ドル円、一時144円まで下落 不安払拭できず再びドル安強まる=NY為替概況
ドル円、一時144円まで下落 不安払拭できず再びドル安強まる=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安が再び強まる中、ドル円は前日の上げを失い、一時前日安値の144円ちょうどまで下落する場面も見られた。トランプ大統領が90日間の猶予措置を発表したことから、前日の市場は熱狂の渦に呑み込まれ、ドル円も一気に148円台まで急騰していた。しかし、市場はこの先の不安を払拭できず、今回の貿易戦争が米経済に長期的な打撃をもたらすのではとの懸念が根強い。
「米国市場から資金を引き揚げるべき」、「関税の猶予期間が延長されたとしても、景気後退の可能性は五分五分」、「すでにダメージは与えられてしまった。パンドラの箱はすでに開いた」といった類の声も多く聞かれた。そのような中、市場では米国離れが指摘され、米国債が不安定な動きをしているほか、ドル離れも指摘されている。
なお、この日の3月の米消費者物価指数(CPI)は予想を下回り、総合指数は前月比で予想外の低下となっていた。コア指数も予想以上に低下。ただ、今回のCPIがフェド・プットまで期待できるかは未知数。この日も何人かのFOMC委員の発言が伝わっていたが、いずれも、いまは見守るべきとの姿勢を強調していた。
ユーロドルが急伸。一気に1.12ドル台まで一時上昇し、2023年7月以来の高値水準に急伸していた。ユーロが買われているわけではなく、ドルが売られる展開。ただ、世界的な貿易戦争においてEUが意外なほどに融和的なアプローチを取っていることもユーロを下支えしているとの
指摘も出ている。
EUが米国の関税に対する報復措置を保留する可能性が伝わっている。EUは米国からの輸入品210億ユーロ相当に影響を与える報復関税を承認し、来週の4月15日が発効日としているが、実施に移さないと見られている。
これは2つの経済圏間の緊張を緩和し、ECBが来週の理事会で追加利下げを行う緊急性を低減させるとの指摘が出ている一方、短期金融市場では、90%以上の確率で利下げを見込んでいる状況。
ポンドドルも買い戻しが強まり、一時1.30ドルをうかがう場面も見られた。ドル安がポンドドルを押し上げ。本日の21日線が1.2930ドル付近に来ているが、その水準を回復しており、明日以降の動きが注目される。
本日はブリーデン英中銀副総裁の講演が行われていたが、貿易戦争によりポンド安が進む可能性を注視している。ポンド安は英輸入品の上昇圧力を煽る可能性があり、英中銀は追加利下げに慎重姿勢を見せている。
英中銀はまた、スワップ取引の大規模な巻き戻しに関連するリスクも監視しており、円滑な取引を確保するために金融システムに流動性を提供できる態勢を整えているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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