・米国側:米景気後退懸念と強烈な「円キャリー巻き戻し」
米国の重要指標悪化を背景とした「米経済のハードランディング(景気後退)懸念」が、世界同時株安を引き起こした。これにより、日本の歴史的低金利を利用して資金調達し、他国通貨を買う「円キャリートレード」の強烈な巻き戻し(全通貨に対する円の猛烈な買い戻し)が再稼働。スイスフランも例外なく、この「リスクオフの円全面高」の波に呑み込まれる結果となった。
テクニカル分析
トレンド判断
198円台の高値圏で形成されたダブルトップ(あるいはトリプルトップ)のネックラインを明白に下抜けたことで、強烈な「下落トレンド」が完成した。15分足、1時間足、日足レベルの移動平均線はすべて急角度で下向きに転じており、価格がそれに沿って下落する「完全な弱気相場(パーフェクトオーダーの逆)」となっている。過去1週間で積み上がった買いポジションはすべて巨大な「シコリ(含み損)」となっており、反発したとしても戻り売り勢に絶好の狙い撃ちにされるチャート形状である。
【スイスフラン円 主要なレジスタンス・サポートライン(大幅見直し)】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 195.00 - 195.50円 (9月3日の戻り高値圏、中期的なトレンド転換ライン)
レジスタンス2: 193.00 - 193.50円 (9月4日の揉み合い水準、分厚い上値の壁)
レジスタンス1: 191.00 - 191.50円 (直近の心理的節目であり、9月7日の下落起点)
(下値支持帯)
サポート1: 189.00 - 189.20円 (足元8日午前の最安値圏、当面の下げ止まりを見極めるライン)
サポート2: 187.00 - 187.50円 (中長期的なテクニカル防衛線、過去の揉み合い水準)
サポート3: 185.00 - 185.50円 (パニック売りが継続した場合の次なる中長期ターゲット)
今週のポイント・見通し
今週の焦点は、約10円もの歴史的暴落を演じた相場が「189円台でセリングクライマックス(大底)を形成できるか」、そして「自律反発時の戻りの弱さ」を確認することにある。
【メインシナリオ】戻り売り優勢の展開、189円割れから187円台トライへ
極度の突っ込みに対する短期的な買い戻し(ショートカバー)が入り、190円〜191円付近までリバウンドする場面があったとしても、上値には大量の「逃げ遅れた買いポジション(やれやれ売り予備軍)」が控えている。反発力の弱さを市場が確認すれば再び下値攻めが始まり、足元の189.09円を割り込み、次なるターゲットである187円方向へ向けた下落トレンドが継続する動きを見込む。
想定レンジ: 187.00 - 191.50円
根拠: テクニカルの完全な崩壊、グローバルな株安・リスクオフ環境の継続、買い方の戻り待ち売り圧力。
【対抗シナリオ】極度の売られすぎからの急速な買い戻しによる192円台回復
約10円幅の垂直落下に対する「極度の売られすぎ感(オシレーターの底張り付き)」から、利益確定の買い戻しが強まる展開。米国の株価指数が反発するなどしてリスクオフ心理が急激に後退した場合、191円の節目を突破し、先週末の安値圏である192円台前半まで急速に値を戻す(ショートスクイーズが発生する)可能性がある。
想定レンジ: 189.00 - 193.00円
根拠: 短期的な過熱感(極度の売られすぎ)の是正、リスクオフ心理の一服、投機筋のショートカバー。
総評
今週のスイスフラン円相場は、「安全資産」というブランドすら全く通用しないほど、クロス円全体を襲った「円買い戻し(キャリー解消)」の圧力が凄まじかったことを物語っている。
現状は逆張りの買いが最も危険とされる「落ちてくるナイフ」の真っただ中にあり、値頃感での買い下がりは厳に慎むべきである。基本戦略は「戻り売り(ショート)」一択であり、190円〜191円台へのリバウンド(自律反発)を待ってから売り向かう順張りが推奨される。ボラティリティが異常値に達しているため、ポジションサイズを平時の半分以下に落とし、明確なストップロス(損切り)を必ず設定する徹底した資金管理が必要不可欠な局面である。
今週の主な予定と結果
09/07 16:00 雇用統計 (8月) 結果 3.0% 前回 3.0% (失業率(季調前))
09/07 16:00 雇用統計 (8月) 結果 3.1% 前回 3.1% (失業率(季調済))
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。