【これからの見通し】動意づいた今週の締めくくりとして米雇用統計発表を迎える
【これからの見通し】動意づいた今週の締めくくりとして米雇用統計発表を迎える
今週はドル安・円高・ユーロ高など主要通貨が動意付いた。トランプ関税をめぐる強弱材料の交錯、春闘の賃上げ要求が32年来の高水準となったこと、ウクライナに関連して欧州に防衛費増強の必要が高まり、ドイツが歴史的な財政ルールの変更方針を示したこと、などが為替市場に大きな影響を与えた。ドル安の背景としては、ここ1カ月間に発表された米経済統計の弱含みが通奏低音のように圧力をかけてもいる。
そのなかで今週の締めくくりとして米雇用統計発表を迎える。注目度の高い非農業部門雇用者数の市場予想は16.0万人増と前回の14.3万人増から上向く見通し。ブルームバーグ調べの予想範囲は3万人増から30万人増と幅広い。ただ、概ね12万から20万のレンジに収まっているようだ。
今週水曜日の米ADP雇用者数が7.7万人増と前回の18.6万人増や市場予想14万人増を大幅に下回ったことは記憶に新しい。ADP速報値と米雇用統計との連動性は低いとの評価もあるが、市場心理は弱めの数字に備える面もありそうだ。また、普段は注目度の低いチャレンジャー人員削減数だが、今回は前年比103.2%増と前回の-39.5%から大幅に上振れ(人員削減が急増)した。イーロン・マスクの影響も指摘されるなかで、雇用増の伸び鈍化に一役買う可能性も指摘されよう。
その他項目では、失業率は4.0%と前回と同水準が見込まれている。平均時給は前年比+4.1%とこれも前回と同水準、前月比では+0.3%と前回の+0.5%からの鈍化が予想されている。
この後の海外市場で発表される経済指標は、上記の米雇用統計のほかにドイツ製造業新規受注(1月)、ユーロ圏実質GDP(確報値)(2024年 第4四半期)、ブラジル実質GDP(2024年 第4四半期)、ブラジル貿易収支(2月)、メキシコ消費者物価指数(CPI)(2月)、カナダ雇用統計(2月)、カナダ設備稼働率(2024年 第4四半期)などが予定されている。
発言イベント関連では、欧州と米国の金融当局者の予定が多く組まれている。ECB関連では、エスクリバ・スペイン中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁などが金融関連のイベントで講演を行う。また、国際女性デー(IWD)のイベントに、ラガルドECB総裁、独連銀総裁、オランダ中銀総裁、伊中銀総裁などが出席する。米FRB関連では、ボウマンFRB理事、ウィリアムズNY連銀総裁、クーグラーFRB理事、パウエルFRB議長などの講演が予定されている。パウエル議長は「2025年金融政策会議で経済見通しについて」講演を行う。米雇用統計発表後の週末にかけての注目イベントとなる。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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