ドル円、一時145.65円付近まで上げ拡大 ドル高のほか円安も強まる=NY為替概況
ドル円、一時145.65円付近まで上げ拡大 ドル高のほか円安も強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢となる中、ドル円は買い戻しを加速させ、一時145.65円付近まで上げ幅を広げた。5月相場に入って市場が落ち着きを取り戻しており、ドルの買い戻しが出ているほか、この日の日銀決定会合をきっかけに円安の動きも強まっている。
日銀の決定は概ね事前の予想範囲内だったとは思われるが、4月のトランプ関税に絡んだ市場の迷走も一旦落ち着く中、過去最高水準に積み上がった円ロングの解消が活発に出ているものと思われる。
明日の米雇用統計への反応を待ちたいところではあるが、市場では弱い内容との推測も多く聞かれる。ただ、その場合でもFRBの利下げ期待が高まり、リスク選好の雰囲気が市場全体に広まれば、円安は続く可能性も考えられる。
ドル円はきょうの急上昇で、本日143.85円付近に来ている21日線を完全に上抜いている。まずはその水準が維持できるか注目されるが、本日の上げで、3月末から4月下旬までの下降波のフィボナッチ50%戻しの水準も上抜いており、その場合、61.8%戻しを試すケースも多い。その水準は146円台後半に来ている。
ユーロドルは1.12ドル台に伸び悩んだ。21日線が1.1265ドル付近に来ており、その水準に一時顔合わせした。ここ数日の1.14ドル付近でのもみ合いで過熱感は後退しているものの、上値は次第に重くなって来ているようだ。ただ、ドル離れが指摘され、その受け皿としてユーロが注目されている中で、今年に入ってからの上昇トレンドが終了する気配まではない。
一部からは、ユーロドルが1.15-1.20ドルの水準にレベルシフトするためには、主要な米経済指標の悪化や、欧州の景気見通しの改善が確認される必要があるとの指摘が出ている。
特に米経済指標の悪化の場合、ドルの弱さが加速する可能性があり、ドルからの資金流出が加速し、中期的にユーロを支える要因となるという。一方、ユーロ圏は貿易摩擦の影響を受ける可能性があるが、財政支出拡大と相対的な経済成長がユーロの買い材料となると指摘。ウクライナからの前向きなニュースも支援材料となるだろうとも述べている。
ポンドドルも戻り売りに押され、一時1.3260ドル近辺まで下落する場面も見られた。本日の21日線が1.3175ドル付近に来ているが、その水準が目先の下値メドとして意識される。
エコノミストがレポートで「米関税が英経済に与える影響を懸念し、英中銀が利下げにより積極的になる可能性がある」と指摘している。英中銀は来週5月8日に金融政策委員会(MPC)を予定しているが、そこで政策金利を0.25%ポイント引き下げる見方が広く予想されている。
米通商政策が新たな需要ショックをもたらす中、英中銀が利下げにより積極的なアプローチを採用する用意がある兆候が早期に表れていると指摘。短期金融市場では、年末までに英中銀は来週を含めて計4回の利下げを織り込んでいる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。