パランティア、7日ぶりに反発 安易に買うべきではないとの声も=米国株個別
(NY時間15:42)(日本時間04:42)
パランティア<PLTR> 156.89(+0.88 +0.56%)
情報分析ソフトのパランティア<PLTR>が7日ぶりに反発。同社はAI関連株としても注目を集めているが、本日はさすがに買い戻しが入っているようだ。同社株は下落が続き、時価総額で730億ドル以上が失われた。AIブームで今年のウォール街で最強銘柄の1つだったが、それを逆張りしてきた空売り筋にとっては久々の勝利と言える。
金融情報のS3パートナーズによると、今回の下落で空売り筋は16億ドル以上の利益を得たが、それでも今年、同社株を逆張りして被った45億ドルの含み損の一部を取り戻したに過ぎないという。直近6営業日ではS&P500企業の中で最悪のパフォーマンスだったが、年初来では106%上昇し、S&P500企業で最大の上昇銘柄でもある。
S3によると、貸株が可能な浮動株に対するの空売り比率、いわゆる売り残比率は1年前の約5%から2.5%程度まで低下しているという。ストラテジストは「モンスター級のモメンタム取引にひかれるのを避けたかったか、貨物列車にひかれて強制的に退場させられたかのどちらかだ」と述べている。
今回の同社株の下落は、IT・ハイテク大手全体の下げの一環でもある。投資家が利益を確定し、より割安なセクターに資金を移す、いわゆるローテーションを実施しているためで、それはS&P500やナスダック100を押し下げている。あるポートフォリオマネジャーは「パランティア株の売りはようやく来るべきものが来ただけで、空売り筋が支配したわけではない。アルファベット<GOOG><GOOGL>、メタ<META>、マイクロソフト<MSFT>といった銘柄が下がれば、当然、過大評価されている高ベータ株はもっと下がる」と指摘している。
今年の同社株の上昇は、ショートスクイーズ(空売りの踏み上げ)ではなく、主にロングの投資家によって支えられて来た。ただし、足元の下落を受け、売り残が再び積み上がる兆しも出ている。前出のS3によると、6月初め以降、売り残は約1000万株増加しているという、同社の発行済株式数は約23億株。
一部からは、「例え株価が近く反発しても、それとともに逆張り的な空売りも増えて行く可能性がある」との指摘が出ている。「同社株が少しでも戻れば、空売り筋も戻って来るだろう。安易に手を出すべきではない。言葉は悪いが、同社株は下落トレンドであることを自ら示してしまった」と慎重姿勢な声も出ている。
【企業概要】
世界の防衛・諜報機関、災害救援組織、企業などに、データ・意思決定・運用を大規模に効果的に統合するソフトウェアを提供する。大量の情報を、その業務を反映した統合データ資産に変換することを可能にし、大規模言語モデルと共に、既存の機械学習テクノロジーの力を活用し、AIを組織データと接続する。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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