【来週の注目材料】豪中銀はCPI後に据え置き見通し広がる
【来週の注目材料】豪中銀はCPI後に据え置き見通し広がる
4日に豪州、6日に英国の政策金利が発表されます。ともに据え置き見通しが大勢となっています。
今回は豪中銀をみていきます。
4日の豪準備銀行(中央銀行)政策金利ですが、元々は利下げの期待がそれなりに出ていましたが、10月29日に発表された豪消費者物価指数が予想を超える伸びとなり、期待が後退しています。
豪中銀の政策金利(オフィシャル・キャッシュ・レート)ですが、コロナ過で同国にとって史上最低水準となる0.1%まで金利を引き下げた後、インフレの進行を受けて2023年に4.35%まで上昇。隣国NZや米国など多くの国が昨年夏から秋にかけて利下げを開始する中、豪中銀は少し遅れて今年2月に0.25%の利下げを実施、その後、4月に据え置き、5月に0.25%利下げ 7月に据え置き、8月に0.25%利下げとなり、前回9月に金利据え置きとなっています。
前回の据え置きは順番通りということもあって、市場で完全に織り込まれていました。さらに、9月3日に発表された豪第2四半期GDPが前年比+1.8%と市場予想の+1.6%、第1四半期の+1.4%を上回り、2023年第3四半期以来の力強い伸びとなり、9月の据え置き見通しを後押ししていました。
4日の豪中銀金融政策会合は、順番的には利下げの番ですが。第2四半期GDPが力強い伸びを見せたこともあって、据え置きと見通しが分かれていました。前回の会合直後で利下げ見通しが40%程度、据え置き見通しが60%程度と据え置き見通しがやや優勢な状況。10月16日に発表された9月豪雇用統計において、失業率が予想外に悪化したこともあって一時80%程度まで利下げ見通しが高まりました。その後米中関係の改善期待などもあって利下げと据え置きで見通しが拮抗する状況を経て、据え置き期待がやや優勢という状況まで見通しが変化。さらに29日の豪消費者物価指数(CPI)を受けて、一気に利下げ見通しが後退するという展開が見られました。
豪第3四半期CPIは前年比+3.2%と、市場予想の+3.0% 第2四半期の+2.1%を上回る伸びとなりました。中銀が重要視しているとされるトリム平均(刈込平均)は前年比+3.0%で、予想の+2.7%、第2四半期の+2.7%からこちらも伸びています。また同時に発表された9月の月次CPIは前年比+3.5%と8月の+3.0%、市場予想の+3.2%を大きく上回りました。
豪中銀のインフレターゲットは10月分から月次CPIの対象を広げ、拡充することで月次に移行することが発表されていますが、今回までは四半期で2-3%がターゲット。今回ターゲットをはっきりと超えてきています。また月次の+3.5%も相当高い水準です。
この物価上昇を受けて市場の利下げ期待が一気に後退。短期金利市場での利下げの織り込みはCPI直前の40%前後から5%弱まで低下。据え置きがほぼ見込まれているという状況になっています。
今回か12月どちらかの会合で利下げという見通しについては、CPI前まで80%程度と、かなりの割合で織り込んでいましたがCPIを受けて10%台まで低下し、年内据え置き見通しが80%を超えています。
こうした動きが豪ドルの買い材料となっています。豪ドル円は今年の高値を更新し、30日に昨年11月以来の101円台まで上昇。ドル円の動きにもよりますが、さらなる上昇が見込まれる状況となっています。
今回の会合で今後について、物価への警戒感を強め、当面据え置きとの姿勢を示すと、もう一段の豪ドル買いもありそうです。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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