ドル円、147円台での推移に変化なし 米PPIは予想外の低下=NY為替概況
ドル円、147円台での推移に変化なし 米PPIは予想外の低下=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の8月の米生産者物価指数(PPI)が前月比で予想外の低下となり、市場の米利下げ期待をさらに強化した。ただ、為替市場は激しい上下動に留まり、ドル円は147円台での推移に変化はなかった。明日の米消費者物価指数(CPI)も要確認ではあるが、来週のFOMCでの利下げはほぼ確実な情勢。ただし、0.50%ポイントの大幅利下げへの期待までは高まっていない。
来週のFOMCではFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)も公表され、委員が年内あと何回の利下げを見込むかが焦点となりそうだ。現在、短期金融市場では来週を含めてあと2回の利下げを完全に織り込み、75%の確率で3回を織り込んでいる状況。
円相場は10月4日の自民党の総裁選の行方も注視しているようだ。ドル円と日本国債の方向性は総裁選の結果次第との指摘まで出ている。現在、政治情勢を背景に日銀による利上げが遅れるとの観測も広がっているようだ。総裁によっては拡張的な財政政策が予想され、それは日本国債にとってマイナスとなり、円安シナリオだが、日本株にとっては成長を促す環境となるとの見解も出ている。
ストラテジストからは、米利下げといった外部要因が円の追い風(ドル円下落)となる局面でも、日本の政治的不透明感が円高を妨げる可能性があるとし、ドル円の見通しを上方修正し、年末予想を従来の140円から144円に引き上げた。市場は、9月と10月の日銀決定会合で利上げに踏み切る可能性をすでに低下させているとも指摘している。
ユーロドルもユーロ円も買い優勢。ただ、レンジ取引に変化はなく、ユーロドルは1.17ドル付近、ユーロ円は172円台での推移となっている。ユーロ円の21日線は本日172.30円付近に来ているが、その水準はしっかりと堅持しており、年初来の高値圏は維持されている状況。
明日はECB理事会が予定されており、据え置きが確実視されている。アナリストは、ECBが明日の理事会で利下げサイクルの終了を示唆すれば、ユーロは上昇する可能性があると指摘している。中銀預金金利は2.00%に据え置かれ、ラガルド総裁は9月1日の発言を踏襲して正式にインフレに対する勝利宣言をし、利下げサイクル終了を示唆する可能性が高いと見ているという。
これにより、特にFRBが来週のFOMCでの利下げ再開が確実視されていることを考慮すると、ユーロドルは緩やかに上昇する可能性があるという。
ポンドドルも1.35ドル台での推移。1.36ドル台には慎重な雰囲気に変化はないが、本日1.3495ドル付近に来ている21日線はしっかりとサポートされており、堅調な流れを維持している。一方、ポンド円も200円台にはなお慎重なものの、199円台での推移を維持している。
本日は英国の主要な経済指標がなく、ポンドドルはドルの値動きやリスク選好の雰囲気に左右されている。次の材料となり得るのは明日予定されている米消費者物価指数(CPI)で、これがポンドドルに何らかの作用をもたらす可能性はある。
アナリストはポンドに関して、当面は中立姿勢を維持し、ポンドはレンジ内で推移すると予想しているようだ。英国内の大きなイベントとしては、英国の秋の予算発表に注目しているという。また、さらに先を見据えると英中銀は市場が現在想定している以上に早く、12月にも追加利下げに踏み切る可能性があると述べている。これはポンドの相対的な金利優位性を縮小させる要因となる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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